エアバス本社見学でフランスへ - 一般非公開のモックアップセンターを紹介

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ボーイングが圧倒的なシェアを誇る日本の定期航空機マーケットだが、ピーチアビエーション、エアアジア・ジャパン、ジェットスター・ジャパンのLCC(格安航空会社)3社が揃ってエアバスA320を使用機材に選定したことで、エアバスの存在感がやや高まってきた。

A320はエアアジアやジェットスターの本体をはじめ、各国のLCCが好んで導入しているが、その理由の1つとして、キャビンの特性が挙げられる。

キャビンは航空会社の差別化の重要ポイントの1つでもあるし、フル・サービス航空会社とLCCでは求められるキャビンの機能も異なる。

フランス南部トゥールーズのエアバス本社にある「モックアップ・センター」は、航空会社向けにキャビンのプランを提案する客室ショールームだ。

モックアップ・センターには機内を完全再現したエアバス機の実物大模型が並び、航空会社の幹部を招いてキャビンのデザインの打ち合わせが行われる。

商談のための施設であり、一般公開はしていない。

筆者が訪問した2011年1月には、標準座席数100-185席の中型機A320ファミリー(A318、A319、A320、A321)、同253-380席の大型機A330 / A340ファミリー、総2階建てのスーパー・ジャンボことA380、エアバス製ビジネスジェットACJ319、開発中のA350XWBの計5機種が展示されていた。

このうちA320ファミリーは、ナローボディ機(キャビン内の通路が一本の機種)の中では他メーカーの飛行機と比べて最も広い客室空間を備えており、これがLCCから好かれる理由の1つとなっている。

旅客の乗り降りを極力短時間で済ませ、飛行機の稼働率を高めることは、LCCのコスト圧縮法の1つ。

キャビンが広ければ、より広い通路を確保でき、旅客の乗降もスムーズに行える。

もともとは快適性を追求するために広く造られていたキャビンが、LCCの増加に伴って別のメリットも生み出したというわけだ。

モックアップ・センターでは、競合機種より幅広の座席を設置した主にフル・サービス航空会社向けの仕様と、通常サイズの座席を設置することで通路幅を広くとったLCC向けの仕様の2タイプを併設することで、それぞれの利点が分かりやすく紹介されている。

エアバス本社工場でも、各航空会社の塗装まで済ませたA320ファミリーが出荷待ちをしていた。

下の写真、手前から中国の吉祥航空、エアアジア、アラブ首長国連邦のLCCエア・アラビアの機材。

吉祥航空は25機のA320ファミリーを運航している。

エアアジアは保有機90機のうち86機がA320で、さらに89機が納入待ちとなっている。

エア・アラビアは27機のA320を運航中で、さらに44機が納入待ちだ。

「航空会社にとって飛行機の購入は、個人が家を買うのと同じくらい大きな投資」(エアバス本部ディレクター、デイヴィッド・ヴェルピライ氏)なので、モックアップ・センターの展示機も、買い手(=航空会社)がイメージを膨らませやすいよう、モデルハウスのように細部まで造り込まれている。

A330およびA340ファミリーは、床下に大容量の貨物搭載スペースを設けているが、そのキャパシティを応用して、トイレや乗務員の休憩室などを全て階下に集約することで、客席数を増やすことができる。

モックアップ・センターのA340も、その仕様で展示されている。

写真撮影は禁じられているが、A380のモックアップもシンガポール航空などが導入した個室ファースト・クラス、立ち飲みバー、シャワールーム、夜明けから星空までさまざまなイメージを映し出すイルミネーションといった客室機能が再現されていた。

快適な、あるいは格安の旅が提供されるまでには、航空会社と航空機メーカーによる綿密なキャビン・プランニングが行われているのである。