上海から合肥に向かう高速鉄道 (Photo:©Alt Invest Com)

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 ありきたりな表現だが、「百聞は一見に如かず」とはこのことだ。

「中国は不動産バブルだ」と、新聞や雑誌を含め、いろんなところに書いてある。しかし実際に自分の目で見てみると、その衝撃はすさまじい。

「合肥」とといっても、ほとんどのひとは聞いたこともないだろう。

 合肥(ホーフェイ)は「ごうひ」または「がっぴ」と読み、安徽(あんき)省の省都で、曹操と孫権が攻防を繰り返した三国志の戦いで知られている。上海から長江(揚子江)の古都・南京を越え、さらに100キロほど西に位置する。高速鉄道なら3時間の距離だ。

 安徽省は長江と淮河(わいが)に挟まれた平原地帯で、人口は統計上6700万人とされているが実際は8000万人にのぼるといわれ、その多くが農民だ。省都である合肥も、公式人口は450万人だが実数は600万人を超えているという。

 この合肥がいま、とてつもない建設ラッシュに湧いている。

中国の地方都市で不動産バブルが起きている理由

 なぜ合肥で不動産開発の大ブームが起きたかについては、ふたつの説明がある。

 ひとつは、上海や杭州で人件費が高騰し、製造業の採算がとれなくなり、メーカーが内陸部へと移転を始めたこと。上海経済圏の製造業は長江を遡るように、江蘇省の省都・南京から合肥にまで伸びようとしている。

 日本企業では、早くも1990年代に合肥に進出した日立建機が、公共事業の拡大とともに油圧ショベルの販売を大きく伸ばし、代表的な中国関連株になった。冷蔵庫の美菱(メイリン)や、三洋電機と合弁で洗濯機・電子レンジなどを生産する栄事達(ロンシダ)は安徽省から生まれた家電メーカーだ。

 もうひとつの説は、安徽省出身の胡錦濤(フー・チンタオ)が第6代中国国家主席になったこと。前任者で権力闘争の相手でもある江沢民(チアン・ツォーミン)が江蘇省揚州の出身で、上海市長として大きな経済利権を握ったことから、胡錦濤は自身の面子を保つためにも湯水のごとく公共投資を行なって、合肥を上海に対抗できる大都市にしようとした、というものだ。もちろん真偽のほどはわからないが、上海発の高速鉄道が合肥まで延伸されたように、この話にもかなりリアリティがある。

 合肥駅を降りると、人混みと渋滞に圧倒される。

 渋滞の理由は、駅前の大通りをすべて封鎖して地下鉄建設の工事をしているからだ。そのため、駅から1キロも離れていないホテルに行くのに町を大きく迂回しなくてはならない。通りに面したホテルやオフィス、商店は大打撃で、店を閉めてしまったところも目立つが、中国はすべての土地が国有だから「近代化」の大義の前に人民の迷惑など関係ないのだ。

 合肥の中心は堀に囲まれた三国志時代の城跡で、淮河路歩行街には屋台が並び、夜になれば若者たちですごい熱気だ。その近くには、高級ブランドがずらりと並ぶ真新しいショッピングセンターもオープンした。

 だが、合肥の中心部を歩いただけではここでなにが起きているのかはわからない。

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