新築に先んじて市況回復が顕著な中古物件が今後も主役に
バブル崩壊以降の長い低迷をようやく抜け出し、2007年までは回復傾向が顕在化した日本の不動産市場。しかし、米国不動産バブル崩壊と大震災が直撃し…。さすがに最悪期は脱し、今後は着実に回復基調をたどるのか?


大震災で二番底をつけた新築マンション。増税前の駆け込みは?

日本の住宅市況は2006〜2007年にピークアウトし、米国のサブプライム・ショックや(2007年夏)やリーマン・ショック(2008年9月)がきっかけとなって、一気に崩れてしまった。そして、2011年を迎えてようやく盛り返しつつあったものの、同年3月の東日本大震災によってまたしても崩落した。

ここ数年、首都圏における新築マンションの供給数は4万戸前後で推移してきた(注:市況崩壊前のピーク時は8万戸超に達していた)。これに対し、2012年の実績は4万3000〜4万5000戸程度に落ち着きそうだ。

最近、マンションの供給サイドは立地を慎重に見定めて選ぶようになっており、都心のより駅に近い用地に絞って開発が進められてきた。ただし、今後もそういった傾向が続くかどうかは不透明だ。消費税率引き上げ(2014年4月)前の駆け込み需要を見越し、早めに用地の取得する動きもすでに見られている。

とはいうものの、駆け込み需要はさほど盛り上がらないと私は予想している。確かに1997年の引き上げ(消費税率3%→5%)では駆け込み購入が活発化したが、当時と今とではあまりにも状況が異なっている。1997年4月の時点で日経平均は1万8000円前後の水準にあったが、今はその半値にすぎない。しかも、当時は団塊ジュニアがマイホームを購入し始める時期と重なっていたが、今は需要自体が弱い。

加えて、消費税率引き上げの影響を緩和するために、国が税制上の優遇策を設けるのは必至だ。現在、最大1000万円の住宅ローンを15年間にわたって控除できるプランなども検討されており、それが現実となれば今の倍の優遇が受けられる。さらに、その枠に収まりきらない場合は住宅エコポイントなどでの還元も盛り込まれるという。

そもそも、仮に駆け込み需要が顕在化したとしても、その反動減が必ず生じるので、購入を検討している人はその機を狙ったほうが得策。焦って買う必要はないのだ。

「買うなら新築!」は時代遅れの発想に。価値を保つ中古に注目

一方、中古マンション市況の回復は意外と早く、リーマン・ショックの3〜4カ月後には早くもその兆しが見られた。そのうえで2009年には前期比で2ケタの伸びを示すほど盛り返している。新築マンションの需要が低迷すると、代わって中古マンションが人気化する傾向があるのだ。

しかも、日本の住宅市場は大きな転換期を迎えている。少子高齢化の時代においては、もはや高度成長期のような地価上昇は見込めない。人口の減少に伴っておのずと供給数も絞られてきて、「買うなら新築!」という発想はやがて廃れてくる。歳月を経ても価値がなかなか低下しにくい中古住宅市場を作るという国策も進められているのだ。

マイホーム購入を考えているなら、中長期的に価値が落ちにくい中古物件にもぜひとも注目していただきたい。新築物件はプレミアムが付いているだけに、中古になった途端に価値が大きく下がってしまう。築16〜20年以降は価値の低下が緩やかになる傾向があるので、都心ならそういった物件2000万円台で手に入れ、リフォームを施して住むのもいいだろう。

かつてのような値上がりは期待できないとはいえ、やはり住宅は資産価値に注目して購入すべきものだ。投資マネーが入っているのも都心の物件で、特定地域の一部に集中している。対照的に、6割以上の物件はまったく見向きもされず、10年後、20年後には価値が著しく下がってしまう。こうした運命をたどった先例が郊外のベッドダウンだ。