お釈迦(しゃか)様にまつわる「へー」な話




仏教の開祖は釈尊。いわゆるお釈迦(しゃか)様です。釈迦(しゃか)というのは部族の名前と言われています。(諸説ありますが)釈迦族の王子・シッダールタは出家し、菩提(ぼだい)樹の下で悟りを開き、人々に教えを説きます。このお釈迦(しゃか)様という人には面白い話が結構ありまして……。





■お母さんの脇の下から生まれた!?



偉大な人物の伝記には、後世にどんどん創作されたエピソードが追加されるものですが、お釈迦(しゃか)様の話にもそれが濃厚です。



仏典によれば、生まれてすぐ、立ち上がって7歩歩き、天と地を指さして「天上天下唯我独尊」と叫んだと言われています。「世界の中で私だけが正しい」という意味ですから、ちょっとイヤなガキですね(笑)。また仏典の記載をそのまま信じると、マーヤー夫人という母親の右脇の下から生まれたことになっています。



■サイコロばくちはお釈迦(しゃか)様が広めた!?



教えを広めるために、人を集めようとしたのですがなかなかうまくいきません。また、もうひとつ盛り上がりに欠けるのでお釈迦(しゃか)様が一計を案じます。俗にチンチロリンという、まあサイコロばくちを開帳して人が集まったところで……「私の話を聞きなさい」(笑)。



落語の枕なんかで使われる話なんで、本当なワケはないんですが、こういう話を許容してしまうというのは、お釈迦(しゃか)様の教えの寛容さ、また伝わっている人格、優しさによると思いませんか。



■『西遊記』のお釈迦(しゃか)様も賭けをします



三蔵法師が天竺にお経を取りに行く一大冒険スペクタクル『西遊記』にもお釈迦(しゃか)様が登場します。実は西遊記の世界観は、中国の道教思想と仏教が混交した妙なモノなのですが、ここではお釈迦(しゃか)様は西方浄土におわしますということになっています。お釈迦(しゃか)様の登場場面で最も有名なのは、天界で暴れる孫悟空と賭けをするところでしょう。



●悟空はマッハ176,000で飛び出すが……



お釈迦(しゃか)様は手のひらに悟空を乗せ、「私の手のひらから飛び出せるか?」と問います。「もしそれができたら、私が話してお前を天上界の王にしよう」と言うのです。ふざけるなとばかりに悟空は、金斗雲で飛びます。ちなみに金斗雲は、物語の設定では「ひともんどり打てば10万8,000里を飛ぶ」ということになっていますので「マッハ176,000」換算(秒速6万km)になります。十分に飛んで世界の果てまで来たなと思った時に、目の前に巨大な柱が現れます。よし、ここまで来た証しとして柱に「斉天大聖到此一游」(意:天にも等しい大いなる聖がここに来たぞ)と書き、戻ってきました。



●悟空は500年後に助かります



得意になってお釈迦(しゃか)様に告げると、お釈迦(しゃか)様は「お前は私の手のひらを出ておらぬ」と仰る(おっしゃる)。ふと見るとさっき書いたはずの文字がお釈迦(しゃか)様の指に。「お前の負けだ」という言葉と共にお釈迦(しゃか)様の指が岩山に変じ、五行山となって悟空を動けないように封じます。この五行山にはお札が貼(は)ってあって、「そのお札をはがす人が現れるまで、お前はここを動けない」とお釈迦(しゃか)様が言います。それが三蔵法師になるわけですが、三蔵法師が五行山にやって来るのは500年後。



●去り際に悟空に罰ゲーム!?



悟空を封じて天界が平和になったので、お釈迦(しゃか)様は西方に去るのですが、その際に「悟空を哀れに思って」として、「もしその化け猿が渇いたら煮えたスズ汁を飲ませてやりなさい」とヒドイことを言います(笑)。慈悲あるふれるお釈迦(しゃか)様でも、これは拷問です。天界で不老長寿の仙丹をむさぼり食ったので悟空は死ぬわけないのですが、お釈迦(しゃか)様の与えた罰ゲームだったのでしょうか。



■仏様の特徴は……



仏像は、お釈迦(しゃか)様の吉相を映して製作されます。お釈迦(しゃか)様には32個のすぐわかる特徴があったとされているのです。それぞれの吉相には意味があります。面白い、もとい興味深いのでいくつか挙げてみましょう。



●足下安平立相(そくげあんぴょうりゅうそう)



足の裏が平らで、歩く時には大地とぴったり密着する。



●手足指縵網相(しゅそくまんもうそう)



手足の各指の間に水かきがある。これは金色の膜で、すべての人を漏らさず救えるようにあると言われます。



●足趺高満相(そくふこうまんそう)



足の甲の部分が亀の甲羅のように大きく盛り上がっている。



●伊泥延しつ相(いでいえんしつそう)



伊泥延というのは鹿の種類です。ふくらはぎが鹿のように盛り上がって丸くなっている様子です。



●正立手摩膝相(しょうりゅうしゅましっそう)



直立したとき両手がひざに届くくらい長い。手でひざをなでることができる。ちなみに同様の相があったとされるのが『三国志演義』の主人公の1人、劉備玄徳です。



●陰蔵相(おんぞうそう)



ペニスが体内に密蔵されている。密蔵っていうのはちょっとヘンな表現ですが、関取のようにめり込んでいるってことなんでしょうか。これも吉相なんだそうです。



●身広長等相(しんこうじょうとうそう)



身長と両手を広げた長さが同じ。レオナルド・ダ・ヴィンチの絵で有名ですが、人間も大体そうですかね。



●一一孔一毛相(いちいちくいちもうそう)



体にあるすべてのすべての毛穴、一つ一つから、必ず1本ずつ毛が生えている。しかもその毛穴からは良い香気が出ていて、毛の色は美しい青瑠璃色である。



●毛上向相(もうじょうこうそう)



体毛の毛先がすべて上を向いている。しかもすべて右巻き。色は紺青である。



●両腋下隆満相(りょうやくげりゅうまんそう)



脇の下が盛り上がっていてくぼみがない。



●四十歯相(しじゅうしそう)



白く美しい歯が40本ある。普通の人間は(親知らずを入れて)32本。



●大舌相(だいぜつそう)



舌が大きく、髪の生え際に届くほど長い。しかし、口の中が舌で一杯にはならない。矛盾してるような気がするんですが(笑)。



●金色相(こんじきそう)



体が黄金色に輝いている。



●丈光相(じょうこうそう)



四方へ各一丈(約3m)の光が体から出ている。仏像に背面に付いている「光背」(こうはい)は単なる飾りではなくて、このお釈迦(しゃか)様の吉相を表現しているのです。



●頂髻相(ちょうけいそう)



頭頂部の肉が隆起している。仏像の頭がぼこっと二段になっていますが、あれは髪を盛っているのではなく、お釈迦(しゃか)様の頭の肉が盛り上がってるのを表現しているんです!



●白毫相(びゃくごうそう)



眉間に伸ばすと一丈五尺(約4.5m)にもなる白毛があって、これが光を放っている。仏像のみけんに何か丸いものが付いていたりますが、あれはこの毛を表現しているのです。



いかがでしょうか。菩提(ぼだい)樹の下で悟りを開いた時に、顔が変わって、このような32の特徴を備えた相になっていたということになっています。姿形まで変わってしまうとは、やはり「悟る」とは大変なことのようです。



(高橋モータース@dcp)