取材・文: 編集部

シンガポール発信ですべてが“Made in Japan”のブランド、satisfaction guaranteed(サティスファクション・ギャランティード)。Facebookのファン数が200万人を超え(2012年6月18日現在)、ファッション部門としては国内1位、さらに世界からもみても29位と、Facebookをきっかけとし世界に勝負に出た企業として、圧倒的な存在感をしめしている。また2011年に伊藤忠テクノロジーベンチャーズから総額約2億5千万円の出資を受け、アジアを中心にさらなる国際的な展開を行っている。このブランドを手がける会社SATISFACTION GUARANTEED PTE LTDの代表・佐藤俊介氏はテレビや雑誌など数多くのメディアで取り上げられ、いま最も注目を集める経営者のひとり。そんな佐藤氏にバックグラウンドから今後の展望、さらには海外でビジネスを成功させるためのヒントを聞いた。

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- まず佐藤さんのバックグラウンドと経歴を教えてください。

ファッションの流れでいうと、中学生ぐらいからファッションを好きになって、そのころはバキバキのロリータパンクをやっていました。ミルクボーイとかスーパーラバーズとか。当時は、いしだ壱成とか武田真治とかの世代だったので、そういうスタイルが流行っていたんですよね。よくストリートスナップみたいのにも取り上げてもらっていたのですが、いま思うと写真が残ってなくてよかったと思います。(笑)

大学に入学してからは、裏原宿にハマっていました。朝7時からお店に並んで服を買って、そのあと遊歩道でその服を売るみたいなことをやっていましたね。1万円で買った服を2万円ですぐ売るみたいな。そういう時代だったんですよ。そのあと先駆けてヤフー・オークションがでてきて、そういう流通を破壊しましたけどね。大学では建築を専攻していたんですけど、あんまり向いていないと思ったので就職するなら、電通とか博報堂みたいな有名な大手広告代理店に行きたいと思っていました。だけど就職活動で広告代理店を80社ぐらい受けたんですが、落ちてしまいました。

大学時代にクラブとかのオーガナイザーもよくやっていたんですけど、それとは別の軸で某牛乳メーカーの宅配営業をやっていました。なぜか。(笑)もともとバイトにまったく受からない人間だったんで、たまたま受かったのが牛乳の営業だっただけなんですけど。。さっき言っていた、高い服を買って転売するための原資をその牛乳営業で稼いでいたんですよね。実は僕そこの地域ではカリスマ牛乳営業マンと言われていまして。(笑)関東のベスト3の営業マンだったんです。時給換算すると7,000円ぐらい稼いでいたと思います。

2/5ページ:Facebookのファンページを200万人まで増やせた要員は…


建築をやってたから、広告のコピーライターとして就職活動をしていたんですけど、よく考えたら建築の模型作り得意じゃないし、クリエイターというよりは営業かもしれないと思って、それで初めて営業として受けた会社がインターネットの会社で、バリュークリックジャパンという会社だったんです。そこでいまではまったく話さなかった牛乳営業の話をしたら、「間違いなく採用だ!」と言われました。それまでインターネットのイの字も知らなかったのですが、なんとか就職が決まってそこで初めてインターネットの世界に入りました。2001年のことです。

そこで2年半ぐらいインターネットの広告を学んで、それからスピンアウトして25歳から起業したという感じです。まぁ会社をはじめたときは右も左もわからなかったので、お金がなくてカードも支払えないみたいなときもありましたね。そして100%オーナーでビジネスをしようと思って、2006年にエスワンオーという会社を立ち上げました。そしてさらに2007年にsatisfaction guaranteedというブランドも立ち上げたんです。なぜファッションをはじめたのかというと、ファッションというのはブランド・エクイティが最も高い業種だからです。自分は広告業をずっとやっていたので、ブランドをつくるのを支援する会社にいたわけです。自分たちでブランドをつくることができたら非常に説得力があると思ったんです。


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- いろいろなところで聞かれていると思いますが、Facebookのファンページを増やせた要因はなんだと思いますか?

先行者メリットももちろんあります。それに当時は企業向けサイトとかやってるところもほとんどありませんでしたから。あと、“Facebook=グローバル” と思っていましたから、国際的に展開しているブランドで、どういう会社がファン数を集めているんだろう?と思って調べてみたんです。イッセイミヤケとかヨウジヤマモトやタケオキクチとか。だけどほとんどいなかったですね、1000人とかぐらいでした。その中で最も多かったのがA BATHING APE®でしたね。当時で3万人とかいました。そこでやっぱりA BATHING APE®はスゴいなと思いましたね。逆にそういうファンを持てたらかなり影響力を持てるんじゃないかなと思いました。

僕らはそのころからMADE IN JAPANでずっと服を作っていました。ビジネス的には、この円高でMADE IN JAPANの服をアジアに売るというのはほとんどビジネスにならないクレイジーなアイデアなんですが。そういうところも含めて、日本製のファッションブランドがあるというのをFacebookでは告知できるので、そこらへんがハマったんでしょうね。でもいま同じことをやっても間違いなく増えないでしょうね。いろいろなタイミングがあったんだと思います。

3/5ページ:単一企業の看板を背負って勝負するより、日本という国のブランドを看板にしたほうが当然パワーがあると思う。

あとブランドのロゴとかブランド名っていうのも、ものすごく重要だと思っています。satisfaction guaranteedという名前を僕が決めたとき、日本人だと読めないし、長過ぎると言われ大反対をくらいました。でもグローバルでこの名前を考えると非常にわかりやすい名前で、「satisfaction guaranteed」という意味を知らない外国人はほとんどいないですから。そういう意味では、ブランドとしてなにをメッセージとしているかは、見た瞬間にわかるブランド名なんです。しかもJAPANから来たブランドと言えば、そういうことなのかな?ってすぐわかるブランド名なんですよね。

ロゴとかもやっぱりすごく重要だと思っていて、普遍性を表したいと考えていたので、ダイヤモンドとドクロを組み合わせました。ロゴと言うのはインスピレーション上の話なんで、それがよければそれだけで「いいね!」も押してくれるんですよね。そこも含めて共感を得たじゃないでしょうか。

- MADE IN JAPANにこだわっている理由は?

