WOWOW編成さんに聞く! 映画番組の編成の話




テレビの地上波で洋画劇場が減っていて、映画好きにはちょっと寂しいご時世です。一方で独自の番組編成で好調に映画を放映しているのがWOWOWです。WOWOWさんの映画番組はどのように決められているのでしょうか。



株式会社WOWOW 編成制作局 編成部の渡邉数馬さんのお話を伺いました。





■新作放映映画を軸に決めていく!



――WOWOWさんの映画の番組編成はどのように決まっているのでしょうか。



渡邉さん 映画は新作が封切られますと、基本的には劇場、ビデオセル(DVDなどを含む)、ペイパービューという順路を経てWOWOWなどのペイテレビで放送が可能となります。作品によりますが、大体新作映画が公開されてから1年〜1年半ぐらいです。



月々WOWOWに初登場するこの新作映画を軸に番組を編成しています。



――例えば、1年前に『スパイダーマン』を劇場公開したのでそろそろ放映できるから……とか、そういう配置の仕方でしょうか。



渡邉さん そうですね。その初放送となる新作をゴールデンタイムに入れて、その周りで関連作品を特集編成するとか。実際にありましたが、『ハリー・ポッター』の最新作を放映する際には、それまでの旧作全作品を同じ日に縦積み一挙放送するなどです。



――ゴールデンタイムというのはあるのでしょうか?



渡邉さん やはり週末ですよね。金、土、日、特に土曜日の21時からの2時間は大事なゴールデンタイムです。横軸が月〜日まで、縦軸に時間が並んでいるシートを想像してください。お客さまが映画をご覧になる時間はやはり平日には帰宅された夜ですよね。



それが横にずっと、曜日を横断して並んで、土日は休日ですから一日を通じて映画を楽しんでいただけます。「逆L字型」と呼ぶんですが、この枠がお客さまが映画を見やすい、大事な時間帯です。毎月の編成はここにどんな映画を入れるかから考えていきます。



――その大事な枠にはどんな映画をはめるのですか?



渡邉さん プライオリティーが高いのは話題性のある「誰もが楽しんもらえる映画」です。興行収入の大きかった映画はそれだけ見たい人が多いわけですから。



――ゴールデン枠以外はどうやって決めるんですか?



渡邉さん 例えば、お昼なんかはながら視聴に適したライトな映画にしておこうとか、深夜のミッドナイト枠には「知る人ぞ知るミニシアター系」の映画を入れようとか。



――ということは、それぞれの曜日、時間帯に「枠」が設定してあって、それに適した映画をはめていくというスタイルなんですか?



渡邉さん そうです。総合映画編成のWOWOWシネマならではの多彩なジャンル、嗜好に対応した映画枠、さらに映画の楽しみ方や出会いを提案する特集編成という2つの軸を中心に月々の編成を組み立てていきます。



ホワイトボードにシートを作って、みんなで埋めていくみたいな感じです。もちろんパソコンでやりますけどね(笑)。



――1カ月分の番組編成はどのくらい前にできてるものですか?



渡邉さん 宣伝物の締め切りの都合などもあるんですが、3〜4カ月前にはできていますね。今はちょうど年明けの番組編成をやっているところです。



――なるほど。1年間での編成はどういう風に決めるのでしょうか。



渡邉さん 映画を見てもらえるのは余暇ですから、みなさんに時間ができる時期をまず軸に考えます。年末年始、ゴールデンウイーク、お盆などですね。実際にやりましたが、例えばお盆編成の目玉として、黒澤明監督全30作品のハイビジョン一挙放送をお届けするとか、年末年始編成の目玉として『男はつらいよ』シリーズ全49本一挙放送をお届けするとか、中長期的なコンテンツ戦略によって作品を調達し、お客さまが最大限お楽しみいただくタイミングで特集を組むんです。



■放送する映画の調達はどうしているのか!?



――WOWOWさんは、放送する映画の調達はどのように行っているのでしょうか。



渡邉さん 基本的にはテレビでの「放送権」を購入するという形の契約を結びます。配給会社や製作会社といった邦画の各ライセンサー、ハリウッドメジャースタジオなどが相手です。特にハリウッドメジャースタジオとは、安定的な放送権の確保を狙い、包括的な中長期契約を結んでいます。



――長期的な契約というのは怖くないでしょうか。映画の仕入れというのは怖いもので、ペラ1枚とか写真1枚で購入したりすると聞きました。3年先の映画とか、まだ影も形もないのでは? 何が出てくるか怖くないですか?



渡邉さん 映画の「買い付け」は本当に大変だと思いますが(笑)。放送権の調達は映画の購入ほどはリスクは高くないです。弊社は基本的には劇場公開をされた映画を中心に調達、編成を行っておりますので、興行収入の多寡によるリスクヘッジなども契約に盛り込んでいますし。



――その映画の放送権の価格はいくらぐらいなのでしょうか。



渡邉さん 具体的な金額は申し上げられませんが(笑)、正直金額の幅は作品によって大きく変動します。映画って、ヒット規模や興行収入によってその価値は大きく変動するものです。予算の大小にかかわらず、面白くて興行収入が良ければその価値はどこまでも上がります。



――興行収入がその映画の価値、値段を決めていると言えますか?



渡邉さん それが「すべて」ではありませんが、最も重要な判断基準であることは確かですね。ただ、一般受けはしないけれども確実にコアな層にヒットする、そういう映画もあります。



――WOWOWさんで新しく試してみたい番組編成はありますか?



渡邉さん WOWOWは昨年の10月に3チャンネル開局を果たし、念願の映画専門チャンネルWOWOWシネマをスタートいたしました。それまでは、例えばテニスの生中継などや人気の海外ドラマ作品と、先ほど申し上げたゴールデンタイムを競い合ったりしていました。



いわゆる、放送枠の争いがあったわけです。ですが、今では、映画は映画、スポーツはスポーツと、3チャンネルそれぞれを活用することで専門性を強めてお客さまに届けられています。映画については24時間専門ということで、今まで以上にボリューム感やこだわり感を持ったさまざまな大型企画を成立させるベースがもてたかなと思っております。



開局から1年が経ちましたが、引き続き専門チャンネルだからこそできるさまざまな企画を通じより多くの映画ファンに喜んでいただけるチャンネルを目指して頑張っていきたいですね。



映画の番組編成はどうも面白そうです。「仕事楽しそうですね」と伺ったところ渡邉さんは「楽しいです」と即答でした。いやあ、映画って本当にいいものですね!





(高橋モータース@dcp)



WOWOWさんのサイト

http://www.wowow.co.jp/