11月3日から国立科学博物館で開催されている「チョコレート展」。"チョコレートを楽しく学ぶ"とのコンセプトだけあって、マヤ文明やアステカ文明時代から重宝されていたカカオの歴史から、飲み物としてのチョコレートの受容、製造工程までを楽しめる展覧会となっています。その中でも日本にチョコレートが出回り始めた時代に作られた野球チョコの型や、明治・森永など製菓会社の昔の板チョコパッケージには懐かしさを覚える人もいるのではないでしょうか。

 会場ではチョコレートに関連する本や、色彩鮮やかな写真集も購入できます。そんなチョコレート好きに知ってもらいたい書籍があります。それは、畠中恵さんの『アイスクリン強し』。なかでも短編「チヨコレイト甘し」は、明治時代の西洋菓子屋で起こる様々な事件をコミカルに描いた作品なのです。

 「江戸」から「明治」に時代が変わって20年、西洋菓子屋を営むこととなった真次郎。お人好しの彼は追われている身の小弥太をかくまい、店を手伝ってもらいながら、ワッフルス、シユウクリームなどの菓子を試作する日々を過ごしていました。豪華な料理を完成させた「ぱあてい」直前、小弥太を追った士族達が西洋菓子店に奇襲をかけ、真次郎が心を込めて作った料理は総て台無しになってしまいます。残り少ない時間でいかに料理を作るか、そして小弥太の抱える事件をどう解決するか......。

 鍵になるのは、チヨコレイトとビスキット。真次郎がどんな妙案を出したのかは読んでからのお楽しみ。

 「チョコレート展」のポスターや垂れ幕は、上野駅の至る所で目に入ってきます。もしかしたら真次郎たちが生きていた時代にも、目新しいチヨコレイトに目を輝かした人々でお祭り騒ぎになっていたかもしれません。展覧会で鉄道模型や恐竜など素敵なチョコレートアートを堪能した後には、「スイーツ文明開化」騒動記『アイスクリン強し』がきっと読みたくなるはずです。



『アイスクリン強し』
 著者:畠中 恵
 出版社:講談社
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