まもなくノンバンクに?春〞がやって来る

こうした事情に対応すべく、自民党では専門部会(小口金融市場に関する小委員会)をつくり、貸金業法をもう一度改正して、年収基準(総量規制)の撤廃、上限金利の引き上げを検討。民主党も専門チームで同様の検討に入った。

つまり、06年まで消費者金融やカード会社の?ドル箱〞だったカードローンやキャッシングが、次期新政権の下で再開できるようになる可能性が高い。となれば、消費者金融や事業者金融、クレジットカード会社、信販会社には来年4月以降に特需が発生するだろう。?ノンバンク冬の時代〞から解放されそうなのだ。

事業者金融では、上場企業として大証2部のイッコー(現・Jトラスト)が生き残り、経営破綻したロプロや武富士、クレディアなどを次々に買収、傘下に入れている。ノンバンクではほかに、アイフル、ジャックス、クレディセゾンなどの恩恵が大きい。

金融円滑化法の期限が切れると、前述したように銀行は適用債権の処理に動くが、回収の見込みが低い債権はサービサー(債権回収業者)に売却することも多い。金融円滑化法が生きているうちは、適用債権をなかなか売却することができなかった。この点では、サービサー事業大手の山田債権回収管理総合事務所、レーサムなどが恩恵を受ける。

金融円滑化法の期限切れによって、最も急成長しそうなのがイー・ギャランティ。主に中堅企業向けに、売掛債権や手形を保証するサービスを行なっている。通常、企業同士の取引は現金ではなく、「月末締めの翌月20日払い」とか、3カ月以内の手形での支払いが多い。商品を売った企業側からすると、これは売掛債権となるが、中小企業ではこれが回収できずに倒産するケースが多々ある。いわば、売掛債権に保険をかけるのが同社の仕事。保険料率は1〜4%程度で、しかも、全国の地方銀行と提携することで、銀行サイドが融資先企業の倒産を防ぐために、取引先をどんどん紹介してくれる。提携地方銀行は9月末現在で43行。

ここまでに挙げた銘柄はすでに上昇が始まっているものもある。外国人投資家がいち早く気づいて買いに来ているためだが、波は早く乗れば乗るほど高みに連れていってくれるだろう。



山本 伸(Shin Yamamoto)
マネーリサーチ

株式評論家歴26年のベテラン。業界の裏表に精通。株式新聞の人気連載は10年目に突入。毎月3回の定期講演会を開催している。



この記事は「WEBネットマネー2013年1月号」に掲載されたものです。