投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の12月10日〜14日の動きを振り返りつつ、12月17日〜21日の見通しを解説する。

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 先週の日経平均は上昇。16日の衆院選の投開票を控え、自民党の勝利が確実視されるなかで「安倍トレード」(株式買い・円売り)の流れが強まった。為替市場ではドル・円が一時83円91銭近辺、ユーロ・円が109円90銭近辺と、約9ヶ月ぶりの水準まで円が売られ、これを追い風に日経平均は4月以来の9700円を回復した。

 先週は重要イベントが目白押しの週だったが、週初はこれを見極めたいとする模様眺めのなか、日経平均は9500円辺りでの膠着が続いていた。米国では財政協議が難航しており、14日には先物・オプション特別清算指数算出(SQ)を控えていたことで、想定内の膠着であった。

 そのなか、注目された米FOMC(連邦公開市場委員会)では、現行の実質ゼロ金利を継続する一方で、新たに6.5%の失業率目標を導入し、毎月450億ドルの長期米国債を買い入れる緩和策を実施すると発表。米追加緩和決定を受けて、日銀も追加緩和に踏み切るとの期待が高まり、為替市場では円売りが加速。これが景気敏感セクターを中心とした主力銘柄への買いにつながり、13日の日経平均は大幅に続伸、売買高はSQ前にも係わらず、27億株超に膨らんだ。

 週末についてはSQに絡んだ商いは若干の売り越しだった。しかし、衆院選の終盤調査で自民・公明党と合わせて300議席をうかがう勢いと伝えられたほか、日銀短観の予想上回る悪化が19-20日に開く金融政策決定会合での緩和期待につながり、一段の円安が相場の追い風となった。これにより14日の売買高はSQ要因とはいえ、3月9日(SQ)以来の30億株、売買代金は2兆円に乗せた。

 今週は衆院選の結果、そして金融政策決定会合を受けた円相場の動向に世界の関心が向かうことになろう。衆院選については、自民党の勝利は確実視されている。既に安倍総裁は勝利を確信しており、2013年度予算案について、各省庁に対し概算要求を再提出させる方針。公共事業費の増加などを打ち出し、来年度の参院選勝利に結びつけるとしている。追加金融緩和圧力が強まるなか、金融政策決定会合に向けて、円売り圧力が一段と強まる可能性はありそうだ。

 日銀は金融政策決定会合で、貸出増加を支援するための資金供給の詳細を公表する。外国金融機関の日本法人・支店を対象に加えるほか、貸出増加額を算出する融資先として、ヘッジファンドを含む国内外のノンバンクも加える。これにより円キャリー取引が増加し、自国通貨安につながるとの見方である。ドル・円は3月15日に付けた年初来高値84円18銭が射程圏に入ってきており、円売りの流れが持続するようだと、日経平均の年末1万円といった見方も現実味を帯びてくるだろう。

 一方、米国の財政協議のリミットが近づいてきている。オバマ米大統領と共和党のベイナー下院議長の直接会談が行われているが、楽観的な見方もされているものの、さすがに緊張感が高まると考えられる。これがドル売りにつながるようだと、円安一服から安倍トレードの巻き戻しといった心理状態につながり、一気に目先的な達成感にもつながりかねないだろう。

 また、例年であればメジャーSQ通過で海外投資家はクリスマス休暇に入り、商いは年末に向けて減少傾向となる。円売りのポジションについても金融政策決定会合を狙って反対売買をみせてくる可能性がある。そのため為替動向とボリュームを見極めつつ、年末にかけての方向性を探ることになろう。金融政策決定会合で日銀からのクリスマスプレゼントとなれば、クリスマスラリーとなって全体相場を押し上げることになりそうである。

 足元では先行していた景気敏感株の主力処は上げ一服となる半面、シャープ<6753>、ソニー<6758>、パナソニック<6752>など、売り込まれていた銘柄への買戻しが強まった。IPOの好調やマザーズ指数の年初来高値更新など、個人の需給状況は良好である。