中国経済に相当依存する格好だが、 緩やかながら景気は回復基調へ
2012年後半の日本経済は事実上、景気後退局面に突入。2013年も懸念材料山積で油断できない情勢が続くが、中国向けの輸出が堅調に推移していけば、緩慢ながらも再び回復基調へと戻ると尾畑氏は予測!


「財政の崖」直面の米国はアテにできず、中国向け輸出に依存

結論から言えば、引き続き2013年も難しい1年となりそうだ。まず、足元の2012年後半は2四半期連続でマイナス成長を記録する見通しで、リセッション(景気後退)に陥ったことを認めざるをえない状況となっている。その主因は、海外景気の減速と復興需要の伸び悩みである。

日本の景気回復のドライバー(牽引役)となるのは輸出だが、中国経済の減速が予想以上に長引き急ブレーキがかかってしまった。同じく主要な輸出先である米国についても、住宅バブルの崩壊を克服して正常化に向かいつつあったものの、その代償として政府とFRB(連邦準備制度理事会)が重い負担を強いられた。

そのうえ、2012年末から年明けにかけて米国は「財政の崖」と呼ばれる正念場を迎える。いわゆる「ブッシュ減税」の期限切れと、債務上限水準到達に伴う強制的な歳出削減が連続するのだ。その結果、意図せぬ急激な財政引き締めによって、米国経済は崖から突き落とされかねない。

おそらく、米国政府は2〜3カ月の先送りや債務上限水準の引き上げなどといった手を打つとみられるが、日本のみならず米国でも?決められない政治〞が繰り広げられそうだ。その一方で将来的な財政再建の道筋も示さなければならず、それは雇用をはじめとする経済面に下押しのプレッシャーとして作用する。

となると、日本の景気回復は中国に相当依存するものとなりそうだが、その際には大きなジレンマが立ちはだかってくる。反日感情の高まりに伴って、自動車のような最終製品では日本製品を買い控える動きが目立っているが、電子部品をはじめとする資本財、生産財までには及んでいない。今後、不買が後者までに広がっていった場合はかなり苦しい。

エコカー減税の反動減は必至だが、企業の設備投資は旺盛

一方、国内ではエコカー減税の期限切れによる反動減が予測され、速やかに追加の景気対策を打つ必要が生じている。ところが、ねじれ国会で赤字国債発行法案すらなかなか通らなかったありさまで、ガバメント・シャットダウン(政府閉鎖=政治機能の停止)のリスクも考えられる。

どうにか追加の景気対策までこぎ着けたとしても、それを本格的に討議するのは早くても年明けの通常国会(1月召集)か。法案が通っても、その効果が出てくるのは3カ月後から半年後だ。

他方では消費税率引き上げ前の駆け込み需要が見込まれるものの、実際に増税を実施するかどうかはその時点での政権が決めること。実施にあたっては景気への配慮も不可欠で、何らかの対処措置を打つ必要も生じる。しかしながら、それは財政再建を遅らせることにもつながり、バランスをとった着地点を見いださなければならない。

とはいえ、「日銀短観」(9月調査)を見る限り、企業の設備投資は依然として回復傾向にある。特に内需系のサービス業や中小企業の意欲が旺盛で、輸出の落ち込みによる下方修正も出にくいといえる。大震災の影響で先送りされていた設備投資が今になって実施されているもようだ。

冒頭で指摘した復興需要についても、当初の見込みよりも後ずれしている分、息の長いものとなりうる。公共事業の受注額は明らかに急増しているが、その出来高の伸びはかなり遅行しているのだ。

ただ、家計消費に関しては前述したように、エコカー減税期限切れによる反動減は免れられない。大震災以降、被災地における復興需要やペントアップデマンド(先送りされた需要)などもあって予想以上に堅調に推移してきたが、今後については下振れリスクが高まってきている。