“モノの百科事典”を目指すソーシャルサービス『Sumally (サマリー) 』CEO 山本憲資氏インタビュー

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取材・文: 編集部  写真: 三宅英正  英語翻訳: 倉増アンバー


©Sumally


2011年9月にスタートした、ユーザーの持っているモノ(have)や欲しいモノ(want)をシェアしあうソーシャルサービス『Sumally (サマリー) 』。「モノの百科事典」をコンセプトに、世界中に存在するあらゆるモノをひとつのフォーマットに整理し、まとめる存在となることを目指す同サービスは、ローンチするなりクリエイティブ・ファッション業界の感度の高い層を中心に話題となり、日本発のプラットフォームサービスとして注目を集め続けている。


Photography: Hidemasa Miyake

ファウンダーは元『GQ JAPAN (ジーキュー・ジャパン) 』編集者の山本憲資氏。サイトの開発は、中村勇吾氏率いる日本を代表するデザインスタジオtha ltd.(ティー・エイチ・エー)のデザインディレクター大輪英樹氏がデザインを担当し、同じく当時tha ltd.のエンジニアでありイメージブックマークサービス『FFFFOUND! (ファファファファウンド) 』の生みの親でもある北村慧太氏が手がけている(現在、北村氏は『Sumally』のCTO)。

「誰がそれを持っていて、誰が欲しがっているのか。そして誰が売っているのか」。そこまでを網羅してこそ2010年代の百科事典。そんな未来を見据える山本氏。雑誌の編集者から起業家へと転身し、前職でつちかったネットワークを生かしてサイトローンチ時にはメディアなどで紹介されているインフルエンサー100名から5,000点以上のアイテムを撮影し、最初のコンテンツにしたという。

茂木健一郎氏 (脳科学者) 、伊藤直樹氏 (クリエイティブディレクター)、藤原ヒロシ氏、平野啓一郎氏 (小説家)、宇野薫氏 (格闘家)、高城剛氏、スプツニ子氏 (アーティスト)など、誰もが知っているさまざまなジャンルの有名人が参加し、彼らを中心とした高感度層のユーザーを着々と獲得している。

そしてサービスがローンチしてちょうど1年が経った今年の9月、『Sumally』を運営する株式会社サマリーは、第三者割当増資を発行し、資本業務提携先としてリード・キャピタル・マネージメント株式会社の運営ファンドおよび株式会社オプトと締結することを発表した。この資本業務提携で増資額は約1.5億円となる。そのことにより今後さらなるサービスの拡充が期待され注目を集める『Sumally』の山本氏に、この1年間の総括と今後の展望を聞いた。

- まずローンチから1年が経ちましたが、手応えを教えてください。

総じて右肩上がりで成長できているのでよかったと思っています。ユーザー数は約8.5万人。登録されたアイテム数は50万点強。「want it」「have it」などをされたアクティブ数は1,000万超です。先のことは分からないと思っているところはあるのですが、尻すぼみにならなかったという意味では計画通りにきていると思います。

- 海外からの反応はどうでしょうか?

現在、『Sumally』ユーザーの10~15%くらいが海外のユーザーです。アジアとかでもっと流行るといいなとは思っているんですけど、いまのところは海外では欧米からのアクセスが多いです。おそらくcolette (コレット) 等のオフィシャルページがあるのが理由のひとつだと思います。言語対応の点では、いまは日本語版と英語版ができていて、もっと多言語化していきたいという思いはありますね。

2/3ページ: 「自分たちが作れるモノで、世界に通用するモノはなにかと見極めるコトがすごく大事」


Photography: Hidemasa Miyake


- 『Sumally』のチーム構成を教えてください。

スタッフは僕を含めて7人います。エンジニアが3名で、一名は先述のtha ltd. 出身の北村がCTOとして関わっています。加えてYahooとSonyから転職してきたエンジニアが一名ずついます。あとプロジェクトマネージャーが一名と、ブランド対応などの担当が一名。あと事務・経理が一名という構成です。

- チームのキャスティングを考えるにあたって意識している点はありますか?

サービスをやっていこうと思うと、いかに内製化して速いスピードでやっていくかというのが重要なポイントだと思っています。まだ業務が定量的に決まっているわけではないので、自分で考えてコミットできる人材をチームに引き入れて成長していく必要があると思っています。

- 今回、1.5億の出資を獲得したとのニュースがありました。


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以前、docomo (ドコモ) の20周年のキャンペーンをやらせていただいたのですが、そういう形で『Sumally』のサービスと相性がよいプロモーションができるのであれば、積極的に使っていただきたいと思っていました。ただ現状社内に営業リソースがあまりなかったので、その部分をうまくオプトのリソースを借りられればいいなというのがあって入っていただいたというのが経緯です。

- 増資が決まったということで、これから開発にも勢いが出てくると思うのですが、あらためて当初から実装を予定している『Sumally』のeコマース機能についてご説明をお願いします。

