【年末企画】2012年に気になったスマホ関連トピックは? 手持ちの機種を眺めながら思い出してみる(アプリ開発エンジニア・えど編)
今年購入した端末から今年のトレンドを思い出そう

気が付けばもう2012年も終わろうという時期ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?当ブログメディア「S-MAX(エスマックス)」のメインテーマであるスマートフォンやスマートデバイス周辺にも、今年も様々な動きがありました。そこで、今回は「年末企画」として、この1年を振り返ってみたいなと。

ただこの業界、あまりに動きが激くて、何があったか思い出すのがちょっと難しい状態なので、とりあえず、今年購入した機種をあらためて眺めながら、印象に残った話題をピックアップしてみたいと思います。多分に一人語りですが、よろしければお付き合いください。

■より高速な通信へ〜とにかくLTEの時代

2012年一気に盛り上がったのは次世代高速通信サービス「LTE(Long Term Evolution)」ではないでしょうか。現行の携帯電話通信方式を大きく上回る高速・低遅延通信を実現するLTEは、これまでもNTTドコモが「Xi(クロッシィ)」としてサービスを行っていましたが、9月に発売された「iPhone 5」に合わせてKDDIとソフトバンクモバイルがそれぞれ「4G LTE」という名称でサービスを開始してから“LTE”という言葉自体の知名度が一気に上昇しました。これまでLTEという言葉をプッシュしていなかったNTTドコモまでもが「docomo LTE Xi」というフレーズを使い始めたのが象徴的です。KDDIはその後発表されたAndroidスマートフォン群もすべてLTEに対応させ、SoftBankについてもTD-LTEベースの「SoftBank 4G」(詳細は後述)への対応が進むなど、一気に通信規格の世代交代が進んだ印象です。

【LTEサービスの起爆剤になったiPhone 5】
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一方で気になるのは、LTE以前に高速通信を実現していたモバイルWiMAXなどの立場。KDDIはLTE導入以前は、傘下のUQコミュニケーションズが提供するモバイルWiMAXサービスが利用できるAndroidスマートフォンを複数リリースしていましたが、今後どうなるかは未知数。UQコミュニケーションズ自体、次世代のモバイルWiMAXサービスはLTEの一種であるTD-LTEとの互換性を確保させていく方針を発表済みです。

【モバイルWiMAXはLTEに化ける? (WiMAX内蔵のISW11SCとDATA08W)】
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UQコミュニケーションズと同時期に周波数帯域が割り当てられたウィルコムの高速通信サービスXGPも、紆余曲折あって結局TD-LTEとの互換性を持つ「AXGP」としてサービス提供されています(現状ソフトバンクモバイルが「SoftBank 4G」として提供中)。2013年はTD-LTEを含めたLTEへの動きが一段と加速していくのでしょう。

■持ち運び可能な7インチタブレットにブレイクの可能性を見る

iPhoneとAndroid端末が激しく争うスマートフォンと対照的に、タブレット分野では今までiPadの独り勝ち状態でしたが、この流れを変えたのがGoogle純正の7インチAndroidタブレット「Nexus 7」ではないでしょうか。Appleが従来のiPadより小さい7.9インチの「iPad mini」を発売したことも、小さいタブレットのブレイクを予感させます。

【タブレット市場の流れを変えた「Nexus 7」】
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ドイツのミュンヘンに旅行した際にNexus 7とテレコムスクエアのレンタルモバイルルーターを持参していろいろ試しましたが、7インチというサイズは「持って歩くことが可能で、かつコンテンツをストレスなく見れる絶妙なサイズ」であることを実感しました。特に不案内な土地において(スマートフォンより)大画面にはっきり表示される地図は大いに不安を軽減してくれました。

【7インチタブレットは「外で使うタブレット」を定着させる?(ミュンヘンにて)】
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7インチサイズは普段違和感なく持ち歩けるので、モバイルネットワークに直接つながる通信機能が内蔵されていればと思う人も多いかもしれません。従来タブレットの売れ筋は(コストの面から)携帯電話通信が内蔵されていないWi-Fi専用モデルでしたが、7インチタブレットの魅力が広がれば、携帯電話通信内蔵型の市場シェアが広がるのではと感じます。

■「iPhoneの画面サイズは固定」を覆すiPhone 5

さて、本業であるアプリ開発エンジニア的な話題も取り上げておきたいと思います。2012年の開発でもっとも印象に残ったトピックは「iPhone 5対応」でした。

iPhoneの画面サイズは320×480ピクセルでスタートし、「iPhone 4」でRetinaディスプレイが導入された時もピクセル数が縦横2倍(640×960ピクセル)になっただけで、縦横比は固定されていました。そのためiPhone 5以前のアプリの中には、固定された縦横比に対して高度にデザインを最適化したアプリがありました。

ところが縦長画面(640×1136ピクセル)を備えるiPhone 5の登場によって「縦横比が固定」の前提は崩れ去ります。すでにAndroidが実現しているように、iOSの開発環境においても異なる縦横比に画面のコンテンツを最適化させる方法が提供されているため技術的に難しいことは何もないのですが、「デザイン的にどう処理するべきか」は別問題です。特に芸術作品のようにデザインを作りこんだアプリほどこの悩みは大きいのではないでしょうか(ゴッホやピカソの名画を本来より縦長の額縁に入れた状態をイメージしてください)。

【デザインに凝ったアプリほど縦横比変更への対応が難しくなる】
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今後発売される新型iPhoneはiPhone 5の縦横比になることが予想されますが、「iPhone 4S」以前の端末がすぐに消滅するわけでもないため、当面のiPhoneアプリ開発では「縦横比は可変」を前提にする必要があります。異なる縦横比のそれぞれに対してどれだけ最適化をしてユーザーに優れたデザインを示せるのか、アプリ開発ベンダーの腕の見せ所になるのかもしれません。ある意味Androidアプリ開発者が先に直面していた課題に、iPhoneアプリ開発者も挑むことになりますね。

■2013年は非スマートフォンユーザーへの施策に注目

さて2013年ですが、個人的にはまだスマートフォンを使っていないユーザーを、携帯電話事業者各社がどう処遇するのかに興味を持っています。なんとなく現状の端末を使い続けている人のほか「私にはスマートフォンの機能は不要」「料金が高すぎる」など明確な理由を持ってスマートフォンを使っていない人もいるはずです。

このような人たちに対して携帯電話事業者がどうアプローチするのか、スマートフォンの使い方を提案するのか、お手頃なパケット定額料金を提案するのか、フィーチャーフォン新機種を発売してユーザーのつなぎとめをはかるのか、あるいは「儲からないユーザー」として切り捨てるのか。この辺の施策で各事業者のユーザーに対する姿勢が見えてくるのではないかと。立場上どうしてもハイエンドに目が行きがちですが、ある程度スマートフォンの普及が見えてきた今、数を稼げるローエンドへの施策に注目したいところです。


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