米国はドル高材料、日本は円安圧力なら、当然ドル買い。
10 月に急きょ、スイス・チューリッヒの機関投資家ミーティングに参加した崔氏。そこには、2013年を円安・ドル高の年と考えている青い目の投資家たちが多数いたそうだ。3極通貨を強い順に並べれば、ドル、円、ユーロになるという。


米国の「財政の崖」問題も付け替え策で回避。新年相場はドル高相場

米国は断続的な金融緩和により、経済への波及効果が大きい住宅市場が回復を見せています。事実、住宅着工件数は9月時点で87万2000戸と、約4年ぶりの高水準です。この回復は日本のゼロ金利政策後に起きた「いざなみ景気」に似ており、米国景気も日本同様に緩やかに継続することが予想されます。

当時の日本は、国民全体が豊かさを感じられない経済回復でした。その理由は、バブル崩壊の影響が小さい富裕層や優良企業は低金利の恩恵を受けられる一方で、その影響が大きい中低所得層や零細企業はバランスシート調整に必死だったからです。

米国も同様に、サブプライムローン問題で家計と企業はバランスシートの調整が経済回復の足かせとなっていました。今後は低金利と株価対策を目的とした米国の金融緩和により、富裕層や余裕のある企業を中心とした経済回復が続くことになるでしょう。

緩やかな経済回復が見込まれる米国経済ですが、当然ながらリスクはあります。

まずは2000年代に始まった大型減税策(ブッシュ減税)が2012年末に失効する「財政の崖」です。対応策をとらなければ、米国GDP成長率を4%ほど押し下げると試算されています。しかし、両大統領候補は減税策を政策綱領に盛り込んでおり、付け替え策として減税策を打ち出す可能性があります。波及効果の期待できる減税策としては、2010年にオバマ大統領が実施しようとし「HIA2(本国投資法第2弾)」があります。当時は議会の反発から実施は困難でした。しかし当時とは状況が異なり、減税の追加策でなく付け替え策としての役割を担います。

現在の米国企業の海外滞留額は7000億ドル強(ムーディ―ズ試算)とされており、HIAが実施された2005年当時と同じように還流されたならば、米国GDPの約2%の規模になります。

2つ目のリスクは、FRBの金融政策に手詰まり感があることです。FRBは失業率低下を目標としており、積極的な金融緩和を主軸としています。しかし、マネーストックの伸び率が停滞しています。

これはFRBが金融緩和を行なっても、企業や家計にお金が行き渡らず、経済全体にドルが流通しきれていないことを示します。加えて、QE3の月平均証券買い取り額は400億ドルと、QE1の1750億ドル、QE2の750億ドルよりも規模が小さくなっています。金融緩和の波及効果と供給量が減っていることを考えてもドル高圧力は高まりつつあるのです。

さて、2013年の日本経済ですが、輸出割合の約2割を占める中国の経済が意外にも堅調な数字を見せています。さらに、米国経済の回復が見込めることから、日本経済が大きく停滞する可能性は小さいとみています。

しかし、米国経済とは相対的に日本経済の回復が弱いことが予想され、実体経済だけを考慮しても対米ドルでは円安に振れやすいでしょう。

また日本固有の要因からも円安圧力がかかりやすくなっています。輸入燃料の高騰などの影響で、2012年度上半期の貿易収支赤字は1979年以降で過去最悪を記録しました。一気に経常赤字とはならないものの、円安圧力であることは間違いありません。

4月の日銀総裁選次第で、円安が加速するかも。1ドル=95円も近い!?

最後は、日本の消費者物価が日銀目標の1%増にはほど遠く、政府から日銀への金融緩和圧力が強くなっていることです。4月には日銀総人事が予定されており、金融緩和に消極的な白川氏でなく、積極的な総裁が誕生すると円安が加速する可能性があります。