今年の夏、ニューヨークでお好み焼きがちょっとしたブームになりました。関西と言えばたこ焼き、お好み焼きといった具合に日本では完全に市民権を得ている「コナもん」ですが、ニューヨーカーにも「コナもん」が愛されたことで海外から見た日本食の顔になる日も近い...かもしれません。

 そんな「お好み焼き」ですが、実は「コナもん」と呼ばれ始めたのはここ10年くらいで、実際「コナもん食べに行きたい」なんていう関西人はいないそうです。むしろ、この「コナもん」という呼び名にはありがたくない部分があると書籍『飲み食い世界一の大阪』の著者でミーツ・リージョナルの元編集長・江弘毅さんは語ります。

「"コナもん"という言い方によって、テーマパーク的に当の街場のお好み焼きやたこ焼き、あるいはそれらと一緒くたにされたりするうどんや餃子という"それ自体"が消費され陳腐化されていくということは、街にとってかなり痛手」

 また、たこ焼きに関しては「どこがおいしいというものではない」という認識だと言います。他所から来た人におすすめのたこ焼き屋を聞かれても、大阪の人間からすると特別レジャー化されたものではなく「どうしてもその店でなければ......」というものではないのだとか。ガイドブックに載っているたこ焼き屋へ行くというよりも"だいたいどこでもそこそこ美味い"というのが、大阪の人にとってのたこ焼きなのです。

 さらに、「タコパー(家でのたこ焼きパーティ)」にはじまる「一家に一台たこ焼き器」のような認識も奇妙だと指摘。「家のたこ焼き器」は感覚的に「手巻き寿司セット」のような「家庭的レジャー」であって、けして大阪人にとっても当たり前というわけではないのだかとか。江さん曰く、たこ焼きというありふれた大阪の食べ物が「コナもん」といったグルメ消費アイテムとしてメディアに仕立て上げられたのは「お好み焼きやたこ焼きの悲劇」だと嘆きます。

 そんな江弘毅さんが、本書の発刊を記念して大阪(キタ・ミナミ)、東京、京都、神戸、5都市連続のトークイベント「江弘毅の言いっぱなし 五都巡業『責任は負いません(笑)by ミシマ社発行人三島邦弘』」を開催中です。本書の中で紹介されている関西の魅力は勿論、東京の魅力まで縦横無尽に語りつくすとのことで、書籍と併せて新たな"街の魅力"に触れることができそうです。

【今後のイベント詳細】
■第2弾「大阪の店、どこがちがう!?」
1月11日(金)19時〜
ゲスト:仲野徹さん(大阪大学大学院医学系研究科・病理学・教授)
会場:ジュンク堂書店 大阪本店(大阪)

■第3弾「東京・大阪 街場語り(街の小商いとうまいもの屋)」
1月18日(金)20時30分〜
ゲスト:平川克美さん(株式会社リナックスカフェ代表取締役)
会場:三省堂書店 神保町本店(東京)

■第4弾「飲み食い世界一の大阪? いや、京都やろ?(おまえが店知らんだけちゃ
うか)」

2月2日(土)14時〜
ゲスト:バッキー井上さん(酒場ライター)
会場:大垣書店 四条店(京都)

■第5弾「とことん神戸の、甘く危険な話」
2月10日(日)14時〜
ゲスト:西岡研介さん(フリーランスライター・ジャーナリスト)
会場:海文堂書店(神戸)

詳細はミシマ社HPでも案内中。
http://www.mishimasha.com/




『飲み食い世界一の大阪 そして神戸。なのにあなたは京都へゆくの』
 著者:江 弘毅
 出版社:ミシマ社
 >>元の記事を見る



■ 関連記事
子どもと大人の「非対称の関係」をつき崩した注目の教育「レッジョ・アプローチ」
共感できる? 書店員の「あるあるネタ」
「ケータイを持たない最後の一人になりたい」 ある男の挑戦とは?


■配信元
WEB本の雑誌