ノウハウが共有されないウズベキスタンの企業

海外駐在員ライフ Vol.177

From Uzbekistan

ノウハウが共有されないウズベキスタンでは、銀行窓口の対応も担当者によってまちまち?


■手順が担当者によってまちまちな銀行窓口

はじめまして。ラフマットです。中央アジアにあるウズベキスタンの首都のタシケントに駐在しています。

同僚や部下の約7割はウズベキスタン人。あとは日本人や韓国系、ロシア系のスタッフなので、仕事では共通の言語である英語を使います。

ウズベキスタンで特徴的なのは、人々の働き方。仕事とプライベートの線引きが非常にはっきりしており、当社のスタッフも、休日(土日)は休日出勤などせずにしっかりと休んで、平日も定時である18時に仕事を終えて帰ります。とはいえ、やりかけの仕事を放り出して帰ってしまったりすることはありません。「今日中」と締め切りを設定しておけば、大体の場合、きちんと仕上げてくれます。その場合、「明日、東京側で上司に説明するのに必要だから今日中に」といった具合に、理由も併せて具体的に説明しておく必要があります。

そして、組織内でノウハウが共有されにくく、結局頼りになるのは、その人が個人的に蓄積したノウハウのみということも痛感します。例えば、毎月生活費を出金しに行く銀行でのこと。いつも対応してくれる窓口担当者がいれば、書類作成は迅速だし、出金する前に記帳も済ませてくれるのですが、いないときは、別の行員に対応してもらわなければなりません。そうなると、必ず長時間待たされる上、書類作成後に出金の窓口に行って出金し、また最初の窓口に戻って口座の記帳をするというまどろっこしい手続きが必要に。要するに、銀行全体で業務手順が決まっていないわけです。優秀な行員のノウハウをほかの行員も共有すればいいのにと思うのですが、どうやらそういうやり方はこちらにはなじまないようです。

同じようなことが、仕事の場面でもあります。例えば、取引先の担当者が会社を辞める場合、後任の担当者への引き継ぎはまず期待できません。「そのファイルは前任者のパソコンに入っていると思う」と言っても「わからない」で終わってしまいます。担当者が辞めた時点で、すべてのノウハウがリセットされてしまうのです。担当者が休暇を取っているのを知らずに連絡したときも、「今日は担当者がいないからできない」で終わりです。

そう考えてみると、当社内にも思い当たることが。例えば、メールのCC(カーボンコピー:同様のメールを宛先になっている受信者以外にも送信すること)は嫌われる傾向があり、せっかく全員で共有しようとしてCCで送っているのに、送信者である私にしか返信してくれなかったりします。どうやら、こうした背景には、「共有などすると、自分のポジションが奪われてしまう」という危機感や、個人主義の風潮があるようです。


■外貨への交換に長くて1年かかる

また、日本のような「報・連・相(報告・連絡・相談)」の意識も乏しく、個別の案件については、担当者に「あの件、どうなった?」と声をかけないと、報告がないこともしばしば。そのため、できるだけスタッフ全員と1対1でコミュニケーションをとるように心がけています。一度、そうして信頼関係を築けば、「この書類、今日中に頼む」といった無茶な依頼をしても、受けてくれたりするのですが、そうなるまでがなかなか大変です。

加えて、ウズベキスタンでのビジネスでは、行政の介入が多いと感じます。日本では自由化されているようなことも、当国では規制されていたり、報告義務があったりするのです。例えば、取引先への支払いのために、外貨への交換を行うとすると、「スム」(現地の通貨)をドルに替え、それから取引先の国に送金するのには、中央銀行を介さなければならず、早くても3カ月、長いと半年から1年かかってしまいます。この調子ですから、なかなか日本と同じスピードではビジネスは運びません。そして、ときには政府系の担当者からわいろを要求されることもあるほどです。

社内外でのやりとりに非常に時間がかかることに加えて、わいろのような理不尽な要求も起こるので、仕事には常に時間の余裕を持って臨むように心がけています。「こちらのアクションはすぐに&向こうからのアクションは気長に待てるように」がモットー。特に、スタッフたちは書類の中で書き方がわからない箇所が1カ所でも出てくると、そこで躓(つまず)いて仕事がストップしてしまうので、こちらがやるべきことは迅速に行い、彼らに仕事を投げた後は、それこそ毎日プッシュするくらいまめにフォローするようにしています。

次回は、ウズベキスタンの人々についてお話しします。