日本というのはまだまだアジアではブランド力があって、日本にいるのにそのブランド力を使わないというのはもったないと思ったからです。単一企業の看板を背負って勝負するより、日本という国のブランドを看板にしたほうが当然パワーがあると思いました。


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- 佐藤さんにとって、Facebookはどういうツールだと思いますか?

Twitterとかもやってますけど、Facebookが一番企業においてマーケティングしやすい場所なんですよね。Twitterというのは情報発信メディアで、Facebookというのはコミュニケーションメディアなんです。情報発信メディアというのは、企業にとって実はすごい難しいんです。なぜなら企業というのは毎日ユーザーにとって有益な情報を発信することなんてないんですよ。Facebookはコミュニケーションビジネスなんで、極端な話ですけどユーザーに対応することで価値を高められますが、Twitterはどうでもいいことを書いているとフォローから外れちゃいますからね。ソーシャルメディアもいろいろあるんですけど、企業としてやるべきものはFacebookということですかね。

4/5ページ:いま気になっているファッション系のウェブサイトは?


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- Facebookのファンページを運営する上で、気をつけている点はありますか?

かなり気をつけてます。時間もそうだし、発信する内容も、発信した後のリアルタイム性も、すべてを考慮した上で発信しているんで。簡単そうに見えるんですけど、実はかなり高度な運用をしています。ユーザーがいつリアルタイムで動いているとかもも考えていますから。いまいろいろとシステム化もしています。でも僕らがやっていることは、一般的なレベルの運用じゃないですね。

- システム化とは?

開発中なんですけど、ユーザーのエンゲージメントとかどういう投稿が一番反応がいいかとか、そういうのを全部解析するシステムを作っているんですよ。僕ら用に作っていたんですけど、あまりにも出来がよかったので、企業向けにも売ろうか検討中です。

- Facebookページの内容のポイントはありますか?

気をつける点としては、satisfaction guaranteedのFacebookユーザーはアジア人が中心だと考えていますが、いま日本は晴れていたとしてもアジアでは雨かもしれないし、季節も違えば住んでいる環境もみんな違うわけですよね。
だから自分たちには当たり前に思えてることでも、「今日は雨が降っています」というだけでも、実はそれすらアジアの人たちは知らないわけです。たしかにそれはGoogleで検索して日本の天候を調べれば済む話なんですけど、いまは共有の時代。みんなソーシャル上で状況を収集する時代なんです。 ソーシャルのよさをうまく引き出す仕掛けはいろいろとあってですね、いろいろなことを投稿してみてその都度改善していくといった感じですね。

- いま気になっているファッション系のウェブサイトとかブログはありますか?

まったくないですね。ファッション系のものは一切目に入れてないです。僕らファッションブランドをやってるんですけど、ファッションだけにこだわっているわけじゃないんですよね。ブランドビジネスをやっているので、いまは電気バイクやスマホも企画しているところです。 ライフスタイルに入り込むブランドということでマーケティングをしています。

5/5ページ:企業がメディアになるというよりかは、そもそもメディアが必要ないという時代ですよね

- 大手メーカーは自社のサイトなどをメディア化していく動きがありますが。

結局インターネットというのは中抜きのビジネスをどんどん削除していくモノなので、いままでブランドというのはメディアを通じて創り上げていくしかなかったのですが、それすら変わってきていますよね。僕らはブランドをつくるにあたって、メディアを一切使ってないですし。逆に言うといままではプッシュ型で自分たちのブランドを強烈にアプローチして、それが結果としてブランドをつくっていました。だからそもそも企業がメディアになるというよりかは、そもそもメディアが必要ないという時代ですよね。“メディア=ブランド”であり、“ブランド=プロダクト”であるという、すべてが一緒くたになっているというイメージですかね。

だから僕は広告代理店というのはプロダクトをつくるべきだという考え方があります。本来そういうマーケティングやPRのノウハウもわかっているわけなので。だから僕たちは、自分たちで中抜きをやって、マーケティング、PR、広告、ブランドをつくることまで全部自分たちでやっています。

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佐藤俊介(さとう しゅんすけ)2006年に株式会社エスワンオーを設立。2007年にインターネットを活かしたアパレル事業を開始し、メイドインジャパンに拘ったブランド「satisfaction guaranteed」をローンチ。satisfaction guaranteedは現在世界20カ国以上、200万人以上のファンをFacebookで獲得し、ファン数日本一のFacebookページとして話題となっている。2010年、シンガポールにSATISFACTION GUARANTEED PTE LTDをを設立し、Founder&CEO就任。翌年に株式会社サティスファクションギャランティードジャパン設立、代表取締役社長CEOに就任し、株式会社エスワンオーインタラクティブ代表取締役会長就任。ソーシャルメディア活用の先進例としてテレビや雑誌など数多くのメディアに取り上げられ、全国で講演も多数行っている。2012年4月にシンガポールで行われたAPEC(アジア太平洋経済協力)にて単独スピーチを務めた。

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