三重県伊勢市の名物、汁もなければコシもない極太「伊勢うどん」とは?

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初めて「伊勢うどん」を食べたのは学生時代のこと。

目の前に置かれた伊勢うどんは、白い麺がむき出しでわんに盛られており驚いた。

あの、うどんらしい、あつあつのスープ、琥珀(こはく)色の汁が、どこにも存在していないのである。

友人に教えてもらうままに、どろりと底にたまっている「たまりじょうゆ」をかき混ぜれば、あっという間に、真っ黒の麺に変化。

そのまま口に入れると、歯ごたえもこしもまるでない、異様なふにゃふにゃ感に、これまたびっくりしたものである。

これは、うどんなのだろうか? その後、伊勢神宮参拝の度に店を変えては、同じ「伊勢うどん」に挑戦するようになると、だんだんと独特の風味に魅了されるようになってきた。

うどんらしからぬふにゃふにゃモチモチ感とたまりじょうゆのコンビに、次第にやみつきになっていったのだ。

この「伊勢うどん」、もともとは農民が自分たちの食事のために作っていたと言われている。

のばす手間のいらない太い麺と、安くすむネギだけのシンプルな具材の組み合わせは、やがて伊勢神宮の参拝客にも提供されるようになった。

長旅をしてきた人、疲れがたまった人向けなので、消化が良くなるように麺をとことん煮込んで柔らかくしたのではないか、という説がある。

伊勢神宮近辺には、この「伊勢うどん」の人気店が無数に存在している。

今回はその中から4店舗を紹介しよう。

はじめは、伊勢市本町にある「伊勢うどん 中むら」。

老舗のこの店は、大正5年(1916)創業だ。

伊勢神宮の外宮すぐ近くというロケーションから、参拝客のランチタイムには行列ができるほど。

一番人気はちょっと個性的な「伊勢タマゴうどん」(550円)。

かつおだしが効いた、甘めの味づけ。

うどんはやはり極太のふわふわもっちもち。

だしがよくしみて、おいしい。

次にご紹介するのは、「伊勢うどん 奥野家」。

店内に入ってまず驚かされるのはインテリア。

まるでカフェのような明るい店内なのだ。

メニューは定食あり単品ありのバラエティー豊かなもの。

カウンターもあり、女性のひとり客も目立つ。

定番の「伊勢うどん」は450円。

黒いタレはかつお節・煮干し・昆布のだしに、たまりじょうゆとみりんで味付けをしてあるとのこと。

スタンダードな一品だ。

三番目にご紹介するのは、口コミで人気急上昇中の「起矢(きや)食堂」。

この店はなかなか場所が分かりにくい。

伊勢神宮参道から少し外れた場所にあり、ひっそりとした道沿いにポツンと建っているのだ。

店構えはこじんまりとして、4人掛けのテーブルが4卓のみ、全員が相席しても最大収容人数は16名だ。

ここももちろん、オススメは伊勢うどん(450円)。

口コミで人気になるだけはある。

まるでスイーツのようなもっちもち加減がハンパない。

しかし見た目以上にアツアツなので、口に入れる際はやけどしないように要注意。

●Information起矢食堂三重県伊勢市尾上町5-31最後は、あの伊勢内宮前の「おかげ横丁」にあるうどん専門店、「ふくすけ」だ。

名物「伊勢うどん」(450円)は多くのファンを持つ看板メニュー。

天気のいい日は、縁台に腰かけて風情を楽しみながらの食事もできる。

鬼瓦にあしらわれた福助が目印の「ふくすけ」では、ずんぐりと太い麺にたまりじょうゆを使った濃褐色のタレをかけて食べるのが、ここの流儀である。

初めて食べた時には抵抗がある人も多いかもしれない「伊勢うどん」。

ネットでも好き派・苦手派と真っ二つに分かれる感がある。

しかし、一度はトライしてみてほしい個性派うどんだ。

あなたもぜひ、伊勢を訪れたら自らの舌で確かめてみては?