いままでモノを購入したいときはわざわざ買いに行かないとダメだったと思うのですが、『Sumally』ではユーザーが「want it」をしているページで売り手が販売できるという展開を考えています。例えば、Lady GaGa (レディ・ガガ) があるブランドのアイテムを「have it」したら、おそらく多くのユーザーがそのアイテムを「want it」するでしょう。そのページでそのブランドが直接その商品を販売できる。そんなマーケットを『Sumally』では作ります。これまでのeコマースは売っているモノを並べるという前提で成立しているのですが、これは非常に売り手オリエンティッドな仕組みで、マーチャンダイジング的にもユーザビリティ的にも原始的な仕組みです。またすでに売っているモノをユーザーが仕分けをするだけではなく、『Sumally』ではまず欲しいモノのリストをユーザーが作り、そこにマーケットを付けてくるという仕組みを作っていきたいと考えています。
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最初はBtoCの形から展開していく予定で、現在、参加してくれるブランドやショップを募集中です。加えてアプリのアップデートにも力を入れてきます。PC版はずいぶんブラッシュアップできてきているのですが、モバイルのユーザビリティも改善していきます。

- グローバルスタンダードなサービスを目指す『Sumally』としては、今後『Fancy (ファンシー)』といった競合サイトに対してどういう差別化を計っていく予定でしょうか?

最初は世界で使われるサービスを作ろうと漠然と思っていたのですが、やりながら心境の変化がありました。『Sumally』は実際の世の中で考えたときに「街」的な存在を目指しています。同じ「街」に来る人というのは何かしら共通の感覚をゆるやかに共有しているのでは、と。その共通言語のアウトプットとしての象徴が「渋谷」であり「原宿」であり「秋葉原」という形に表れている。その共通の感覚に共鳴して商業施設が作られ、またそこに人が集まってくるというループが繰り返され大きい雪だるまになった時に「街」になります。そういう風に「街」を作ると考えたときに、「ニューヨーク」を作るとなるとやっぱりアメリカ人に負けるんですよね。「パリ」を作ろうと思ったらやっぱりフランス人に負ける。「ロンドン」を作ろうと思ったらイギリス人に負ける。じゃあ僕らになにが作れるのかというのを考えると、やっぱり「原宿」や「渋谷」、「表参道」、「銀座」であり「秋葉原」であると思うんです。つまり、自分たちが作れるモノで、世界に通用するモノはなにかと見極めるコトがすごく大事だと思っていて、そこでがむしゃらに「ニューヨーク」を作ろうとしても、まあ絶対勝てないワケです。限られたリソースを注ぐ対象へのピントを外さないことはすごく大事だなとサービスをやればやるほど思うようになってきました。そこが必然的に差別化のポイントになってくるとは思います。

3/3ページ: 「市場の大きさというのは大事なんですけど、現状そこが論点ではなくて、まずはサービスとしての回転速度をあげるというのが重要です。」


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- まずは東京の「街」を作ってからグローバルに進出していくと。市場の規模的にも、日本でもまだまだ可能性があるといった感じでしょうか?

市場規模で考えたときに、「原宿」という街が「ニューヨーク」と比べると、規模では明らかに小さいんですけど、「原宿」が「ニューヨーク」にクオリティという側面で負けているかっていえば、そんなことはないと思っています。市場の大きさというのは大事なんですけど、現状そこが論点ではなくて、まずはサービスとしての回転速度をあげるというのが重要です。回転速度があがれば、あとは燃料を注入してあげたら回るので。その回転速度の源泉が、「街」の個性やアイデンティティになってくる、そういう観点では東京は世界に十分通用する要素が存分存在している地域だと認識しています。実際、僕のアイデンティティもこの街に根ざしたものですし、この街の人たちにネットワークが多少あって、そういう人たちを巻き込んでやろうとしている以上、ここで戦えるもので世界と戦っていくしかないと、決意として持っています。

- ウェブサービスにも東京ならでは個性を作るというのはとてもおもしろい考えですね。山本さんはウェブサービスを運営することに対してどんな魅力を感じていますか?

うちのCTOがよく言っていることなんですけど、広告のプロモーションとウェブサービスって決定的な違いがあって、広告業界のプロモーションは花火で、ウェブサービスは盆栽だと。広告のサービスは長くても1〜2ヶ月。早いものだと1週間のキャンペーンだったり。『Sumally』はようやくローンチから1年です。ローンチ時にはもちろん多少反響というのは必要ですけど、そこから成長し続けなきゃいけない。広告の世界とどっちが上とか下とか言っているわけじゃないんですけど、短距離と長距離みたいなものかもしれないですね。とにかくやり続けないといけないですし、成長させ続けないといけないというところはおもしろみでもあり、タフなところでもあります。

- オフィシャルアカウントの審査はあるのでしょうか?また今後増やしていきたいジャンルはありますか?

興味のあるブランドやショップはお問い合わせください。自分が持っていること、欲しいということを誰かに伝えたいと思うモノであればジャンルに関わらず積極的に取り組んでいきたいですね。

- 最後に一言おねがいします。

世界中で使われるサービスになれるように頑張ります。

*現在、『Sumally』はエンジニアとデザイナーを募集中。興味のある方は以下から。
URL: https://www.wantedly.com/projects/1273


Photography: Hidemasa Miyake

山本憲資 (やまもと けんすけ) 
Sumally CEO。一橋大学商学部卒業。大学卒業後、電通に入社。その後コンデナスト・ジャパンに転職し、雑誌『GQ JAPAN』にて編集者に。2009年9月にコンデナストを退社。翌年4月、『Sumally』を設立。

『Sumally』HP
URL: http://sumally.com