オジサン化が進む日本の家電メーカーが、再びヒット商品を生み出すのは難しい……?

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日本のお家芸である家電が、世界で通用しなくなっている。問題はどこにあるのだろうか? 日本総合研究所調査部主席研究員の藻谷浩介氏が指摘する。

「日本の家電メーカーには重大な欠陥があります。系列店という自前の販売チャネルを持っていないこと。つまり、顧客からのフィードバック情報を得られず、客のニーズやその変化を正確に把握できない構造になっているんですね。だから、『パパがホームビデオで子供の運動会を撮る』なんて20年前からなんらつくりが変わらないCMをいまだに流すようなことをしてしまう……。家電量販店に頭を下げてでも、早急にフィードバックシステムを構築すべきです」

続いて、「人事制度に問題あり」と見るのは人事コンサルティング会社Joe’s Laboの城繁幸(じょうしげゆき)氏だ。

「パナソニックの社員平均年齢は現在45歳。1990年代半ばで30代半ばでしたから、高齢化が進んでいるのです。ここ数年は終身雇用で既存社員の雇用を守りつつ、新卒採用を削り続けていますから、今後もさらなるオジサン化が進むはず。老いた会社がヒット商品を生むのは難しいでしょうから、会社の若返りを図る思い切った人事改革が必要です」

政策研究大学院大学名誉教授の松谷明彦氏は外国人の登用を訴えるが……。

「例えばサムスンでは、商品開発を担う研究者の9割が外国人です。日本も、これからは優秀な研究者や技術者を世界中から集め、彼らとともにグローバルな視点から商品開発を行なっていくべきです。同時に、経営者やプロジェクトリーダーには、外国人研究者をアゴでこき使うくらいのリーダーシップが求められます」

それでは、将来に向け日本の家電メーカーが進むべき道は? JMR生活総合研究所の松田久一氏がこう話す。

「正直、もうモノづくりでは……と思う部分もあります。いま成長力を維持しているのは、工場を持たず製品企画に専念するアップル型と、何千万という超量産態勢を敷くサムスン型、ブランドを持たずに代理製造だけを行なう鴻海型。自社の得意分野に経営資源を特化する戦略ですね。一方、1から10までを自社で行なう国内メーカーのやり方はさまざまな面で限界にきている。工場を捨てるか、ブランドを捨てるか。その選択を迫られているのかもしれません」

(取材・文/頓所直人 興山英雄)