すでに1600ドル台をスタート地点とした次の相場が始まっている
2011年9月の最高値更新以来、調整局面入りした国際金市場。だが、外的・内的刺激要因に満ちており、金価格の上昇トレンドに変化はないという。すでに次の相場が始まっているとも。その際の注目点とは何か。


2011年9月の最高値更新以来、調整局面入りした国際金市場。ここまでの1年余りは方向感のない相場展開で、2001年に上昇相場が始まって以来11年目にして初めてやって来た調整局面といえる。

それは、これからの金価格の展開にとって、むしろ必要なものだろう。なぜなら投機的人気が一巡し、その後の失望売りの時間帯を「どの程度の水準で維持できるかという事実の積み重ね」が金相場には必要だからだ。

というのも、金には妥当価格はなく、株式のようにPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの買われすぎや、売られすぎを測るモノサシもなく、果たして現時点の価格が適正であるのか否かという判断がつきにくい。

したがって、現状の需給関係の中にあって自然体で維持できる価格帯が、市場が受け入れた価格という評価になる。

さまざまな?思惑〞という形で金価格に乗っているプレミアムのはがれた状態が、その時点での適正価格とみなすならば、それは調整局面を経る中で示されることになる。

過去1年余りの間、数度にわたり1500ドル台前半まで下げたが、いずれもその水準が安値となり、下値支持線として働き、切り返してきた。

特に今年の5月中旬から2週間にわたり、この水準を崩そうとのファンドによる売りが試みられたが、それが失敗に終わったことは大きかった。

下値を割らなかったこと自体が、市場参加者に安心感を与え、その後の反転につながることになった。

この話は結果論ではなく、当時の市場環境と内部要因に基づいた分析である。相場展開が、こうしたセンチメントに左右される要素が他の資産に比べて大きい点も金の特徴といえるだろう。

現在の金市場の内部要因としては、新興国の中央銀行による買いや、中国での需要の広がりが挙げられる。また、外部要因では、ユーロ圏の金融混乱に加え、効果が上がるまで続けるとされる米国の「量的緩和政策」である。さらに急激に膨らんでいる米国の財政赤字問題など、刺激要因に満ちあふれている。

QE3(量的緩和第3弾)導入後に上昇し、その後、調整局面を迎えたが、すでに1600ドル台前半をスタート地点とした次の相場が始まっていると見る。2013年はその上値をどこまで伸ばすことができるかが、注目点となりそうだ。



亀井幸一郎(KOICHIRO KAMEI)
マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表

中央大学法学部卒業。山一證券に勤務後、日本初のFP会社MMI、金の国際広報機関WGCを経て独立し、2002年より現職。市場分析、執筆講演など幅広く活躍中。




この記事は「WEBネットマネー2013年1月号」に掲載されたものです。