「お金」に興味を持つという事 - セゾン投信・中野社長の半生記 (23) 華々しく長期投資の旅に船出するもリーマン・ショック…だが耐え抜いて自信

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2007年3月にセゾン投信は2つのファンドの募集を開始しました。

設定前に9億円の資金が集まり、3月15日に長距離列車「セゾン号」は華々しく長期投資の旅に出発いたしました。

華々しくと言うのは、実は日本経済新聞が事前に取材され、当社とバンガードが提携し「手数料半分の投信」というタイトルで大きな記事を書いてくれたお蔭で、当社で情報発信する前から「日経を見た!」と問い合わせがたくさん入って、「新聞で知ったので」と早速口座開設して下さるお客様がひきも切らず、それからマネー誌はじめ他のメディアからの取材もどんどんといただくようになりました。

そしてセゾン投信はさわかみ投信・ありがとう投信に続く日本で3番目の独立系直販投信会社として、明快な立ち位置をメディアが定めてくれるカタチで、報道のチカラをまざまざと恩恵として浴しながら、ご機嫌なスタートが切れたのです。

私のセゾン投信代表者としてのセミナーデビューは、ファンド設定後まもなく、大阪からでした。

さすがに緊張で何を話したか覚えてませんが(笑)、「直販クラブ勉強会」と銘打って、さわかみ投信の澤上社長、ありがとう投信の村山社長(当時)と共に1年間以上、直販投信3社が揃って全国各地を同じように廻って、長期投資のことを知ってもらうべく懸命に自らの思いをお伝えしました。

この当時は市場環境も強い追い風でした。

運用も順調で、基準価額は想定通り毎月しっかりと切り上がって行きました。

設定から約半年で純資産総額は100億円を突破。

そして年末には日本経済新聞が毎年お正月に紙面で発表している製品・サービスの表彰に「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」がノミネートされ、審査会では著名な審査員の方々にセゾン投信の目標や事業コンセプトを熱く説明して歩き、とうとう金融サービス部門の最優秀賞という最高の栄誉までいただきました。

表彰式ではトヨタのレクサスハイブリッドやJR東海のN700系などと並んでセゾン投信が表彰台に立ったわけで、それは私にとって人生最高の晴れ舞台の瞬間でもありました。

順風満帆で進んだ開業初年度でしたが、そうした緩んだ頬を殴打されるが如く、翌2008年9月にリーマン・ショックが起きました。

このあとから半年間の世界金融危機は、まさに大嵐の暴風雨の中を彷徨う本当に苦しく不安な日々の連続でした。

セミナーを開催しても全然人が集まらず、ファンドの基準価額が下落を続ける中で列車から飛び降りるが如く、動揺した解約が次々と発生し、それまで順調に入っていたスポット買い付けがパタリと止まりました。

もちろん世間のほとんどのファンドでは怒涛の解約換金のラッシュです。

あのどん底の時期は、確かに世界経済から一切の需要が消え失せ、銀行間市場では取引が成立しないという、誰も想像したことのない恐怖の現実が起こっていました。

私自身も正直、資産運用業界はすべて壊滅してしまうかもしれない、セゾン投信も…と弱気の虫が心の中で泣き続けていました。

そんな真っ只中の時、福岡の大学生から手紙が届いたのです。

「どんな嵐の中であろうと、私たちは長期投資の列車に乗っているので全然不安じゃありません、大丈夫です。

これからも頑張って行きましょう。

」と書いてありました。

後頭部を打ち砕かれ目が覚める思いでした。

どんな時でも泰然自若と冷静に世の中を俯瞰するべき立場の自分が、若いお客様たちに励まされている。

我に返りました。

するとそれからいくつものお手紙やメイルが続々と会社に届くようになったのです。

いずれもお客様からの激励の言葉ばかり。

そして間もなく解約は止まりました。