メガバンク編

業界トレンドNEWS Vol.155

メガバンク編

欧州通貨危機で邦銀が地位を高めている理由は?


■業績は順調に回復中だが国内の貸し出し先は停滞。海外市場でのシェア拡大が強く求められている

メガバンクとは、預金・貸出金の残高がきわめて大きな銀行のこと。日本では、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループが「3メガバンクグループ」と呼ばれている。

リーマン・ショック後の世界的な景気悪化・株式市場の暴落が響き、3グループは2009年3月期に、1兆2000億円を超える巨額の純損失を計上した。しかし、その後は順調に回復(下表参照)。12年3月期の3グループ合わせた純利益は1兆9844億円と、対前年度比で約35パーセントも増えた。背景には、長期金利の低下によって過去に取得していた国債価格が上昇し、国債の売買益が上がったことなどが挙げられる。ただし、株式市況の低迷でかなりの損失が出ているのは懸念材料。また、国内企業における資金需要の低迷によって、貸し出しによる利益が減少している点も課題となっている。

国内の運用先が広がらないため、利益を拡大するには海外進出が不可欠である。現在、欧州金融危機の影響で、欧州の銀行がダメージを受けており、資産圧縮のためにアジアなどへの融資から手を引くケースが続出。一方、リーマン・ショックや欧州金融危機でさほどの傷を負わなかった邦銀は相対的に地位が高まっている状態で、海外進出には絶好機と言える。そこでメガバンク各社は、海外に進出している日系企業への融資はもちろん、日系以外の企業を対象にした案件にも積極的だ。例えば、韓国の鉄鋼メーカー・ポスコがインドネシアで東南アジア最大規模の製鉄所を建設するプロジェクトでは、三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行(それぞれ1億7000万ドルを融資)を筆頭に、邦銀が民間融資額の約半分を拠出した。こうした努力が寄与し、3メガバンクの12年3月末現在における海外融資残高は、前年度に比べて2割ほど増加。12年上半期以降も、引き続き増える傾向だ。銀行志望者なら、各社の海外展開に関するニュースはきちんと押さえておきたい。

また、「バーゼル3」と呼ばれる規制への対応にも注目しよう。これは、主要国の中央銀行や金融当局によって構成される「バーゼル銀行監督委員会」によって改訂作業が行われている、銀行の健全性を保つための新たな規制のこと。13年から段階的な導入が行われ、19年には完全適用が定められている。三菱UFJフィナンシャル・グループは、すでに19年基準の最低自己資本比率(普通株等中核自己資本比率)をクリアしたと表明。三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループも13年基準は達成し、19年基準の早期達成を目指している。今後も邦銀には、質の高い資本の増強が求められるだろう。

グループ内の証券会社などと連携する「銀証連携」の動きも、引き続き進んでいる。2000年代以降、金融自由化によって銀行窓口で投資信託・保険商品の取り扱いが拡大。そのため、個人顧客に対し、総合的なコンサルティングサービスが提供できるようになった。メガバンクと証券会社双方の顧客基盤を活用し、顧客に合った金融商品を提案する試みは、今後も盛んになるとみられる。