忽那汐里
 人気作家・井上荒野の同名小説を原作に、主演阿部寛×行定勲監督の初タッグが実現した映画『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』(1月26日公開)。豪華女優陣が集結し、“艶”という1人の女に振り回されながら、美しい刺激に彩られた恋愛オムニバスを紡いでいく。

 忽那汐里演じる山田麻千子は、父親・松生(阿部寛)が艶と駆け落ちした事によって母(大竹しのぶ)と2人で暮らす女子大生。同年代のキャラクターでありながら「愛を問いかける女」という難しい役柄に挑んだ忽那汐里に、作品に参加しての感想や理想の大人の女性像について話を聞いた。

――まずは、本作の脚本を読んだ感想と、山田麻千子という役にキャスティングされての感想を教えてください。

忽那汐里(以下、忽那):私はこうしたオムニバス作品に携わることが初めてで、一人一人の女性が主役である事に興味を持ちました。そして、物語が進んで行くにつれて、この女性達がどうやって“艶”と関わっていくのだろう、ある意味で虜になっていくのだろうと展開が気になりました。後は、色んな方のお芝居が見れますし、純粋に撮影が楽しみでした。

――映画の最初は疑問ばかりなのですが、徐々に物語の意味が見えてくる、そんな面白さがありますよね。

忽那:そうですね。女性を中心に女性の視点で描かれていますけど、男女で違うものが見えてくると思います。大人の世界は、私にはまだ分からないことも多いですけど、今後の人生には色々な事があるんだろうなと思いましたし。

――麻千子を演じる上で意識したことはありますか?

忽那:基本的に大きな役作りをしたわけでは無いのですが、「無垢さ」は絶対になくしちゃいけないと思っていて。母親の気持ちに関して、まっさらな気持ちで向き合っている部分を大切にしました。彼女だけ、目の奥がすごく真っ直ぐで、ある意味大人で、作りこみ過ぎてしまうと、違うニュアンスのキャラクターになってしまうというか。

――麻千子と、大竹しのぶさん演じる母親・早千子の関係は観ていてとても心地良く、特に2人でバーに行くシーンが印象的でした。忽那さん自身は母親と出かけたり、よく話はするのでしょうか?

忽那:よく出かけますね。べったり姉妹という感じではないですけど、母も感覚が若いので理解があって、年齢のせいにしたりしないというか。ちゃんと今の私と向き合う体制でいてくれるので、色々な話もしますし、お買い物も行きます。週に何日かは一緒に出かけるので、相当仲の良い親子なんだなって、周りから言われて最近気がつきました。

――昔からその環境にいると、自分では気づかないものですよね。

忽那:そうなんですよね、そうして母親と過ごすのが当たり前だったんですよね。

――映画の中で、両親の馴れ初めを尋ねるシーンがありますね。

忽那:私も聞いたことあります! 父は話さないですけど、母はちゃんとお話ししてくれました。

――映画の中で母親である大竹さんとは現場でいかがでしたか?

忽那:大竹さんは、とても気さくで着飾らなくて、雰囲気もとろっとやわらかい感じですから、話しやすかったです。現場での佇まいですとか、小道具一つにしても、すごくこだわっていらっしゃいましたし、シーンには映らない鞄の中身まで「母親・大人の女性」を想定して、持ち物を揃えていたり、色々な事が勉強になりました。

――忽那さんが理想とする大人の女性とはどんな人でしょう。

忽那:結局は母性がある人なのかな、と思います。一見そういった雰囲気を感じさせない女性でも、根底に母性がある方って包容力が違うと思います。そうなるまでには目に見えない色々な経験が必要だと思うので、一歩一歩成長していきたいですね。

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