2013年の夏以降に少しずつ長期金利が上昇し、住宅ローン金利も上昇に転じる可能性が高まっている。だが、住宅の買い場は“消費税増税後”に訪れる。金利を取るか、価格を取るか、私たちは難しい判断を迫られる。


2013年5月あたりから景気は回復期に移行。夏場以降は金利上昇も

2012年の住宅ローン金利は史上最低水準に張り付いていた。2013年も?バーゲン金利〞が続くのだろうか。

住宅ローンの「固定金利型」は長期金利にある程度連動しているため、10 年物国債(長期国債)の利回りが基準となって決まる。「変動金利型」は銀行間の短期プライムレート(最優遇金利)などが基準になる。2013年の金利の見通しを予測するためにはまず、日銀の金融政策や市場金利の動向を知っておく必要がある。

米国の量的緩和に歩調を合わせて金融緩和を続けてきた日銀の金融政策。2013年の見通しについて、第一生命経済研究所の首席エコノミスト・熊野英生さんは「景気後退期に入り、日銀はさらなる金融緩和を念頭に置いて政策を実行するだろう」と分析する。景気後退と言われてもピンとこないが、コア消費者物価指数(生鮮食品を除くベース)は2012年2月から4月にかけて前年同期比でプラスに転じ、その後は原油の下落要因等でマイナスに戻った。そのため「3月あたりが景気後退の始まり」と判断できる。

景気後退期は、物価はマイナス域を出られない状態が続く。そのため長期金利は現在0.7%台にとどまっていて「ここを軸に0.7 〜 0.8%を行き来する展開が半年続きます。そこで2013年前半のレンジは0.7〜0.9%と予想。後半になると新興国で物価上昇が顕著になり、それが先進国に対する物価上昇圧力となります」。

熊野さんは「早ければ2013年5月あたりから景気回復期に移行し、夏場以降は少しずつ金利が上昇する可能性がある」と予測する。ポイントは金融政策。米国の金融政策に打ち止め感が出てくると、金利は反発する形で上昇する。米国やドイツの金利が上昇を始め、マーケットが景気回復期待を織り込むと「かなり上がる可能性があります。2013年後半のレンジは0.7 〜 1.2%程度」。いつまでも超低金利が続くことはないと、熊野さんは分析する。

住宅ローン金利は2013年が最後の借り時だが価格面では増税後が有利

金利を住宅ローンの視点から眺めると、どうなるだろう。住宅ジャーナリストの山下和之さんは、2012年の住宅ローン金利を「ありえないほどの超低金利」と形容する。「大手銀行の変動金利が0.775%や0.875%をつけ、固定金利の『フラット35』も10 月時点で1.88%というありえない金利となった。でも、いつまでも続くはずはなく、金利だけを見れば13年が勝負になる」と言う。下のグラフ、フラット35の金利に注目していただきたい。山下さんによれば、フラット35の金利と消費者物価は「おおむね2%の開きを保って推移している」という。現在の消費者物価はゼロ%前後なのでフラット35の金利は2%前後というわけだ。しかし日銀は消費者物価1%を目指している。その場合、フラット35 の金利も3%程度まで上がる可能性がある。

ただし、住宅の買い時を金利だけで判断してはいけない。金利、税制、価格のバランスを見るべきで、「2013 年はおおむねよい年になりそう」と山下さん。

2014年、2015年は消費税率が8%、10%と段階的に引き上げられるが、住宅に関しては「消費税は怖くない」。マンションでも一戸建てでも、土地の価格に消費税はかからない。マンション価格4000万円のうち土地2000万円、建物2000万円の場合、消費税の対象は建物2000万円のみ。個人売買となる中古住宅では、土地も含めて非課税(仲介業者手数料には課税)だ。それでも建物分は増税になるが、「むしろ増税後の2015年10月以降が買い時に」。住宅業者には1997 年4月に税率が3%から5%に引き上げられた後の住宅需要の激しい冷え込みがトラウマとして残っている。そのため「引き上げ分を価格に転嫁できないはず。また増税後は還付や減税といった形の支援策も用意されるでしょう」。

2013年後半は駆け込み需要による価格上昇が見込まれる。それなら思い切って増税後まで待って買うという手も。金利上昇をにらみながら判断しよう。


フラット35と物価は概ね2%幅で推移する。銀行の変動金利は店頭表示金利なので高めだが、実際には申し込み内容や審査によって引き下げ幅が決まり、通常は1%を切る。表の数値は11月8日時点。

この記事は「WEBネットマネー2013年1月号」に掲載されたものです。