会社と個人が自由に結びつき、環境にも配慮する先進的企業。その一つに、パタゴニアをあげたとしても異論はそう出ないでしょう。

 パタゴニアは、最高級のアウトドアグッズを作るだけでなく、マイバック持参やキャプリーン・ポリエステル製品及びフリース製品の回収及びリサイクルを行うなど、環境に与える悪影響を抑えるための活動を精力的に行っています。

 また、ビジネスを考えたときに、リスクが高かったり、煩わしすぎるものにも果敢に挑戦してきました。会社がごく小規模だったにも関わらず託児所を開設、また、工業的に栽培されたコットンからオーガニックコットンへのわずか18か月での切り替え、リサイクル材料からフリースを作るなど様々です。

 以前、パタゴニアの創業者・イヴォン・シュイナードの経営論『社員をサーフィンに行かせよう』が書籍化されて話題にもなりましたが、今回、ホールセール部門のバイスプレジデントを務めたヴィンセント・スタンリーと共に書籍『レスポンシブル・カンパニー』を発行。同社の取り組みや姿勢、責任について詳しく紹介しています。

 同書のなかで驚くべき一文がありました。実はパタゴニア、「もともと手っ取り早く稼ぐためにつくられた会社で、リスクを取って環境問題を追求する内省的な会社をめざしていたものではない」というのです。

 パタゴニアのもととなった、シュイナード・イクイップメント社は、世界一と評判のクライミング道具を作っていましたが、ほとんど儲けがありませんでした。岩の裂け目に打ち込む金属製のクギ「ピトン」を鍛造したり、押し出し成形したアルミニウムからチョック(岩場を傷つけないピトンの代用品)を切り出したりというきつい仕事を毎日10時間も汗水たらして行うのではなく、事務仕事のみで簡単かつクリーンに設けたい、そう考えできたのがパタゴニアだったのです。

 「ウェア事業なら高い金型を償却する必要もないし、顧客も、薄汚れたクライマーなど比べものにならないほど多い。そのころは、コットンが石炭に負けず劣らず汚いなど、誰も知らなかった」

 クライマーの生死にかかわる製品を取り扱っていたシュイナード・イクイップメント社とは違い、ウェアを扱うパタゴニアは、人の死を心配する必要がありませんでした。

 「パタゴニアは、我々にとって、ぬるま湯に浸って濡れ手に栗の利益をあげ、シュイナード・イクイップメントを黒字にするという無責任な会社だった」

 と、同書で明かしています。このようなコンセプトで立ち上げられたとは意外ですが、その後の方向転換は皆の知るところ。実際にパタゴニアが動き出すと、事業者として担うべき「責任」に直面したといいます。

 『レスポンシブル・カンパニー』には、パタゴニアが40年かけて学んだ企業の「責任」が凝縮。「一歩進めば次の一歩が可能になる」、仕事人の哲学が、パタゴニアの歴史から学ぶことができます。



『レスポンシブル・カンパニー』
 著者:イヴォン・シュイナード,ヴィンセント・スタンリー
 出版社:ダイヤモンド社
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