[其ノ三 注目商品 不動産投資対決編]不動産を狙うなら、 まずはJ−REIT
J−REIT VS. マンション投資

長らく続いた地価の下落に下げ止まり傾向が明らかになりつつある。そこで注目の2つの商品を比較。供給過剰といわれる不動産市場は期待できる?


配当可能利益の90%超が分配される高利回りで人気化

9月に公表された基準地価(2012年7月1日時点の都道府県地価調査価格)によると、土地の価格は下げ止まりの傾向が明らかになりました。全国平均では住宅地が前年比マイナス2.5%で21年連続の下落、商業地がマイナス3.1%で5年連続の下落でしたが、下落率はいずれも3年連続で縮小しています。特に3大都市圏では、ほぼ下げ止まりの水準です。

こうした傾向が今後も続けば、都市部の地価は大きな上昇はないものの、下落をする可能性も低くなります。それは当然、不動産価格の下げ止まり、場合によっては上昇に結びつきます。不動産投資は今、好機を迎えているといえるのかもしれません。

ただし、不動産投資で値上り益(キャピタルゲイン)を狙うのは依然として難しい状況。必然的に安定収益(インカムゲイン)、つまり賃料収入を見込むことになります。そこで今回は、手軽に不動産に投資できるJ―REIT(不動産投信)と、実物不動産に投資するマンション投資の対決。

J―REITは、不動産を所有・運営するためにつくられた「投資法人」が投資家から集めた資金をもとに各種物件を取得し、テナントに貸し出して収益を得、そこから投資家に分配する仕組みです。

物件は住居専用のマンション、オフィスビル、商業施設、ホテル、物流施設、それらの複合化型など、さまざま。

「現在35本が東証に上場され、配当可能利益(賃料収入―〈維持管理費+借入金の利息等〉)の90%超が分配されます。現在の分配金利回りは3%台から8%台と高く、人気を集めています。また、上場基準を満たしているため、情報の透明性が高いのも特徴のひとつです」とFPの中村宏さんは言います。



高齢単身者による需要増は、マンション投資には追い風だが…

一方のマンション投資は、数百万円から数千万円と、1つの物件を取得するにも多額の資金が必要です。ロケーション、周囲物件との競争環境などによって家賃相場が左右されます。立地は、人口が減らない都市部のビジネス街や大学の近くがよいようです。また、管理費、火災保険料、修繕費などのランニングコストがかかり、借り入れをして取得する場合には利息の支払いが必要になります。

国土交通省によると、11年の床面積20平方メートル以下の住宅着工戸数は約4000戸で、06年の約1万2000戸から急減し、全体に占める割合も低下傾向にあります。ちなみに、バブル期の1990年では10万戸を超えていました。30平方メートル以下でも11年は約39000戸で、06年の4分の1となっています。

「ただ、単身者、特に高齢の単身者が増えると予測される中、ワンルームマンションの需要は増える可能性があります。一方で建築規制の強化により供給が減少していることも考えると、中長期的には大都市圏のマンション投資には追い風が吹くかもしれません」(中村さん)

マンション投資のハードルの高さと比べると、数万円からの少額投資が可能、自由に売買できて流動性が高い、維持管理のコストや手間がかからないなど、J ―REITの手軽さは圧倒的に有利。

というわけで、今回の対決はJ ―REITに軍配!



【今月の対決立会人】
中村 宏(HIROSHI NAKAMURA)
ファイナンシャル・プランナー

大学卒業後、ベネッセコーポレーション入社。2003年、FPオフィスワーク・ワークスを設立し、個人相談、セミナー講師、執筆などで活躍中。



この記事は「WEBネットマネー2013年1月号」に掲載されたものです。