「お金」に興味を持つという事 - セゾン投信・中野社長の半生記 (24) 本格的長期投資を日本の新たなムーブメントに、これからの人生のミッション

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日本の生活者には、残念ながら未だ長期投資は根付いていません。

それは、前世紀後半まで、40年にわたって続いた高度経済成長時代に培われた預貯金神話が未だ定着したままだからであり、逆に投資という行動を忌避する文化ともなっているからでしょうか。

しかし何よりも、本来の投資の意味を浸透させず、資産形成として投資に叶う商品供給をことごとく怠ってきた既存金融機関の姿勢にこそ、その責は大きいのです。

とりわけ投資信託においては、現在4千本余りの公募ファンドが存在していますが、その数はセゾン投信設定開始の5年前と較べ約1.6倍で、ずっと本数は増加し続けています。

一方で株式投資信託の残高はその間横這い状態であり、決して新たな投資マネーは生まれていないのです。

その結果、直近では投資信託の平均保有期間が、2.4年となり、それが4年以上はあった5年前からどんどん短くなっており、長期投資とは完全に逆行しています。

ちなみに今年11月度の株式投資信託の資金フローは、設定が2兆548億円に対し、解約が2兆1千億円とまさに出入りが拮抗していて、ずっと投信のお金の流れはこのように毎月解約された資金によって新しいファンドが購入されるという回転状態が続いているのです。

投資信託の販売者側が販売手数料を得ることを目的化している限り、こうした投資信託の回転売買のカルチャーは変わらないでしょう。

従ってそれに即した毎月分配、高配当、テーマ型の仕組みファンドばかりが売れ筋となるわけです。

今の状況に鑑みれば、既存業界からは決して真っ当な長期投資ファンドは生まれないでしょう。

だからこそ、既存金融業界のしがらみとは埒外の独立系投信会社が生まれてくる社会的必然性を強く意識しています。

独立系といっても手っ取り早く残高を積み上げることが目的化すれば、やはり既存業界のルールで販売会社のチカラに頼って資金集めをすることになります。

いくら運用の質にこだわろうとしても、それでは結局、証券・銀行の下請け業者の域を脱することは出来ないでしょう。

やはりそのくびきから解放されるためには、独立系投信会社が販売会社を通さず自ら直接販売するモデルしか、本物の長期投資ファンドを育てることは出来ないのです。

さわかみ投信がその先導者として大きな成果をあげてきました。

セゾン投信はそれに続く本格的長期投資を日本の新たなムーブメントとするべき大きな役割を担っているのだ、との強烈な自覚を持っています。

その他、数社ある独立系直販投信会社も皆、同じ価値観で既存金融業界へのアンチテーゼを掲げ、既得権益の壁に挑んでいます。

各社共、運用規模はまだまだ小さいながらもここに参加する顧客は、30代40代の若い世代が圧倒的で60代以上の高齢者ばかりを顧客としている既存業界とは別次元の、新しい投資家を想像する、新たなる産業の担い手としての萌芽となっています。

今年、東京証券取引所が「東証プラスYOU」というキャラバン活動を開始しました。

その主旨は、日本の再生に絶対不可欠な本格的長期投資マネーを生活者のお金から生み出すストレートな長期投資家創りを目的とした啓蒙活動です。

今年度だけで全都道府県80都市で長期投資のセミナーを開催して巡るこの企画に講師として、マネックス証券・松本大社長、さわかみ投信・澤上篤人会長、そして草食投資隊としてトリオで活動しているコモンズ投信・渋澤健会長、ひふみ投信・藤野英人取締役CIO、セゾン投信・中野の5人が選ばれました。

このメンバー、松本さん以外はいずれも独立系直販ファンドを主宰しており、東証との協働で日本中の生活者に長期投資の魅力と必要性を訴えています。

すでに欧米には立派な本格的長期投資ファンドが厳然と根付いています。

日本にも長期投資が主役となる時代が近い将来必ず到来する筈です。

そして、セゾン投信が日本の金融のニューパラダイムをリードする資産運用会社として大きく成長している姿を実現させる! それが私のこれからの人生のミッションであるにちがいありません。

(終)