日本最大の石油・天然ガス開発企業として世界を舞台にプロジェクトを遂行

人事部長インタビュー Vol.40

国際石油開発帝石株式会社 中村寛さん

2016年の「イクシスLNGプロジェクト」の成功とは?


■最大の目標は、2016年の「イクシスLNGプロジェクト」の成功

当社の使命は、エネルギー、特に石油や天然ガスを、日本に安定的かつ効率的に供給し続けること。ご存じのように、石油や天然ガスの国内生産はごく少量です。国内での開発ももちろん重要ですが、そのエネルギーを主に海外に求めていくことが、当社の使命です。東日本大震災などの影響もあり、日本のエネルギー政策は根本から変わろうとしています。以前からこの使命の重要性は認識していましたが、近年は「日本の皆さんの期待に応えなければいけない」という思いが一層強くなってきました。

欧米や中国、インドネシアやマレーシアなどの産油国・産ガス国においては、エネルギー開発企業はその国のリーディングカンパニー、国の基幹産業として認知されています。ところが、残念ながら日本では、そのような認識がなされていません。「石油会社」というと、石油を精製して販売する「石油元売会社」をイメージする人が多いのです。当社は、上流事業(※1)を担う日本最大級の石油・天然ガス開発企業であることを、広く認知していただけるよう働きかけていきたいと思っています。
(※1)油田、ガス田の権益取得、探鉱、開発、生産を行う事業

私たちの現在取り組んでいる最大の目標は、日本企業として初めて大型LNGプロジェクトのオペレーター(操業主体)として参画している「イクシスLNGプロジェクト」を成功させ、2016年末までに生産を開始することです。イクシスは、2000年に発見したオーストラリア北西沖合のガス・コンデンセート田で、そこで採取した天然ガスを長さ約889キロメートルのパイプラインで陸上に輸送し、沿岸都市ダーウィンにある陸上ガス液化プラントでLNG(液化天然ガス(※2))にして、日本を中心とした世界中の需要家へ届けるプロジェクトです。生産するLNG量は年間840万トンを計画しており、この1つのガス田で日本の年間LNG輸入量の1割程度を占める規模になる予定です。
(※2)天然ガスを効率的に輸送・貯蔵するため、約−162 ℃に冷やし液化したもの

イクシスLNGプロジェクトと同規模の生産量のLNGプロジェクトは世界にもいくつかありますが、手がけているのはメジャーと呼ばれる欧米の石油会社が中心で、オペレーターとして日本企業が取り組むのは当社が初めてです。このプロジェクトでは、日本の電力・ガス会社を中心にLNGの販売先もすでに決定しております。当社の投資規模はおよそ1兆9000億円と桁外れで、日本企業が海外で投資しているプロジェクトとしても最大規模の案件ですから、自己資金からの拠出のほか、金融機関からの資金調達により賄う予定です。

イクシスを追うように進行しているもう1つのプロジェクトが、インドネシアの「アバディLNGプロジェクト」です。ガス田を発見したのはこちらも2000年です。イクシスの生産に続きアバディからの生産が始まっても、当社が2020年代前半に目標としている“ネット生産日量(※3)100万バレル”を達成できません。既存プロジェクトであるインドネシアやUAE(アラブ首長国連邦)での権益の延長交渉もうまくまとめ、さらに新規のプロジェクトを獲得、そして成功させなければ、ネット生産日量100万バレルという目標は果たすことはできないのです。既存権益を継続して保有しつつ、大型LNGプロジェクトであるイクシスとアバディを成功させ、さらに新たな権益を獲得することが求められています。このように上流事業の持続的拡大を目指すため、2012年6月に新規プロジェクト開発本部を立ち上げました。新規海外プロジェクトのさらなる発見・獲得を目指しながら、目標達成に向けた取り組みを始めています。
(※3)当社権益分の原油換算した1日あたりの石油・天然ガス生産量。2012年3月末時点のネット生産量は、42.6万バレル。


■使命に共感し、チームワークでプロジェクトを成功に導く

当社の社員は、誰もが「エネルギーの安定的かつ効率的な供給」という使命にやりがいを持って働いています。また、エネルギー開発の事業は着手から完成までの期間が長く、すぐに成果が出ないものがほとんどですが、各々が長期的な目標に立ちながら地道に努力を続けています。当社は可燃性の石油や天然ガスを扱っていますから、何かのミスが事故につながり、社内外の人たちや地域、さらには国や世界全体の環境問題にまで発展することになりかねません。このような事態を防ぐために、チームで慎重に作業を進めていくなど、組織の力で物事にあたっていくことが必須条件です。多様な価値観は必要ですが、スタンドプレイは不要。組織の中で地道にきちんと役割を果たしていくことこそが、大型プロジェクトを成し遂げるのに必要な力なのです。

最近の若い人たちは、与えられたテーマに答えるレベルは高いと思います。しかし、与えられた問題に答えるだけでは、大学教育の仕組みのまま。社会で重視されるのは、問題がどこにあるのかを見抜き、どう解決するかを考え、その考えを周囲に伝えてきちんと理解してもらう力です。考えるにしても、問題が必ずしも表面化しているとは限りません。それを早く見つけるには、ある程度、感性も必要だとは思いますが、考え続けることに慣れることで、その能力は高まっていくはずです。また、ビジネスの世界では答えは1つとは限りません。複数かもしれないし、もしかしたら答えがないことが正解というケースもあります。その選択肢を自分の中で考え、頭で整理して正しく相手に伝えて理解してもらう力を養ってほしいですね。

もう1つ重視しているのは、物事を客観的に見る力です。自分や物事を冷静に見つつ、次のステップとして何が必要なのかを考えられるかどうかということが大切になります。主観的な自分の思いが強いのは良いのですが、その思いに周囲は共感しているのか、周囲を共感させるために何をすべきかを客観的に判断できなければ、結局、受け入れてはもらえません。

イクシスLNGプロジェクトはパース(西オーストラリア州の州都)、アバディLNGプロジェクトはジャカルタ(インドネシアの首都)で、それぞれのプロジェクトの進捗に応じて必要な人材の確保に動いていますが、現在、エネルギー開発業界のグローバル人材マーケットは、非常に競争が激しい状況です。パースにある現地法人の人事担当者は、オーストラリア国内だけでなく、アメリカやカナダ、ノルウェーなどに飛んで、企業紹介やイクシスプロジェクトの状況を説明し、人材の確保に奔走しています。

こうした状況もあり、当社が理想とするのは、例えばオーストラリアで活躍した人材が、次はジャカルタやアブダビに行くなど、世界中のさまざまなプロジェクトで活躍してくれること。場所を問わずに活躍できる人こそが、当社が考えるグローバル人材なのです。国籍は問いません。ただし、英語は必要です。きちんと英語でコミュニケーションがとれて、自分の価値観を持ちつつ、相手の価値観も認められること。これはグローバル人材というより、企業で活躍する人材に必須の素養です。新入社員の時から英語が堪能である必要はありませんが、さまざまな教養やビジネススキルに加え、語学力も向上させようという気概を持ち、それを実行することが大切です。こうした人材を育成するべく、日本で採用した人には、入社年次の浅い段階から積極的に海外派遣を行っています。現地での見習い期間を経てレベルアップしたら、海外の実働部隊の一員に組み込んでいきたいと考えています。