[其ノ二 FX 投資戦略編]米ドル/円の買い 焦点は、米国の政治から日本の政治に…
日本の政局が慌ただしいが、珍しく為替に影響しそう。解散・総選挙で自民党が勝つと、円安圧力が増すとか!?


自民党は産業寄り。日銀への緩和圧力増と財政悪化で円安へ!?

年末にかけては、米国だけでなく日本についても政治情勢が焦点となりそうです。

米国では、財政緊縮措置=「財政の崖」の緩和をめぐる民主・共和両党の協議が続けられることになります。緊縮幅の縮小で政治的妥協が図られれば、来年以降の米国経済成長率のマイナス化のリスクが後退するため、米ドル買い要因となるでしょう。

しかし、協議が遅れたり決裂したりして、年明けから自動的な財政支出削減が発動されると、米国景気がマイナス化する可能性も。その場合、米ドル安圧力に加えて市場全体のリスクオフにつながり、円高圧力が強まりそうです。

一方、日本では臨時国会閉会後の衆院解散・総選挙の可能性が注目されます。通常、日本の選挙などで政治情勢が円相場を大きく動かす材料になることは少ないのですが、今回は政権交代が起こる可能性があり、そうなった場合の経済政策のシフトが円相場に影響を与えると考えられるのです。

世論調査では、第3の勢力の伸長もさることながら、自民党が第一党となる可能性も示されています。もともと自民党は民主党より産業界寄りといわれ、為替問題(円高対策)でも、より積極的な政策をとるとみられています。

安倍自民党総裁はかねてよりインフレ目標について、現在日銀が?メド〞として掲げる1%よりも高い、2〜3%がよいと再三表明しており、日銀への追加金融緩和圧力が高まるとの市場の思惑を高めやすいと考えています。

また、自民党は景気への配慮もあって2014年度以降の消費税増税に関して消極的で、大規模財政刺激策決定の可能性もあることから、日本のソブリン格付けに悪影響が出て、円売り要因として意識されそうです。このため、日本の衆院解散・総選挙は選挙後の金融・財政政策の方向性への期待から円安圧力となりそうです。「財政の崖」に関する政治的リスクは少なからずありますが、米国景気の堅調からくる米ドル高と、日本の政治情勢からくる円売り圧力を受けて、米ドル/円は上昇しやすいでしょう。

【今月の先読み軍師】
山本雅文(MASAFUMI YAMAMOTO)
バークレイズ銀行チーフ FXストラテジスト

日本銀行で10年にわたり重要な為替取引や調査に従事した後、日興シティグループなどを経て、現職。特に欧州経済に詳しい。



この記事は「WEBネットマネー2013年1月号」に掲載されたものです。