欧米ともに大きな下ブレはなし! 政府・日銀は円高や株安を容認?
ECB、FRBの両中央銀行による積極的な金融緩和が下支えする欧米市場。日本では政府が「デフレの責任は日銀にない」とするなど、株安容認とも取れる行動に出ているが、果たして…?



ECBの"見せ金"でひとまず欧州不安派は後退。ユーロ相場はもみ合いか

2012年の世界経済の最大のネックとなっていた欧州金融不安は、(中央銀行)がユーロ加盟国の国債を無制限に買い入れる新スキームを発表したことで、危機の深刻化に歯止めがかけられた。現時点では単なる口先介入にすぎないが、?無制限〞という大きな弾たまを込めたことで、市場も落ち着きを取り戻せたわけだ。

弾を発射する段階で問題が生じるなど、危機が再燃する可能性も残されているが、この?見せ金〞が効いているうちは、とりあえず欧州市場に大きな波乱はなさそうだ。

しかし、ドイツなどごく一部を除けば各国とも財政の緊縮を余儀なくされており、2013年になっても急激に景気が回復するということは考えられない。現在ユーロは1ユーロ=1.3ドル近辺まで買い戻されているが、これは明らかに買われすぎだろう。これまでユーロ崩壊のリスクが最大に高まった今年の夏の時点でも1ユーロ=1.2ドルまでの下落で済んだことを考えると、ユーロ/ドルは当面、1.2〜1.3ドル前後でもみ合う展開が予想される。

FRBの後押しを受けて米国経済は緩やかに回復。アジアも堅調か

米国やアジアの経済や相場動向を占ううえで、最も重要なイベントは11月6日に行なわれた米大統領選挙だった。接戦を制したのはオバマ氏だったが、結論からいえば、ロムニー氏が就任したほうがマーケットにとってはプラスに働いた可能性が高い。ロムニー氏は、ブッシュ減税の継続や金融規制緩和の方針であるほか、上院・下院の?ねじれ〞が解消されるため、政権運営がスムーズになるからだ。

しかし、オバマ氏が再選したことで今後も議会の?ねじれ〞は続くことになった。まずは2012年末に迫っている「財政の崖」の問題を無事に通過できるかどうかがカギとなる。こうした懸念は、やはりドル安要因になりそうだ。

今後、米国経済悪化の兆しが見えた場合には、FRBが再び金融緩和に動く可能性が高いだろう。短期国債を売って長期国債を買う「ツイストオペ」は2012年末に期限を迎えるが、すでに市場では短期国債を売らずに長期国債を買う政策に乗り出す可能性が示唆されている。これで景気がどれだけ押し上げられるかは不透明だが、少なくとも長期金利の上昇を抑え、景気やマーケットを下支えする効果は見込めるだろう。2013年も緩やかな回復を続けると思われる。

米国が上向き、欧州も大崩れはしないとなれば、アジア経済は順調に成長しそうだ。今年は、中国の欧州向け減速などによって若干下ブレしたが、来年は今年を上回る成長率になるのではないか。

もし、尖閣問題などの政治リスクが意識され、中国への直接投資が減っても、タイやインドネシアなどへの投資が加速することでカバーできるはずだ。

世界的な金融緩和でジャブジャブとなった巨額のマネーがアジア地域に押し寄せることでバブルが発生し、それを抑えるためにアジア各国で保護主義が台頭するリスクはあるが、おおむね高成長を維持すると思われる。

日本の金融緩和論は後退。日銀新総裁が決まるまで相場は波乱の展開も

さて、肝心の日本市場だが、10月の日銀の追加緩和については、正直言って失望した。11兆円という規模もそうだが、もっと残念なのは資産の買い入れ完了時期のメドが2013年末のままで据え置かれたことだ。

しかも、政府も「デフレの責任は金融緩和が不十分なせいではない」との覚書を日銀と取り交わす始末だ。これは、日銀がFRBに対抗して金融緩和を行なう意思がほとんどないと言っているのも同然なのである。