趣味やレジャーには、それぞれ専門雑誌があります。ゴルフ、サーフィン、スケボー、盆栽、釣り、料理、麻雀、鉄道模型、アウトドア、茶道......。大型の書店に足を運べば、「こんな専門誌もあったのか!」と驚くことも少なくはありません。

 では、缶けりの専門雑誌は存在するのでしょうか。書籍『MEDIA MAKERS』の著者・田端信太郎氏が調べたところ、スケボー、盆栽、茶道の専門誌はあったものの、缶けりの専門誌は見つけられなかったといいます。何故、缶けり専門雑誌はないのでしょうか。スケボーや盆栽よりも、缶けり経験者の方が多いはず。缶けりの競技人口は決して少なくありません。

 フリーペーパー『R25』の立ち上げから『livedoor ニュース』の統括、その他にも、様々なメディアを立ち上げ、現在、NHN Japanの広告事業グループ長でもある田端氏が、この理由を説明してくれました。

 田端氏が指摘したのは、広告主となる業者、取材対象となりコンテンツを供給する専門家の集合体としての「業界」の有無でした。

 「ゴルフは言うに及ばず、スケボーも大きくはありませんが、スケボー業界というものがあります。スケボーそれ自体やスケボーファッション・グッズを売るショップがあり、スケボー少年の頂点として、周囲からその技量を尊敬される『プロ』(的な人)がいるわけです。

 盆栽も同様です。ハサミや肥料などの園芸グッズを売る盆栽園芸の業者がいて、コンクール自慢の一鉢を出品して賞を取り、その熱意と技量、知識を尊敬されるエキスパートがいるのです。つまり、競技スポーツと同様、『プロ』と呼ばれるかどうかは別にしても、それでメシを食っている関係者がその周辺に少なからず存在しているわけです」(田端氏)

 それでは、缶けりに目を向けてみましょう。缶けり業界という言葉はあまり聞いたことはありませんし、缶けりでメシを食っているという強者にも出会ったことがありません。その結果、缶けりメディアを立ち上げたところで、広告費をもらえる業者を探したり、取材対象者を見つけることは困難を極めるのです。こういった理由から、缶けりの専門雑誌は存在しないようです。競技人口の数ではなく、業界の有無がポイントとなるのです。

 しかし、ツリーハウスの専門ムックが存在する時代です。缶けりの頂点を極めた人の言葉や、缶けりでメシを食っている人の生活を紹介するなど、缶けりの雑誌があってもいいような気も。小さいながらも「缶けり業界」ができることが、最初の問題ですね。



『MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体』
 著者:田端信太郎
 出版社:宣伝会議
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