『LOOPER/ルーパー』 (c) 2012 LOOPER DISTRIBUTION, LLC. ALL RIGHTS RESERVED
 クリスマスに忘年会や大掃除、年越し・お正月と、イベントが多い季節、年末年始。こんな時にこそ観ておくべき映画を、MOVIE ENTER編集部が厳選してご紹介するのが「ゆく年来る年、コレだけは見ておけ!映画」特集。最終回となる今回、エンタメ雑食系ウスイがオススメするのは、タイムトラベル・アクション『LOOPER/ルーパー』。夢も希望も皆無のすすけた未来が、正月ボケした頭に鉛玉をぶち込む衝撃のSFだ。新しい気分で一年を始めたいなら、這ってでも映画館へGO! 報酬としてオリジナル金塊メモを用意したから、最後まで見てくれよな。


LOOPER/ルーパー』

 ナノテクノロジーの発達により、殺人が不可能となっている2074年。犯罪組織は法律で禁じられているタイムマシンを悪用し、消したい人間を2044年に送って始末していた。その2044年において、未来から送られてくる標的を消しさる処刑人こそが“ルーパー”。凄腕のルーパー、ジョー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、その日も銃を構えてターゲットを待っていた。指定された時間、未来から送り込まれてきた標的は30年後のジョー(ブルース・ウィリス)。引き金を引くことをためらい、30年後の自分に逃げられてしまったことでルーパーの元締めに命を狙われるヤング・ジョー。いっぽうのオールド・ジョーはこのタイムトラベルで世界を危機から救おうとしていた……。(作品情報へ


レトロ・フューチャーどころの騒ぎじゃない! ジャンルを見失わせるSF(すこし・ふしぎ)体験

 騙された…。 “革新的SF誕生に世界驚愕!!”、“現代の自分 VS 未来の自分”といった宣伝文句が踊る本作品。こういった宣伝文句に騙されたという意味ではない。では何に騙されたのか、それは己の先入観にである。私だけだったら納得もいくが、メンタリストも「騙された」と言っているのだから、これは相当なものだ(関連記事:メンタリストDaiGoが初のCM出演で敗北宣言「思いっきり騙されました」)。ここまで徹底的に裏切られると逆に清々しい。果たしてどのあたりが人の心をダマすのかを考えてみたい。

 まず、こんなに格好良くもなく、明るくもない未来ってある? という衝撃である。SF映画を観に行く人の多くが期待するのは、1.クールなガジェット、2.見たこともない映像表現、3.斬新な設定、だろう。本作はこの3点のうち、1と2が早くも覆されてしまった。今からおよそ30年後。強盗殺人が平然と行われるスラム街で見かけるのは、今探すのは難しそうな旧車ばかり。意図してダサく作られたというタイムマシンには、藤子・F・不二雄ばりの「すこし・ふしぎ」な方のSFテイストを感じてしまう。ルーパーの道具もいわゆる“ラッパ銃”で、近未来なのにあえて新たな武器は作らないという割り切りぶり。物語の後半には、主戦場がほとんど畑であるというところも斬新。予想外なストーリー展開と相まって、SFを見に来たことを危うく忘れそうになる、驚くべきマジックが仕掛けられている。1、2に満足できない人も安心して欲しい。作品全体を貫く 3.斬新な設定 が楽しませてくれることは間違いない。

そんな馬鹿な…レヴィットの30年後がこんな風になるなんて(毛髪的な意味で)

 本作の主人公はジョセフ・ゴードン=レヴィット演じる凄腕の処刑人ジョー。レヴィットのイメージはどちらかと言うと優男で、文化系女子に人気がありそうな風体。そんなレヴィットが30年後には、ブルース・ウィリスになるなんて、監督に「ちょっと校舎裏に来いや」と言いたいところだ。なんて説得力のないキャスティング…と思いきや、二人の対面シーンで、目元がアップになった時には「あれちょっと似てるかも」と感じてしまった。このソックリ感を出すために、レヴィットには毎日3時間かけて特殊メイクが施された。また、彼自身もブルース・ウィリスの動きや喋り方を徹底的に研究し、ド根性で似せたという。見た目としぐさを似せたうえで、説得力を持たせるため、タイムトラベルものにありがちな“同じメシを注文する”などのお約束もはさんでいる。さらに衝撃的なのは、レヴィットが30年を経てブルース・ウィリスになっていく過程をダイジェストで見せる映像! 毛が…頭髪がどんどんニコラス・ケイジ状態になっていく様を見て、やっぱこの話の未来は暗い…と絶望感に打ちひしがれてしまった。
 ちなみにこのシーンは1分程度で終わるので、レヴィットファンの皆様は過度な心配をしないように。ルーパー稼業をしながら「感傷的な男には向かない商売だ」とうそぶき、明日をも知れぬ不安を薬で紛らわす。いまひとつ冷徹になりきれない、人の良さがにじみ出るジョーは、まぎれもなくレヴィットのナイーブさが活きる役なのだ。

もう何も信じられない……誰か私に一時停止と巻き戻しボタンをちょうだい

 ここまでさんざんミクロな見どころを書いてきたので、大きな意味での面白さを紹介したい。序盤にジョーの同僚が退場するシーンで“裏切りルーパーがどう始末されるのか”SF的な仕掛けも盛り込み描かれる。処刑人の末路の哀れさをさんざん観客に見せつけた後、ヤング・ジョーが30年後の自分を追走するシーンは手汗が半端ない事に。だがここである疑問が浮かびあがる。それは“なぜオールド・ジョーがターゲットとして送り込まれたのか”。オールドはヤングを殺したら自分も死ぬということもあるが、ヤングが組織から逃げられるようコッソリ手助けをしたりもする。自分同士が戦わざるを得ないことがわかっていて、なぜ彼は30年前にやってきたのか。ネタバレになるので書けないが、その理由こそが本作品最大の「聞いてないよー!」なのである。そんなオッサン版『まどか☆マギカ』みたいなさー。
 
 ひとつ忠告しておきたいのが、本作の鑑賞後は誰かとネタバレ込みで語り明かしたくなるということ。未来の自分が過去に送り込まれたということは、オールド・ジョーは過去にこの事態に直面しているはず。なのにどうして避けられなかったのか?など、一度考え始めるとそれこそ毛髪が抜け落ちそうになるはず。こんなにも一時停止および巻き戻しボタンが欲しくなるとは。そして自分の予測がこれほどまであてにならないなんて…。ぜひともSFファンをとっ捕まえて観に行って頂きたい。騙された事実と、想像以上にほろ苦い設定のSFは、2013年は先入観を一斉処分して新しい自分でがんばれること請け合いなのである。

LOOPER/ルーパー』は2013年1月12日(土)より丸の内ルーブル他全国ロードショー



『LOOPER/ルーパー』 - 公式サイト

http://image.movie-enter.com/___/main/3/3/33bc402989e3c3b102dc704366a10e3b.jpg

エンタメ雑食系ウスイの所見評価

【すこしふしぎな未来度】★★★★

【騙され度】★★★★★

【ブルース・ウィリスにクリソツ度】★★★

エンタメ雑食系ウスイの「編集部的映画批評」一覧



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LOOPER/ルーパー』オリジナル金塊メモ

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当選人数5名様


※本プレゼントは、終了しました※



【応募期間】
2012年12月28日(木)〜2013年1月10日(木)13時まで
※当選者には、ツイッターのDM(ダイレクトメッセージ)でご連絡いたします。

【応募条件】
・日本に居住されている方(賞品配送先が日本国内の方)。
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