A Shaded View on Fashion (ASVOF) Diane Pernet (ダイアン・ペルネ) 氏インタビュー

写真拡大 (全3枚)


©Miguel Villalobos


取材・文: 編集部

2005年にスタートした現在最も影響力のあるファッションブログのひとつ「A Shaded View on Fashion(ASVOF)」。そしてファッション・スタイル・ビューティーをテーマにしたフィルムフェスティバル「A Shaded View on Fashion Film(ASVOFF)」。2つとも、世界的なファッションアイコンでもあるDiane Pernet(ダイアン・ペルネ)氏が主宰するプロジェクトだ。ファッショジャーナリストとして活動するほか、ときにはデザイナー、フォトグラファー、そしてフィルムメーカーとして、異なるアングルから世界中のファッションを切り取り、発信している。ミステリアスな彼女の正体とは?


©A Shaded View on Fashion

- まず、Dianeさんのバックグラウンドと、「ASVOF」をどのようにはじめたかについて聞きたいです。

どれぐらいさかのぼりたいかによりますね。大学の学位はフィルムメーキングで、ニューヨークで自分のブランドを立ち上げる前にファッションの勉強もしたことがあります。そのブランドは13年間続けていました。いろいろ少しずつ変わっていったのはパリに移住してからですね。私自身は映像フリークと自負していますが、いつも流行の先端に行くことに夢中だったと、おそらく私の近しい友人たちは言うと思います。インスピレーションを与えてくれるならだれでも、なんでも、とらえて、ドキュメントして、編集して、まわりの人たちと共有したいと思っていたんです。映像にせよ、ファッション、アート、その他の別のことでも。まわりにあるクリエイティブな世界について自分の“影がかかった意見”を共有することは強迫観念みたいなものなのだと思います。休みなく1年中、毎年開催する「ASVOFF」のためにキューレーションをしていますし、ブログの「ASVOF」もいつも更新し続けています。自分の仕事のすべてについて、いつも細かいところに目を向けているわけではないので、ブログのようにゆるいフォーマットに最初のころから引かれていたのかも知れません。でも強迫観念を持っていることに関して気がとがめたりもします。

 21年前にパリに移住したときの最初の仕事は、Amos Gitai(アモス・ギタイ)の映画「Golem, l'esprit de l'exil」のコスチュームデザインで、それからCBCのFashion Files(ファッション ファイル)のプロデューサー・アシスタント、「Joyce magazine(ジョイス マガジン)」のファッションエディターをしていました。そして「Elle.com」や「Vogue.fr」でエディターを務め、「Disciple Film」で「Diane’s Diaries」というコーナーも担当していました。「Disciple Film」での仕事をはじめて5年間が経ったころ、友達のAnina(Anina.net)が「lifeblogging」というモノをNokia(ノキア)の電話で試してみないかと聞いてきたんです。そして2005年の2月に「ASVOF」をはじめました。「lifeblogging」のテクノロジーを使って、ファッションを推し進める人々や場所、シーンを瞬時に放送することができたんです。静止画や映像クリップ、実況放送をデジタルやビデオ、そして携帯電話で送り届けることにより、「ASVOF」はファッションシーンの中心や周辺の両方をリアルタイムで放送することができるんです。インターナショナルのキャットウォークやフォーマルなイベント、パーティ、風変わりな展覧会、いろいろな個性を持つ人々、荒々しいダンスフロア、未来のスターデザイナー、ファッション界の権威、ファッションショーの最前列に座る人々、遠方の場所など、すべてのことについて情報発信できるんです。「lifeblogging」の使用は2007年に止め、いまは動画には「FLIP」、静止画にはデジタルカメラを使っています。FacebookやTwitterもあるので、「lifeblogging」はもう過去のモノですね。

2/2ページ:ブログは小さなモンスターのようなものなので、毎日なにかアップしないといけないですね。インタラクティブになればなるほどいい。


©A Shaded View on Fashion

- 「ASVOF」を運営する上で、なにが一番大切ですか?

ブログは小さなモンスターのようなものなので、毎日なにかアップしないといけないですね。インタラクティブになればなるほどいい。あと、いろいろな場所に同時にいることは不可能なので、世界中にブログ記事を投稿してくれるすばらしいコントリビューターがいます。いまのブログは同じルックで何年も続けてきているのでリニューアルを近いうちにする予定で、すごくたのしみなんです。こういうことはいつも思ったより時間がかかるものなんですよね。

- Dianeさんのブログにはいつも新しいニュースやデザイナーたちの情報がアップされていますが、どうやって見つけてくるのでしょうか?

旅行をたくさんして、いろいろな人に会います。そして彼らが私に作品を送ってくる。それを見ながら自分がおもしろいと思えるモノを選んで紹介します。読者にもひびくはずです。

- 世界中を旅していると思いますが、どの都市が一番好きですか?

率直にいうと東京です。エネルギッシュで、洗練されていて、上品。東京の人のファッションに対する接し方や、もちろん食べ物や東京の人々も大好きです。

- 日本のファッションについてはどう思いますか?

ディテールにこだわるところが好きです。鋭くもあり、詩的でもありますね。

- いま気になる日本のブランドはありますか?

いつも気になっているのが「Undercover」「COMME des GARÇONS」「Junya Watanabe」「Visvim」ですが、新しいブランドだと、村田明子のランジェリーライン「MA déshabillé」「Ohta」、Hachiの「Balmung」、「eatable of many orders」「Suzuki Takayuki」、黒河内真衣子の「mame」、「Takashi Nishiyama」、そして「Mikio Sakabe」です。

- 「ASVOFF」を運営していますが、だれの作品をフォローしていますか?

たくさんあります。Elisha Smith-Leverock、Mike Figgis、Wing Shya、Steven Meisel、Bryan Adams、Takahiro Kimura、Inez VanLamsweerde & Vinoodh Matadin、Jason Last & Jaime Rubiano、Katherina Jebb、Vincent Gaglisotro、Joe Lally、Suze Q and Leo Siboni、Lernert & Sander、Eric Weidt、Justin Anderson、Lucrecia Martel…名前は延々とあげられます。

- 最近見た映像のなかで、好きな作品を3つ教えてください。

Elisha Smith-Leverockの「I Want Muscle」、Lucrecia Martelが「Miu Miu(ミュウ ミュウ)」のために撮った「MUTA」、そしてKatherina Jebbが「COMME des GARÇONS」の香水ラインのために手掛けた「We Can Find Beautiful Things Without Consciousness」です。

- 最後に、おすすめのウェブマガジンやブログはありますか?

「NOWNESS」「AnOther」「The Business of Fashion(以後、BoF)」「StyleBubble」などが好きです。リンクをたどって見るサイトもたくさんありますが、多くの時間を自分のサイトを充実させるために使っているので、習慣的に見るのは「BoF」だけですね。


©Miguel Villalobos

Diane Pernet(ダイアン・ペルネ)
1980年代にファッションデザイナーとして活躍。2005年からはファッション業界の人間であれば必ずチェックをしているというカルト的な人気を誇るブログ「A Shaded View on Fashion」にて彼女独自の視点からファッションやアートなどの情報を毎日更新。2006年に世界中を巡回した映画祭「YOU WEAR IT WELL」を開催し、2008年からは 「A Shaded View on Fashion Film」を主催。世界各国の美術館、アートフェア、ファッションウィークにて巡回上映している。