心理学ジャーナリスト 佐々木正悟氏

写真拡大

わかっちゃいるけど取りかかれない。その心理的メカニズムを理解すれば、突破口は必ず見える。すぐやる人になるための簡単な仕掛けを紹介する。

やるべきことは山ほどあるのに、なにしろ面倒臭い。自分はダラダラしているつもりはないが、なぜか、上司からダラダラしていると叱られる……。

佐々木正悟氏によれば、これは白昼夢タイプ=デイドリーマーと呼ばれる人々の特徴であり、グズの中でも最も症状が重い。

「デイドリーマーは、頭の中だけで仕事を完結させてしまう人々です。空想にエネルギーを集中し、空想の世界で達成感を得ている。本人は真剣でも、周囲から見ればただボーっとしているだけです」

たとえば机を片づけねばならないとき、デイドリーマーは、段取りを考え、机がキレイに片づいていく過程まで想像してしまう。それですっかり満足してしまうので、実際には何もしない。この一連のプロセスが頭の中で自動的に展開してしまうため、本人にもどうにもならない。

「とにかくやるべきことをすべてスケジュールに入れてしまうことです。掃除ですら例外ではありません」と言うのは平本あきお氏。「月曜の朝9時から掃除と入れておく。ほかの予定が入ったら、その都度リスケすることがポイントです」。

デイドリーマーは本人の自覚がないだけに、周囲の働きかけが大切になる。

「このタイプは、自己愛的な傾向が強いので、周囲からグズだと罵られても、それをあまり苦にしません」(佐々木)

なんだかムカつく人格だが、苦にしないのなら追い込んだところで効果は薄い。

「同時に、ヒロイズムに酔い痴れるタイプでもあるので、有効なのは名言です。たとえば、『虎穴に入らずんば虎児を得ず』といった格言をインプットしてやる。すると、『ああ、いままさに自分は虎穴に突入する瞬間なんだ』、などとヒロイックな気分になって、重たい腰をようやく上げることになります」

要するに、映画や小説の主人公のような気分になれれば、彼らは喜んで仕事をする。そのための舞台装置をつくってやり、演出をしてやる必要があるわけだ。

「いわば、白昼夢の中で現実の仕事をしてもらうという感じでしょうか」

また、デイドリーマーは当然のごとく、地道な仕事が嫌いである。アイデアを出したり、企画を考えたりするのは好きだが、つまらない仕事をコツコツやるのは最も苦手。空想好きの彼らは、リアルな世界の出来事を、極度に面倒臭がる。しかし、こういう人材に地道な仕事をやらせなければならない局面もある。

「そういうときはTODOリストを細分化して、それぞれに所要時間を設定するといいでしょう。彼らは雑用的な仕事が最も嫌いで、『自分はこんな仕事をやるべき人間ではない』と心のどこかで思っています。ですから、つまらない雑用は10分で終わるよというように、あらかじめゴールを見せてやるのです」(佐々木)

----------

心理学ジャーナリスト 佐々木正悟(ささき・しょうご)
1973年、北海道生まれ。獨協大学、アヴィラ大学心理学科卒。『いつも先送りするあなたがすぐやる人になる50の方法』など、著書多数。ブログ「ライフハック心理学」を主宰している。

メンタルコーチ 平本あきお(ひらもと・あきお)
1965年、兵庫県生まれ。東京大学大学院修士課程修了。北京五輪の金メダリスト、石井慧選手などのメンタルコーチ。多数の民間企業、官公庁の研修を行う。著書に『すぐやる!すぐやめる!技術』。

----------

(ライター 山田清機=文 川本聖哉=撮影)