©PR Couture

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提供: PR Couture  文: クロズビー・ノリクス  翻訳: 編集部

*この記事は『PR Couture』に2012年5月に掲載された記事の日本語版です

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どのPRの参考書を手にとっても、PRの仕事を会社の従業員として行うPRというふうに想定している場合が多い。しかし実際には会社に雇われてPRを行うインハウスPRの場合と、ファッションPRエージェンシーを運営したり、そこで働きながらPRを行う場合と二つの選択肢がある。DKNYのAliza Licht (アリザ・リヒト) の場合は前者にあたり、Kelly Cutrone (ケリー・カトローン) の場合は後者にあたる。

大手ファッション企業の多くはインハウスでPRを行っている。ただ、ファッションショーやソーシャル・メディア・キャンペーン、プロダクト・プレイスメント、ローカル・メディアで特集を組んでもらったりする場合はPRエージェンシーに部分的に仕事をお願いする場合もある。小規模やスタートアップしたてのブランドはよく自分たちでPRをしていて、だいたいマーケティングかグラフィックデザイン、もしくはPRのインターンなどがPRの担当になる場合が多い。ファッションPRエージェンシーや、フルタイムで働けるPRの人材を雇えるようになるまでは。多くのブランドにとって、ファッションPRエージェンシーとの仕事はコミュニケーションや消費者へのリーチの点で重要な部分を占めることになるだろう。

内部でPRをするにせよ、外部にPRを任せるにせよ、仕事の大半はブランドのニュースをメディアで記事にしてもらったり、サンプルをファッションエディターたちに送ったり、ファッション撮影のエディトリアルで洋服を使ってもらったりすること。広告とは異なり直接的な費用はかからないが、PRの人件費はかかってしまう。インハウスと外部のエージェンシーではどちらがよいのだろうか?

インハウス・ファッションPRのメリットとデメリット

「インハウスPRは、ブランドと本当の意味でつながることができ、エディターやスタイリスト、デザインチームなどとブランドの顔として関係を持つことができる最高の仕事です。彼らはみんな私のところに来て、私のことを知っています。Jill Stuart (ジル スチュアート) で仕事をはじめて2年以上たちますが、私たちはみんな家族のようです。インハウスで働くということは、普通のPR業務以外の日々のビジネスにも関わるということ。インハウスで働くと高い次元でブランド・ビジネスに携わることができるんです」
Lindsey Green (リンジー・グリーン)、Jill Stuartコミュニケーションズ・ディレクター

以前小さなオンライン・ジュエリー会社でPRとマーケティングの担当として2年間働いたことがあります。そのときはCEOや少人数のスタッフと直接仕事をしていました。メディアからのリクエストに対応するほかに、サンプルの管理やメディアで紹介をしてもらう仕事をしたり、eメールでのニュースレターを週に3本作成、ウェブサイトのグラフィックデザイン、商品の紹介文なども書いていましたね。このジュエリー・ブランドのエキスパートになり、メディアでの露出を最大限にする仕事もうまくできていました。ここでの最大の課題は、一緒にブレインストームをする人や、だれかから学ぶということもなかったということです。仕事自体もやがて日課となり、新鮮味に欠けてきました。そこでさらに高みを目指すため、自分のPRエージェンシーをはじめることにしたんです。

