2012年12月から、金融機関の住宅ローンの金利がさらに低下している。低下しているのは、10年固定金利型の住宅ローンだ。メガバンクの11月の金利は1.35%だったが、12月は0.05%引き下げられて、1.30%となっている。0.05%の引き下げだが、住宅ローンは借入額が大きいだけに、メリットは小さくない。3000万円の借り入れならば、当初、1年間で利息は約1万5000円違う。利息の軽減額は年とともに少しずつ減少するが、これが10年続くと考えれば、0.05%がいかにお得かがわかるだろう。

 この「10年固定金利型」の住宅ローン金利1.30%の内容は、メガバンクの場合、店頭表示金利である基準金利が2.90%で、最大優遇幅が1.60%となっている。12月に入って基準金利が0.05%引き下げられたことで、メガバンクでは過去最低水準となった。だが、もっと低い金利を提供するところもある。例えば、京都銀行は12月に引き下げたわけではないが、「10年固定金利型」で1.10%としている(但し固定期間終了後の金利優遇幅は1.3%)。三井住友信託銀行は、12月に入って金利を引き下げ、10年固定金利型を1.15%で提供。また、横浜銀行も、同じく住宅ローンの借り換えであれば、1.25%の金利を設定している。

 住宅ローンの借り換えは、概算で、現在の金利より最低0.3%低くなれば、借り換え効果が期待できるため、この水準で借り換えができれば、多くの人にメリットがありそうだ。

■借り換えを考えている人は、ここ数か月が大きなチャンス!

 メガバンクや大手地銀の住宅ローン金利の引き下げは、10年固定金利型が中心で、変動金利型を引き下げているところはほぼない。一方、ネット系銀行では変動金利型を引き下げているところもある。例えば、ソニー銀行は『住宅ローン』(商品名)を1.172%から1.142%へと、0.03%引き下げた。メガバンクの変動金利は0.875%なので、まだ差が開いているように見えるが、メガバンクの融資事務手数料は「融資額×2・1%」かかることから、実質的な適用金利分を+0.2%と換算すると、1.075%となりその差はほとんどなくなる。ソニー銀行には、繰り上げ返済のしやすさや割安感などのメリットがあり、商品内容としては互角といえるかもしれない。

 このような足下のローン金利低下は、国内の金融市場で長期金利が低下したことが、直接的な要因だ。その背景には、日本の実体経済が中国での日本企業の販売不振などを受け、実質的に景気後退に突入したことがある。そのため、現在金融市場では、景気後退を受けて早ければ年内にも日銀が追加的な金融緩和に踏み切るとみている。ただし、実際に追加緩和が実施されても、現時点からの金利低下余地はほとんどないのではないか。前に述べたように、金融緩和を見越して、市場金利が低下しているからだ。金融機関どうしの住宅ローン競争が激化しているとはいえ、低下したとしても12月の引き下げ幅と同程度だと思われる。

また、このところ、為替市場で円安が進行し、株式相場が上昇基調となっている。日本経済の景気後退を反映して、金利が低下している金融市場(債券市場)とは対照的な動きといえるが、これはそんなに珍しいことではない。株式市場は円安を好感し、来年の景気回復を先取りする形で上がっているといえる。過去に、似たようなケースは何度もあったが、ほとんどの場合、株式市場はしばらくすると債券市場の動きに追随するようになっていった。そのため、短期的には株式市場はいったん、調整が入ると思われる。

 そのタイミングはいつなのか? 過去の総選挙と株式市場の値動きを見てみると、総選挙の後は、ほぼ下落している。今回もおそらくそのパターンとなるだろう。したがって、12月から1月にかけては、日銀の追加緩和観測や株式市場の調整などで、金利は下がりやすくなる。借り換えを考えている人は、ここ数か月は大きなチャンスであることは間違いない。ただし、繰り返しになるが、住宅ローン金利は金融機関の採算がとれるギリギリの水準まで低下しているので、ここからの低下する余地はそれほどないと思われる。借り換えが可能な人は準備をしておいたほうがいいだろう。

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(文/松岡賢治)

マネーライター、ファイナンシャルプランナー/シンクタンク、証券会社のリサーチ部門(債券)を経て、96年に独立。最新刊に『人生を楽しむマネー術』(共編著)。