好奇心と実行力で世の中がアッと驚くイノベーションを生み出す

人事部長インタビュー Vol.39

東京エレクトロングループ 長久保達也さん

イノベーションを生み出すために掲げる同社の人材戦略とは?


■商社からメーカー、グローバリゼーション、そしてイノベーション時代へ

2012年、創立50周年を迎える東京エレクトロンは、1963年に最先端技術の商社としてスタートしました。半導体といえば当時は軍事用、世間一般に半導体が使われる時代が来ることなど、世の中の人々は想像もしていませんでした。そんな時期に、アメリカにいた当社の創業者の1人が半導体を作る技術や機械に目をつけ、シリコンバレーの企業といち早く独占輸入の代理店契約を結んだ。これが、当社のフェイズ1“商社の時代”です。

80年代に入ると、オフィスにもパソコンが普及しはじめ、国内電機メーカーがこぞって半導体の量産をスタートしました。そうなると、技術商社の機能だけでは、国内メーカーのニーズに応えることができない。そこで、当社は主要部品を輸入し、日本で組み立てて販売するノックダウン生産を行うことにしました。現在の開発・製造の原点となる合弁企業を日本に設立したのです。お客さまであるメーカーに切磋琢磨される中で、まさに“商社とメーカーの顔を持つ時代”に入った。これがフェイズ2です。

80年代半ばから90年代にかけては、日本の電機メーカーが次々とアメリカに半導体工場を建設しました。当初は、現地の代理店を通して対応していましたが、お客さまからの強い要求を受け、直販体制に切り替えて海外のお客さまに満足いただけるまでサポートすることにしたのです。こうした戦略と現場の努力が日本のみならず海外のお客さまにも認められ、ビジネスが飛躍的に広がっていった。これがフェイズ3“グローバリゼーションの時代”です。現在のグローバルプレイヤーとしての地位は、こうして築かれました。

01年のインターネットバブル(ITバブル ※)などを経て、現在はフェイズ4“イノベーションの時代”を迎えています。半導体メーカーの寡占化時代を迎え、まさに自社の開発力が試される時代になった。当社のコア事業である半導体製造装置はもちろん、FPD(フラットパネルディスプレイ)、太陽電池、そのほかの分野においても、新しい技術を価値あるものにする。自分たちの力でイノベーションを生み出し、世界のお客さまに提案していく時代に突入したのです。

イノベーションの時代に入ってからの約10年間、当社は研究開発への投資に力を入れてきました。半導体事業でいえば、低消費電力で従来以上のパフォーマンスを発揮する新材料・新プロセスを使った半導体を作る装置の開発。FPD事業では、ポスト液晶である有機ELディスプレイ向け製造装置の開発。太陽電池事業でも、効率を飛躍的に向上させるなどの技術開発に取り組んでいます。それらが実現すれば、世の中は、より豊かなものになるでしょう。当社が目指すのは、真のイノベーション、世の中を驚かす出来事、でも中身を突き詰めていったら「東京エレクトロンの技術だった!」と言われる存在でありたいのです。

※インターネット・バブル(Internet Bubble)、ITバブルとは、1990年代末期に、アメリカ合衆国の市場を中心に起こった、インターネット関連企業の実需投資や株式投資の異常な高潮である。「ドットコム会社」と呼ばれる多くのIT関連ベンチャーが設立され、1999年から2000年にかけて株価が異常に上昇したが、01年にかけてバブルははじけた。


■一人ひとりが持ち味を発揮する“最強のチーム”が会社の成長を担う

イノベーションを生み出せるのは人。たくさんの個性豊かな人たちが集まり、心を一つにして自分の得意を最大限に発揮していく“世界最強のチーム”であることが必要です。そのようなチームが原動力となり、当社の強みである技術開発力とグローバルなビジネス展開力を生かして、新製品を世界に送り出しています。

最強のチームでの活躍が期待されるのは、好奇心と実行力のある人。時代の流れ、お客さまが求めることをキャッチする感度が高く、大胆にチャレンジする実行力のある人です。その上で自分の得意である部分をフルに生かせる人たちが集まれば、互いに刺激し合いながら間違いなく新しいアイデアが湧いてくるはず。当社では、入社後早い段階から仕事を任せます。そのためにも、自分で考え動ける人材が必要なのです。もちろん、会社には正確かつ最高の効率でビジネスの基盤を支える人たちの活躍も必要。ですから、成長する先端分野で未来を切り拓く人たちと会社全体を支える人たちとが連携し合ってこそ最強のチームになるのです。

また、最強のチームに国境はありません。半導体製造装置事業でいえば、海外でのビジネスが8割以上を占めていることもあり、国内採用の社員でも海外に駐在する可能性は高く、その意味でもグローバル感覚は必要です。私が考えるグローバル人材とは、世界を自分のフィールドと捉え、そこでプレーできること、それを純粋に「面白い」と思える人。好奇心が芽生え「行きたい」という思いが湧く、海外でふとした違いに気づけば「それは、なぜなんだろう?」ともっと知りたくなる。自然に言葉も文化も学ぼうとするでしょう。入社時から英語ができなくてもいい。そのようなフィールドに放たれたら、パンと封が開いて、自ら考え動くことができる――そんなポテンシャルがある人は当社で存分に楽しめると思います。

自分の得意技を見つける、入社後の仕事やキャリアの選択肢を広げるという観点から、当社は現在、グループ全体としてのメリットを生かす採用活動を進めています。一つの製品を生み出すビジネスプロセスの中で、その機能ごとに分社しているのが当社の特徴。グループ各社ごとで進める採用活動のフレキシビリティ、スピードを重視しながらも、変化の方向を見据え、よりグループ全体での人材交流や適材適所を進めることで社員の持てる力を最大限に生かす、そのような考えが基本にあります。

当社では、若いうちから責任のある仕事を任されます。私は、特に入社から35歳までが重要、本当の自分の得意技を見つけるためにも、早いうちにさまざまな仕事に挑戦するべきだと思っています。そして、35歳からは、自他ともに認める得意技に磨きをかけ、社外でも通用するものにしていくべき、そのためにも多くの人との交流やさまざまな経験を自分の養分として取り込んでいく。そうしていくと、ベテランの域に入ったときに、当社を選択してよかったと思えるし、同時に社会からも必要とされる人材になっていると考えています。

そのためには、あらかじめ「入社したらこれをやりたい!」という自分のストーリーを作っておき、常に自分をプロデュースしていくことが大切です。その過程の中では、自分のやりたいストーリーと会社のやってほしいこととが一致してないと思うこともあるでしょう。しかし、任された仕事はきちんとやり遂げることが肝心。なぜなら、本来、意味のない仕事はないはずで、その仕事を通じて培った人間関係や経験値がリソースとなり、自分の得意技をさらに磨くことになると考えるからです。特に、若いうちからこうした原体験をすることは有益ですし、その意味でも、当社は若手から多くの経験を積める会社であるといえます。

私たち人事としては、採用の時点から学生さん一人ひとりのストーリーをシェアしておくこと。入社後は、社員一人ひとりのストーリーをサポートすることだと考えています。