山田隆道の幸せになれる結婚 (12) 中学時代の同級生と結婚! 「純愛野郎」の真実とは?

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先日、仕事関係の飲み会で、たまたま結婚談義になった。

話題の中心は、最近結婚したばかりだという30代半ばの男性だ。

なんでも彼の奥様は中学時代の同級生だとか。

「おお、それは珍しい!」その場に居合わせた男性全員が色めき立った。

学内恋愛からの結婚が珍しくない地方都市と違って、東京という街は基本的に地元出身者が少ないため、古くからの恋愛がそのまま結婚に結び付くケースは極めて少ないのだ。

したがって、我々は彼に対して「純愛野郎」のイメージを抱くことになった。

人気プロゴルファーの石川遼が中学時代の同級生との婚約を発表したときに感じたような、一途で美しい、小さな恋の物語を頭に描く。

中学時代の同級生と30代半ばになって結婚ということは、すなわち彼は初恋の女性と20年にも及ぶ長い道のりを経て、ようやく幸せをつかんだということか。

いやはや、考えれば考えるほど珍しい。

何がすごいって、いくらなんでも20年は長すぎる。

実際は二人の間に色んな紆余曲折があった、ということか。

すると、彼が事の真相を打ち明けてくれた。

「いやいや、中学時代の同級生と言っても、その当時からずっと付き合っていたわけじゃなくて、お互い30歳になったころに同窓会で再会したんですよ」なるほど。

僕は一気に腑に落ちた。

結婚相手が中学の同級生だからといって、必ずしも20年にも及ぶ恋愛を経ているわけではない。

少し考えればわかりそうなことである。

しかし、それでも運命的な出会いであることには変わりない。

同窓会で再会した学友と恋に落ちる。

そこだけ切り取れば、まるで昼ドラのようだ。

実際、彼は件(くだん)の同窓会のとき、昔と比べて見違えるほど綺麗になっていた現在の奥様に一瞬にして目を奪われ、以降は同窓会そっちのけで、彼女のことを口説きにかかったという。

同窓会特有の高揚感も手伝って、ほとんど合コン状態だったとか。

しかも、彼の頭の中にはしたたかな計算もあった。

それは彼女を口説くために必死で考えた、同窓会でしか使えない次の台詞を駆使したことである。

「今だから言えるけど、実は昔好きだったんだよ」この台詞の最大の長所は、非常に言いやすいことだ。

誰だって女性に「好きだ」とはっきり告白するのは抵抗があるかもしれないが、「昔好きだった」という台詞なら冗談交じりに言えたりする。

そもそも、これはなるべく軽いノリで打ち明けるのがポイントだ。

ちなみに、本当は好きではなかったとしても問題ない。

昔はなんとも思っていなかった同級生が久々に会ったら綺麗になっていた場合、嘘でも「実は昔好きだった」という設定にすればいいだけのことだ。

これはあくまで口説き文句の導入なのだ。

しかし一方で、打ち明けられた女性は悪い気はしないだろう。

男と女を逆にして想像してみたらわかる。

好きでもない女性から「好きだ」と言い寄られたら、男性は少し困るかもしれないが、「昔好きだったんだ」と照れながらも明るく打ち明けられれば、別に困ることはない。

「昔の話」というエクスキューズさえあれば、好きではない異性から告白されても、なんとなく嬉しく、そして温かい気持ちになるものである。

実際、彼がそういう告白をしたとき、彼女は嬉しそうな表情を浮かべながら「えー、嘘ー!? 全然知らなかったあ」と照れくさそうにしていたという。

そこで、彼は「昔好きだった話」にリアリティーを加えるべく、「実は下駄箱のところで、いつも帰りを待っていたんだ」「実は帰宅のときに、わざわざ遠回りして君の家の前を通ることが日課だった」などと、ディテールのエピソードを追加。

そうやって、会話を盛り上げたわけだ。