テレビ編

業界トレンドNEWS Vol.156

テレビ編

若年層ほど顕著なテレビ離れ。各局が取り組む広告外収入の拡大とは?


■テレビ離れに備えて広告外収入の拡大に注力。従来の枠組みを超えた協業も始まっている

電通がまとめた「2011年(平成23年)日本の広告費」によれば、11年の「テレビ広告費」は対前年比0.5パーセント減の1兆7237億円。3月に起こった東日本大震災で、消費意欲の減退や企業のCM自粛などが重なった結果、5月ごろまでは厳しい状況が続いた。ところが、6月以降は徐々に盛り返しに成功。新聞広告費(対前年比6.3パーセント減)や雑誌広告費(対前年比7.0パーセント減)などに比べ、テレビ業界は健闘していると言えるだろう。また、BS・CS放送の「衛星メディア関連広告費」は、対前年比13.6パーセント増の891億円と好調だ。

ただし、視聴者に「テレビ離れ」の兆候が見えているのが、長期的な視点で見れば懸念材料だ。総務省の『平成23年版情報通信白書』によれば、10年における1日あたりテレビ視聴時間は3時間35分で、04年(3時間55分)に比べて20分短くなった。また、平日のテレビ視聴時間は、10代男性が1時間50分、20代男性が1時間54分、30代男性が2時間3分などのように、若年層ほど短い傾向が表れている。この世代では、スマートフォンやパソコンを通じてインターネットへの接触時間が急増しており、テレビの視聴時間を奪っている格好だ。こうした流れが続けば、いずれはテレビの視聴率が大きく低下する可能性も考えられるだろう。

テレビ離れが進んで視聴率が低下すると、広告媒体としての魅力も減る。すると、「広告収入減→番組制作費用の引き締め→番組の魅力が低下→視聴率低迷→広告収入減…」という負のスパイラルに陥る危険性が高くなる。この現象が常態化すれば、経営基盤の弱体化が避けられない。そこで各社には、費用を抑えながら番組の質を高める工夫が必要だ。また、データ放送やSNSを通じて視聴者との双方向コミュニケーションを図り、視聴率アップにつなげる取り組みも不可欠だろう。

また、広告収入だけでは成長が難しいため、各テレビ局は「広告外収入」の拡大も目指している。代表的な方策が、連続ドラマで人気を博した作品の映画製作。映画そのものの興行収入はもちろん、テレビドラマ・映画のDVD販売、各種イベントでの集客、関連グッズ販売、CATVや衛星放送での再放送料など、多彩なチャネルで利益を得る仕組みができあがりつつある。11年には、『SP THE MOTION PICTURE 革命篇』(11年邦画興収ランキング6位)や『相棒 −劇場版?− 警視庁占拠!特命係の一番長い夜』(11年邦画興収ランキング7位)といった作品がヒットに結びついた。また、フジテレビジョン(以下フジテレビ)「お台場合衆国」、日本テレビ放送網(以下日本テレビ)の「汐留博覧会」のように、テレビ局周辺でイベントを企画する動きも盛ん。番組などで告知して集客を図り、物販収入などにつなげるのが狙いだ。

従来の民放キー局は、特定の新聞社とのつながりが強かった。しかし、こうした枠組みを超えた事業提携も、徐々に進みつつあるようだ。傘下にTBSテレビを収める東京放送ホールディングスと、テレビ東京ホールディングスの関連会社である日本経済新聞社が、スマートフォンと海外・アジア向けのニュースや動画番組などの配信事業で業務提携(下記ニュース記事参照)。今後も、古い関係にとらわれない協業が行われる可能性もあるため、テレビ業界志望者はぜひ注目しておこう。