ポイントは31カ月移動平均線。流れ次第では、1ドル=90円も視野へ。
2012年の歴史的な円高の終焉を見事に言い当てた川合氏。ファンダメンタルズからもテクニカルからも2013年はドル高の年になりそうだという。ただしユーロに関しては、楽観視はできそうもない。


米国はドル高、日本は円安要因が多い。日米のファンダメンタルズは一致

主要テーマは引き続き欧州債務危機の行方が焦点だが、これと並行して世界経済動向にも注目したい。特に米国経済がけん引役となり、世界経済の減速傾向に歯止めをかけられるかどうかがポイントだ。

米国経済はここへきて雇用情勢の改善と住宅市場の底打ちが確認され、消費動向にも好影響を与え始めている。超長期にわたる金融緩和政策がジワジワと効いて来たとすれば、ドル/円相場も日米ファンダメンタルズの格差や、米国長期金利の上昇傾向を受けてドル高が進みそうだ。

また、貿易収支が急速に赤字幅を広げているなど、独自の問題も表面化しつつある。この傾向は今後さらに進むと見られ、円安の一要因として働く可能性が高い。

テクニカルで見ても、ドル/円相場は2007年6月の124円台を高値とするドル安・円高トレンドから、今年2月にはドル高に転換している。10月後半に80円超えまでのドル上昇を見たことにより、短期トレンドにも変化が生じており、年終盤から来年に向けてさらなるドル上昇の動きが強まる可能性が高い。

長期的なトレンドと関連性の深い31カ月移動平均線は10月末現在、81円台前半に位置しているが、これを月足の終値ベースで上抜けてくれば90円方向への上昇につながりそうだ。逆に2月安値の76円台を割り込んだ場合は、再び円高の流れに戻すことになるが、サイクル的に見ればその可能性は低いだろう。

一方、欧州格下げの動きや南欧国債相場動向からは目が離せないが、IMF総会では厳しい財政緊縮による経済への悪影響について考慮すべきとの意見が強かった。当該国の債務問題はいったん棚上げ、あるいは、猶予期間を設ける可能性が出てきている。

今後EU諸国が景気対策重視へギアチェンジするなら、ユーロ/円相場もこれまでのように国債が格下げされるごとに急落するような動きにはつながらないはずだ。

ただし、テクニカルには、長期的なユーロ安・円高のトレンドにはまったく変化が生じていない。1ユーロ=95円台を再び割り込んだ場合は、2000年に付けた歴史的な安値88円台を割り込む可能性が高くなる。

2013年を読み解く急所!
長期にわたる金融政策が効いてきた米国経済。一方、日本は円安要因が目白押し。つまり、為替相場はドル高・円安への圧力が増している。テクニカル的にも長期ドル高トレンドが鮮明だ。

川合 美智子(MICHIKO KAWAI)
ワカバヤシ エフエックスアソシエイツ 代表取締役

東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)在勤中に若林栄四氏のもとで罫線分析を習熟。同行でカスタマーディーラーとして活躍後、在日外国銀行へ。現在、外国為替ストラテジストとして人気を博している。



この記事は「WEBネットマネー2013年1月号」に掲載されたものです。