「35歳の壁」を乗り越える人の7つの条件

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■過去の成功体験にしがみつく人はNG

転職業界でよくささやかれる“35歳限界説”。「その人の持つポテンシャルだけで転職できるのは35歳まで。それ以降はバリューや経験がなければ転職が難しくなり、門戸も狭くなる」というものですが、法律によって年齢を求人の条件にできなくなった今でも、実態としては「35歳の壁」が残っています。

ただ、35歳以上でも転職して収入を上げている人は少なからずいます。彼らに共通しているのは、なんといっても、確固たる仕事の実績があることです。ただ、いくら実績があってもそれだけでは弱い。「経験をしてきた事業領域がたまたま成長マーケットで、時流に乗っただけ」とみなされることもあり、高評価の対象になりづらいのです。

企業が欲しがるのは、高い仕事の実績を“継続的”に出し続けている人。昨今はマーケットの変化が速く、社内で通用するコンピテンシー(能力)だけで実績を出し続けるのは難しい。逆にいえば、継続して実績を出すことできれば、「どの環境でも成果を出せる普遍的な能力を持った人材」と評価されるのです。

転職市場では、仕事の専門スキルも評価の対象になります。ただ、それだけで安泰ではありません。マーケットの変化が速いということは、求められる専門スキルもどんどん変わるということ。たとえば、ITエンジニアは1年単位で仕事の内容もどんどんと変わるので、マーケットの変化を予見しながら、新たな専門スキルを身につけることが大切です。

一般のビジネスマンも同じです。2000年前後はITリテラシーを持っていることが、評価の対象でしたが、今やそれらのスキルは当たり前。現在は、多くの企業が海外展開を経営戦略の要に置いているため、語学力や海外関連の業務スキルが重要とみなされています。加えて、海外事業を立ち上げた経験等があれば、高く評価してくれるでしょう。

35歳以上になると、チーム全体をマネジメントするスキルも不可欠です。企業が求めるのは、メンバーのモチベーションを高めながら、1人1人の力を足し算ではなく「掛け算」にしていくチームビルディング力。その点では、比較的能力やモチベーションが高い人が集まる大企業におけるマネジメントの実績よりも、多種多様な社員がいて、能力やモチベーションもばらばらのチームで実績を出した人のほうが、転職市場では評価される傾向にあります。

事業そのものをマネジメントする力も必要です。ベンチャー企業のように人的・物質的資源が足りない組織で事業をマネジメントした経験がある人。たとえばマーケティングの部署がある大企業なら、セールス部門のマネジャーはセールス領域に特化した仕事に集中できますが、人的資源の少ないベンチャーでは、セールス部門のマネジャーでも、マーケティングを含めてカバーすることもあります。そうした守備範囲の広い経験が評価される傾向にあります。

マインド面では、柔軟性が大事です。どんなに実績のある人も、他社に転職すれば一度リセットしてゼロからチャレンジする覚悟が必要です。ところがプライドの高さからか、過去の成功体験にしがみつく人が少なくない。こういう人は転職先で現状を否定し、過去の成功体験を持ち出し、再現しようとします。まさに企業が敬遠したいタイプの人材です。現場を受け入れながらも、新たな価値として企業を進化させることのできる人材が必要とされています。

転職先は自分を必要としてくれる企業を選びたいですが、そうした出合いは、ヘッドハンティングなどで声がかかったり、リストラなどで突然訪れたりします。いざというときに慌てないためにも、自分の強みや、将来のキャリアビジョンを今から整理しておくのをお勧めします。

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リクルートエグゼクティブエージェントエグゼクティブコンサルタント 森本千賀子 
1970年生まれ。93年リクルート人材センター(現リクルートキャリア)入社。2010年より現職。近著は『No.1営業ウーマンの「朝3時起き」でトリプルハッピーに生きる本』。

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(リクルートエグゼクティブエージェントエグゼクティブコンサルタント 森本千賀子 構成=村上 敬 撮影=大沢尚芳)