中原圭介(なかはらけいすけ)金融・経営のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」のエコノミスト兼経営コンサルタント。サブプライムショックや2011年の日経平均、今年5月の欧州危機を当てるなど、経済予測の正確さには定評がある。主な著書に『経済予測脳で人生が変わる!』(ダイヤモンド社)、近著は『日本経済大消失 生き残りと復活の新戦略』(幻冬舎

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突然の衆議院解散、そして、安倍政権の現実性が高まる中で日経平均は上昇し円安の動きが続いている。この相場の流れはどこまで続くのか。総選挙後の景気と株価はどうなるのか。そして、2013年の世界経済の行方は――。リーマンショックや欧州経済危機など数々の予測を的中させてきたエコノミストの中原圭介さんに聞いた。

“安倍トレード”で日本株はどこまで上昇するか

 日経平均は11月前半に8600円台まで低迷していましたが、11月13日に野田総理が衆議院解散を明言してから11月末までに一気に9400円台まで上昇しました。

 その背景には、次期総理の最有力候補とされている安倍晋三自民党総裁の脱デフレ政策と公共事業復活の政策への期待感があります。いわゆる“安倍トレード”という動きです。

 安倍総裁は、2−3%程度の物価上昇率の目標を掲げ、それを実現するためにあらゆる手段を使った金融緩和策を日銀に迫ると言っています。そのためには、日銀法を改正することも視野に入れると強硬姿勢を見せています。

 また、安倍総裁は10年間で200兆円の公共事業を行う国土強靭化法の実現を主張しています。これは、小泉政権以降急速に縮小していた公共事業による景気対策を復活させようということを意味します。

 特に、日銀法改正を視野に入れた金融緩和策に期待が集まっていますが、私はこれについては実現するのは困難だろうと見ています。

 日銀法を改正してまで中央銀行に政治が介入するという手法は国際的にも非難が多く、国内外の専門家、そして自民党内からも反対の声が多いからです。

 10年間で200兆円という公共事業の復活についても、額面通りの実現は難しいと思います。経常黒字が減って赤字に転落しそうな状況で公共事業の拡大を行えば、財政悪化懸念から長期金利が急上昇してしまう危険性があるからです。

 たしかに、公共事業を拡大すれば国民の所得も改善し景気も良くなるでしょう。しかし、その持続性には大いに疑問符が付きますし、持続できなくなれば過剰に増えた建設業の就労者が失業者予備軍となり、景気は再び悪化してしまうでしょう。

 もっとも、野田政権下で発表された政府と日銀による脱デフレに向けた協力関係を明記した共同文書に沿って脱デフレ策を探っていくという今の流れは変わらないでしょう。また、公共事業拡大も、額面通りではないにしても、ある程度行われる可能性はあります。

 以上のことを考えると、当面のドル円相場の安値メドは、安倍政権による脱デフレ政策期待などを織り込んだとして、3月の円安水準である1ドル=84円くらいが精一杯ではないでしょうか。また、当面の日経平均の上昇メドは、期待を込めたとしても3月の高値1万200円台までは行かないのではないかとみています。

 当面の間、安倍政権への期待感だけで今年3月につけた円安水準と日経平均の高値水準を超えていくのはちょっと難しいのではないかと思います。

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