インハウスPRのメリット
・ブランドの顔になる機会を与えられる
・担当ブランドのエキスパートになれる可能性がある
・上層部の経営陣に直接アクセスできる

インハウスPRのデメリット
・仕事がルーティン化してしまう可能性がある
・外部との連携をもたずに孤立したり、専門的になりすぎる可能性がある

2/2ページ: PRエージェンシーのメリットとデメリット

PRエージェンシーのメリットとデメリット

「エージェンシーで働きはじめて6年目を迎えますが、あらためてエージェンシーという環境で働くことに意義を感じます。私は同じフィールドで仕事をしている人たちにかこまれていますが、インハウスPRの場合はチームのひとりでかありません。同じようにいつもPRを仕事にしている人たちと仕事をしていると、メディアについていろいろと学び続けることができるんです。新しいコンタクト先や、新しい媒体、新しいアプローチ方法、ソーシャル・メディアなど、新しい発見はたくさんあります。また、エージェンシー側にいるとさまざまなブランドや部署と仕事をすることができ、なにが自分にとって一番最適な仕事なのか見つけることもできます。既存や将来のクライアントと仕事をし続けるために、いつもクリエイティブで賢くあり続けなければなりません。そのために私たちはいつも読み書きをしたり、PRの方法だけでなく、いまの仕事に現在起こっているイベントやトレンドがどのように影響を与えているのかさえも日々学んでいます。でも完璧な場所なんてありません。エージェンシーでの仕事は、1時間のランチ休憩つきの9時5時仕事ではありません。そして私たち自身が人件費という認識を強く持っているため、時間を無駄にできません。エージェンシーの世界では肩書きが大きな意味があります。それだけである程度“ごまかし”がきいたりもします。エージェンシーはそれぞれ異なっているので、インターンをしたり、インタビューをしたりして自分に合ったところを見つけることをすすめます。PRをしているブランドだけでなく、長期間にわたって働き続けているすばらしいスタッフがいるかどうかも重要です」
Kathleen Drain (キャサリーン・ドレイン)、Access Communicationsアカウント・スーパーバイザー

PRエージェンシーは一度にいくつかのクライアントを抱えます。たいていの場合、ひとつのクライアントに対して毎月一定時間の仕事をして、毎月の報酬と経費分をもらいます。エージェンシーは普段さまざまな会社やいろいろな分野の人たちと仕事をするため、広範囲にわたる専門知識や見識を持つことも可能になります。クライアントとのコミュニケーションは、主にeメール、会議電話、そして直接会っての打ち合わせもときどき行います。クライアントの商品をメディアで紹介をしてもらったり、プロダクト・プレイスメントを成功させることが、毎月の報酬の成果を見せる主な方法です。そのため、いつもメディアで取り上げてもらうためのアイデア出しや、クリエイティブなキャンペーンを考え出すことが日々のタスクにもなります。

私自身は、あるエージェンシーで主任として一度に3~4のクライアントと仕事をしたことがあります。私はクライアントについて可能な限り学びたいという欲求があったため、とてもよい仕事ができたと思っています。日々の仕事はやりがいがあり、たのしかったですが、インハウスのときのように思い通りに動くことができずに悩んだこともときどきあります。インハウス時代は決定権を持っている人たちに直接アクセスできていたので。しかしインハウスのPRをしていたという過去の経験があったため、あきらめなかったと同時に、エージェンシーPRのヒエラルキーに準じてPRを行うことはなかなかむずかしいことでした。最終的にはクライアントの要望を聞いて、観察するということがいかに大切かということを学べたと思います。当時一番の課題はライフスタイル系クライアントのパブリシティをどう増やすかということでした。インハウスPR時代は、媒体からのリクエストをたくさん抱えて仕事をしていましたが、このときは事前に対策を練って、雑誌の編集者たちにクライアントの商品に対して興味を持ってもらえるようにするのが仕事でした。すぐにとてもむずかしい仕事だと気づきましたが、同時にとてもやりがいがある仕事だとも思いました。

PRエージェンシーのメリット
・さまざまなブランドと仕事をして学ぶことができる
・ビジネスの最前線の人たちと関われる。孤立しない
・さまざまなブランドと仕事をするため、仕事環境がダイナミック
・新しいビジネスを考えてはじめる方法を学べる

PRエージェンシーのデメリット
・クライアントの承認ありきで物事が進む。自分だけで動けない
・クライアントと外部から接しているため、内部の会話を把握できない
・肩書きが重要になる。エージェンシー業界の政治が足かせに・費やした時間分の人件費請求

もちろん、PRに携わるほとんどの人がインハウスとエージェンシーの両方を働き方を試し、どちらが自分にとってよいか選択をしている。最も大切なのは、研修を重んじ、CEOからインターンまですべてのレベルでメディアとのコンタクトにアクセスでき、定期的に連絡を取れる環境を目指すことだ。

Crosby Noricks (クロズビー・ノリクス) 2006年でファッションPRウェブサイト『PR Couture』を設立。2008年からRed Door Interactiveのソーシャルメディアディレクターを努める。これまでに米国各大都市でファッションPRについて講義する上で、2008〜2010年米国の有名ファッション専門学校のFIDMやArt InstituteでPRインストラクターとして努めし、InfluenceSDの「Blogger of the Year」賞受賞。今年2012年に『Ready to Launch: The PR Couture Guide to Breaking into Fashion PR』の高評ファッションPRガイドブックを著作。

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URL: http://www.prcouture.com