昨年8月、国際指標となるニューヨーク市場の金先物価格が史上最高値1トロイオンス=1923ドル(時間外取引)をつけた金市場。

 その後、金価格は揉み合い状態に入ったが、今年11月初旬から突如として上がり始め、11月末、国内市場では約1年2か月ぶりの高値をつけた。金の国際調査機関「ワールドゴールドカウンシル」日本代表を務めた経験を持ち、金相場に関する著作も多い豊島逸夫氏がいう。

「ニューヨーク市場よりも東京市場の金価格の上昇率のほうが上回っています。このことを見ても、現在の高騰には、次期総理の有力候補である安倍晋三・自民党総裁の金融政策についての発言が影響していると見ていい。“安倍金高”といえるでしょう」

 安倍氏の金融政策とは、いわゆる「アベノミクス」である。脱デフレ、脱円高のためには日銀法の改正を辞さず、大胆な金融緩和策を実行するというものだ。豊島氏が続ける。

「実際、安倍氏の発言を受けて円安ドル高がジワリと進行しています。これは、“無制限に輪転機を回してお札を刷る”という安倍氏の主張の通りになった場合、通貨としての円の価値が希薄化する、つまり価値の低下が懸念されているからです。そうしたリスクが出てきた円から逃避した資金がゴールドにも流入しているのです」

 もちろん、為替相場が円安に振れているのだから、相対的に金の国内価格は値上がりして当然という側面もある。そのため、投資家のなかには、「安倍首相が誕生してもっと円安になってしまう前に金を買っておいた方が得策」と考える人がいたとしても不思議ではないだろう。

※週刊ポスト2012年12月14日号