米国債の格下げで金価格は史上最高値2000ドル突破に!
確執の高まった米国議会が、債務関連法案を成立させなければ、格付け会社は米国債の格付けを引き下げるという。?ドルの痛み〞が表面化するとき、金価格が史上最高値を更新する可能性がある。2013年の金相場の行方は?


ドル相場に影響を与えるFRBの金融政策は、金価格をも左右していた

ニューヨーク金先物価格は、2011年9月初旬の1920ドル台をピークに調整局面に入り、その後、1550〜1800ドルの間で推移している。

2012年9月には、QE3が発動され、この政策を好感する形で金価格は1800ドル直前まできたが、思いのほか上値が重く、その壁を越えることはできなかった。

これまで、金価格は主要通貨に対するドルの強弱とおおむね逆の動きをしてきた。ドルが強いときは金が弱く、ドルが弱いときは金が強くなる、という図式。

そして、このドル相場に強く影響を与えてきたのがFRBの金融政策であり、その方向性が金価格をも左右していたのである。

今、金に携わる関係者の間で注目されているのが「財政の崖」問題だ。これは年明けから、10年間で最大1兆2000億ドルの歳出を強制的に削減する計画と、2012年末にブッシュ減税、給与減税の終了が同時期に発生することを指している。

9月で終了した米国会計年度の財政赤字は1兆890億ドルにも達し、4年連続で1兆ドルを突破。これまでは、政府が赤字を膨らませることで米国景気は何とか1%、あるいは2%台の成長を続けることができた。しかし、今や政府支出(歳出)が米国経済に占める比率は約23%にも上っている。「財政の崖」問題は、この部分を削ってしまうので、どう考えても景気の悪化は避けられないだろう。

米国は国債発行枠の上限を法律で決めていて、2011年8月には2兆ドル超引き上げ、16兆3940億ドルとしたが、2013年の年初には上限に達し、さらに引き上げの必要が出てきている。というのも、月間で1000億ドルペースに赤字額が膨れ上がっているからだ。

民主、共和の対立を深めている米国議会が、債務関連法案を成立させなければ、格付け会社は財務面のみならず、政治的リスクをも勘案し、米国債の格付けを引き下げることになるだろう。

ユーロ圏も問題山積状態だ。ユーロ悪化に覆い隠された?ドルの痛み〞が表面化するとき、金が史上最高値の2000ドルを突破することになるだろう。

2013年を読み解く急所!
2012年末から2013年春にかけての「財政の崖」など米国の財政問題は金価格にも影響をもたらす。米国債の格付けが引き下げられた場合、?ドルの痛み〞が表面化し、金の史上最高値2000ドル突破もありうる。

亀井 幸一郎(KOICHIRO KAMEI)
マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表

中央大学法学部卒業。山一證券、日本初のFP会社・MMIを経て、1992 年、ワールド ゴールド カウンシル入社。企画調査部長として経済調査、金市場のマーケット分析に従事。2002年より現職。



この記事は「WEBネットマネー2013年1月号」に掲載されたものです。