[其ノ四 投信ファンダ編]中国ファンドより韓国ファンドが好調です
領有権をめぐって政治的に火種がある中国と韓国。株式市場や投信市場などにもマイナスに影響しているのでしょうか?


隣国と高まる緊張感。領有権問題の投信への影響は?

中国はBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の一角を担う新興成長国の代表格として注目を集めてきました。しかし、経済成長鈍化への懸念が株式市場に影を落としているほか、尖閣諸島の領有権問題をめぐる日中間の対立も不安材料となっています。日本国内で運用されている中国株には何か影響が出ているのでしょうか?

そもそも中国の株式市場は、外国人投資家の市場参入を長いこと規制してきました。そのため、「中国株投信」といっても実質的には香港市場に上場する中国企業株を組み入れたタイプや、台湾やシンガポールなどアジア各国の市場上場の中国関連企業に投資する中華圏型が中心でした。

ところが、中国政府が2003年から段階的にQFII(適格外国)として外国の機関投資家にも門戸を開いたことで、中国国外の金融機関もこの制度を利用し投信を設定することが可能となりました。

この流れを受け、近年は上海・深セン市場上場の人民元建てのA株に投資するタイプが主流になりつつあります。

中国株投信を以上の3つの投資対象に分け、期間別に平均騰落率を算出してみると、今年9月末から3年さかのぼると、特にA株を含むタイプの落ち込みが目立ちます。



既存の投信だけでなく、最近では新規設定の投信にも影響が出ています。10月に設定が予定されていた中国株投信のうち、2本が販売低調などを理由に設定が取りやめとなったほか、1本の設定延期となりました。この点については、日中間の緊張感の高まりが設定環境の悪化につながったとみてよいでしょう。

なお、領有権をめぐる対立という点では、韓国の存在も無視できません。しかし、韓国株式を主要投資対象とする国内投信は9月末時点で計9本、純資産総額も全部で180億円程度にとどまっており、同78本、約4070億円の中国株と比べると規模が大幅に小さいのが実情です。

ただし、昨今の領有権問題が国内投信に直接の影響を及ぼしているとは言えず、むしろスマートフォン特需によるハイテク株の上昇を受けて、中国株よりも良好な成績を収めている投信が多く見られます。

このように、必ずしも昨今の領有権問題と投信の運用成績がイコールでないことがわかります。現在は心理的に中国や韓国の株式を組み入れた投信を保有することに不安を感じている方も多いかもしれませんが、こうしたときこそ冷静で落ち着いた状況判断が求められます。

まずは保有する投信がどの市場に重点を置いているのか、どういった業種を中心に組み入れているのかを確認するところから始めましょう。



【今月の投信師匠】
篠田尚子(SHOKO SHINODA)
トムソン・ロイター・マーケッツ

慶応義塾大学法学部卒業。リッパー・ジャパンに所属するファンドアナリスト。情報量の多さと分析の鋭さは天下一品!



この記事は「WEBネットマネー2013年1月号」に掲載されたものです。