国内市場では約1年2か月ぶりの高値をつけるなど、金相場は上昇傾向にあるが、金投資を始めるにあたって最も気になるのが、金価格の今後の動向だ。短期、中期ではどのような値動きをするのか。プロたちはこう見ている。

 金の国際調査機関「ワールドゴールドカウンシル」日本代表を務めた経験を持ち、金相場に関する著作も多い豊島逸夫氏は、今後、上昇しても1トロイオンス=2000ドル、国内価格では1グラム=5000円が上限だと見ている。

「金価格が値上がりすれば、必ず換金売りが活発になり、値段が下がればまた買う者が出てくるという規律性が見られるので、決して天井知らずの値上がりにはならない」との理由からだ。

 金取引を取り扱う「第一商品」の貴金属アナリスト・村上孝一氏は、アメリカではQE3(量的金融緩和第3弾)発動から現在まで(2012年9〜11月)、すでにそれ以前の水準からプラス54.7ドル、年率12%の上昇が見られると指摘し、そこからこう占う。

「QE3の終わりを2015年半ばと見なして、QE2並みの上昇率を当てはめれば2500ドルまで、QE1並みの上昇率となれば最終的に3700ドルまでの上昇が予想されます」

 何と現在の2倍強になってもおかしくないというのである。

「経済の千里眼」と呼ばれる国際金融コンサルタントの菅下清廣氏はチャート分析の観点からこう予測する。

「ここ1年余りの金相場のチャートを見ると、1800ドルに見えない壁が存在していることがわかります。この壁越えに2011年11月、2012年2月、さらにはこの10月と3度もトライして、いずれも失敗している。投資家にとって、大きな心理的な抵抗線となっているのです。もし今回もトライして失敗するようなら、多くの投資家が失望し、そのまま下降トレンドに陥るでしょう。

 しかしながら、もし1800ドルを突破するのであれば、そこが金相場の新しい上昇トレンドの出発点となります。いままで何度も挑戦して突破できなかった壁を超えるわけですから、かなり強い上昇トレンドに突入するといえます。過去のゴールドの短期、中期のチャートに現われた上昇相場の値上げ幅を参考にすると、3200ドル近辺が目標値になります。したがって、短期的には1800ドルを超えるかどうかが、売りか、買いかの分岐点になります」

 前にも触れたが、円安は相対的な金価格の上昇に繋がる。安倍政権誕生を睨むと、円安基調が続きそうだから、まだ円が高いうちに金を買っておくべきか。

「もちろん円建てで投資するなら、円高のうちに買った方が円安と金高のダブルの利益が得られるので有利といえます。ただし、一本調子で上がるわけではなく、調整期が必ずきます。高値みを避ける意味でも、投資予定資金を一度に全部注ぎ込まず、分散することも大事です。資金の半分でいますぐにでも買って、調整で高値から1割ぐらい下落した時にあと半分を投入するという方法をお勧めします」(ファイナンシャルプランナー・植田進氏)

 ゴールドは有力な投資先候補になりそうである。

※週刊ポスト2012年12月14日号