年末相場の盛り上がりを期待してはいるが、新しい材料に欠け、一進一退の株式市場。全体的に下落しているので、配当の高さが際立つくらいで、その…楽しくない(?)。じっくり銘柄選びぐらい、楽しみましょうか!


「解散・総選挙は買い」が今の株式市場の雰囲気だろう。6年前の小泉純一郎首相退陣以降、めまぐるしく首相が変わってきた。与野党それぞれ勝手な言い分はあるが、景気回復では誰も実績を挙げていない。だからこそ、「次の人のほうがマシ」というわけだ。

各種世論調査では、民主党・野田政権の支持率は低迷が続いている。一方、「みんなの党」「日本維新の会」といった新興勢力は知名度アップを支持率に結びつけられずにいる。解散・総選挙となれば、自民党が公明党と組んで連立政権を発足させ、そこに民主党離党者が合流するのが最も実現性の高いシナリオである。そして、自民党が政権奪還となれば、9月に党総裁に返り咲いた安倍晋三氏が再び首相の座に就くのが最も自然な流れだ。

安倍氏の宰相復帰が実現した際に刺激を受けそうなのは、不動産株やREIT(不動産投信)が筆頭格。景気回復のために日銀に資金供給量の増大を要求するとみられ、実質ゼロ金利がさらに長期化しそうだ。また、安倍氏は沖縄・尖閣諸島をめぐる中国の不当要求には厳然と対応するとみられ、防衛力の強化に伴い軍需関連企業が脚光を浴びるだろう。

2006年9月の首相就任前後では、安倍氏がかつて勤務した神戸製鋼所や、夫人が創業家ということで森永製菓が話題になった程度だった。創業者が安倍氏と縁戚関係にあるウシオ電機や、葛西敬之会長が後見人役となったJR東海も、話題が先行しただけで株価は動かなかった。しかし、今回の関連銘柄はいずれも政策面の裏づけのあるものだ。安倍氏が闘病生活を送り、自民党が下野しているうちに、日本経済を取り巻く環境は大きく変化したといえる。

一般に、政治家の実力と株価の動きは微妙な関係を見せる。政策実行力を期待されている人物がトップに就くようなら広範囲の銘柄が動き、権力を握ろうとする政治家への期待感が乏しければ、こじつけに近い感覚の関連銘柄がゲームさながらに短期売買されるものだ。

次の総選挙で関連銘柄が動けば、安倍政権はマーケットを味方につけての景気回復に再チャレンジとなる。反対に、デイトレのネタにさえならなければ、国民はポスト安倍氏に期待するしかないだろう。


この記事は「WEBネットマネー2013年1月号」に掲載されたものです。