[其ノ一 株ファンダ編]低金利を武器に稼ぐのはバンクよりノンバンク!
「金融緩和によってメリットを受けるのは、不動産株と銀行株」と投資の教科書には書いてあります。でも、2012年の株式市場で、不動産株はともかく、銀行株は8%しか上がっていないのです…。


2012年の騰落率のトップは不動産の48%でダントツ!

早いもので、もう年末の雰囲気が漂ってきました。なんだか、もみ合っただけの感がある日本株市場ですが、そんな今年のベストパフォーマンス業種(東証33業種中)は何か、わかりますか?

答えは……不動産。年初からの上昇率は48%(11月2日時点)。この期間のTOPIX(東証株価指数)の騰落率は3%です。

未曾有の不動産株ブーム。都心のオフィス空室率低下、賃料上昇といった事業環境の好転もありますが、最大の理由は「金融緩和(中央銀行が市中に出回るお金の量を増やす)」です。具体的には、日銀が金融機関の保有する国債などを買って低金利に導くことになります。「低金利の持続↓底入れの兆しがある不動産市況の底上げ」という、このストーリーが背景です。日銀は、国債のほかにREIT(不動産投資信託)などの資産も直接買い付けます。「緩和メリット+需給メリット」で東証REIT指数は新値追いの状態。「REIT最強!」などという声も聞こえてきます。

世界であらゆる製品の需要が鈍り、中国では日本製品の不買運動が拡大。企業収益がよくなる見通しはまったく立たないものの、結果的に「追加緩和の追加」の催促がエンドレスの雰囲気です。こういった局面では不動産株と金融株が物色されるという常識もあります。ただし注意が必要なのは、「金融緩和=金融株買い」は誤解、という点。たとえば、銀行業の年初からの業種別騰落率は約8%にです。銀行は金融緩和で上がる業種とされていますが、パフォーマンスはTOPIXより若干いい程度。いくら世の中にお金が流れても、預金金利と貸出金利の差が縮まっては銀行の利益につながりません。

ただし、低金利は銀行(バンク)ではなく、?ノンバンク〞には強力な追い風です。東証業種では「その他金融」に該当するもので、具体的には消費者金融、カード会社、リース会社など。年初からの騰落率も約31%と良好です。ノンバンクにとって、超低金利での資金調達が可能になると都合がいいのは当たり前ですね。

そして、何といっても魅力的なのが個人向け無担保ローンでしょう。誰にとって魅力なのでしょうか? ここで登場するのが銀行です! 前述のように運用難で収益になるビジネスが見当たらない中、銀行は、傘下に抱える消費者金融を本体の銀行に取り込む動きを進めています。その理由は、これまで業界を苦しめた「総量規制(年収の3分の1までしか貸しちゃダメ!)」が?銀行には適用されない〞からです。最近では、イオン傘下のイオン銀行がイオンクレジットと経営統合してカード事業を引き継ぐと発表しました。

銀行主導で、超低金利の波も追い風に融資残高も回復へ――。この再生ストーリーがノンバンクには描けます。日本の景気展望が読みづらくても、低金利の長期化は濃厚。銘柄選択に迷ったら「バンクじゃなくノンバンク」です!




【今月のファンダ師匠】
岡村友哉(YUYA OKAMURA)
金融ジャーナリスト

証券会社の営業、金融情報ベンダーでアナリストを務めた後、現職。日経CNBCでキャスターをこなす。



この記事は「WEBネットマネー2013年1月号」に掲載されたものです。