毎年12月の個人向け国債の発売シーズンがやってきた。今回、目を引くのは、なんといっても、テレビCM向けのイメージキャラクターに、AKB48を起用したことだろう。リーダーの高橋みなみ以下、合計5人のメンバーが画面に登場し、復興応援国債であることをアピールしている。これまで発行元の財務省は、あまり目立ったキャンペーンを行なってこなかった。そのため、今回のAKB48の起用は意外な感じがするし、唐突感も強い。しかし、12月発売の個人向け国債の内容を見てみると、その理由が理解できるような気がする。

 12月は、すべての個人向け国債が発売される時期が、まず、固定金利型3年満期の「固定3」の利率は0.07%(税引き前、以下同)となっている。これは、前回発行分と同じで過去最低水準。そして、固定金利型5年満期の「固定5」の利率は0.13%で、前回の0.17%から0.04%引き下げられ、過去最低を更新した。また、変動金利型10年満期の「変動10」の利率は0.48%と過去最低ではないが、前回の0.53%から0.05%引き下げられている(※復興応援国債の「変動10年」は省略)。

 12月発売分の個人向け国債は、総じて過去最低水準またはその近辺で、ネット銀行の定期預金などと比べるまでもなく、金利面での魅力はゼロといっていいだろう。加えて、民間企業のこの冬のボーナスは、経団連の調査によると、大手企業で前年比4.0%減と3年ぶりの前年比マイナスとなる見通しだ。中堅・中小企業ではもっと厳しいものと思われる。個人所得が伸び悩む中、ただでさえ売れ行きが鈍っている状況で、更なる利率の引き下げ。いったい誰が個人向け国債を買うというのだろうか? さすがの財務省も焦りを感じているのか。これが、AKB48をCMキャラクターに起用した理由のひとつではないだろうか。

■銀行や証券会社のキャンペーンは?

 販売状況に懸念が持たれる理由はこれだけではない。実は、個人向け国債を販売する銀行や証券会社のキャンペーン自体も、今回は「しょぼい」のだ。数年来、証券会社は、総合証券およびネット系を問わず、積極的なキャンペーンを行なってきたが、さすがに今回は売れないと見たのか、お得なキャンペーンは影を潜めている。

 例えば、30万円以上50万円未満の購入者に対してキャンペーンを提供しているのは、楽天証券1社だけ。しかも、300円分のポイント付与のみだ(これでも購入金額30万円に対して0.1%分となる!)。50万円以上では、SBI証券が1000円の現金キャッシュバック・サービスが目立つ程度。とはいっても、こちらも購入金額50万円に対して、0.2%と「固定3」の3年分の金利に相当する内容となっている。

 そして、100万円以上となると、総合証券を中心に3000円のキャッシュバック・サービスが増えてくる。ちなみに、購入金額100万円に対して3000円のキャッシュバックは、0.3%となる。個人向け国債の利率が低いだけに、いずれのキャンペーンにもお得感は残っているが、サービス内容の低下は否めないところだ。そんな中、唯一といっていい、お得なキャンペーンを展開している会社がある。SMBC日興証券だ。

 PCやスマホから口座開設を申し込み、新規口座を開設し、その口座に30万円以上を入金すると3000円がもらえる。この口座開設キャンペーンを利用して、100万円個人向け国債を買えば、口座開設キャンペーンの3000円+個人向け国債購入キャンペーン3000円の合計6000円がもらえるのだ。最近、こうした口座開設キャンペーンは、FX会社以外では少なくなっているだけに、貴重である。なお、個人向け国債の購入期間は12月6日〜12月28日。SMBC日興証券の口座開設キャンペーンは、2013年1月31日までとなっている。

(文/松岡賢治)

マネーライター、ファイナンシャルプランナー/シンクタンク、証券会社のリサーチ部門(債券)を経て、96年に独立。最新刊に『人生を楽しむマネー術』(共編著)。