ネットで牛を1頭売った話




最近では「顔が見えて安心!」をキャッチフレーズに、生産者がじかに消費者に食料品を売るネットショップがたくさんあります。生産者さんから1頭牛を購入して、その精肉をサイトで販売したという「剛腕バイヤー」にお話を伺いました。





「バレるとヤバイ」ということで匿名でインタビューしましたので、その点を考慮の上、お読みください。



――全然門外漢なのに、牛を1頭仕入れて肉にしてネットで販売したそうですが、なぜそんなことをしようと思ったんですか?



面白そうだったから(笑)。当時は会社のネットショップの担当者だったんで、そのサイトで色んな物を売ってたんだけど……。



――そのサイトは食品を扱っているんですか?



全然(笑)。IT関連のグッズとかそういうのを扱ってるサイトですよ。



――なぜそこで牛なんですか?



面白そうだっんで(笑)。ちょうど食品のトレーサビリティーに関して世間が盛り上がってたんですよ。顔の見える、安心できる、美味しい食材というのがトレンドだった。今はもっとそうですけどね。なので、「美味しい牛を仕入れてきて、みんなで分けて食べましょう!」みたいなことやれば絶対ウケると思ったんですよ。



――なるほど。ただ、思い立ってスグに買えるものなんですか、牛って?



詳しい人に中に入ってもらって、生産者さんに紹介してもらったんですよ。買う場合もセリに出られる資格のある人に間に入ってもらわないといけません。ツテがないとスグに買えるわけじゃありません。



――牛1頭ってどのくらいで買えるものなんですか?



それは本当にいろいろみたいです。僕が買ったのは、岩手県の、生産数のとても少ない、知る人ぞ知るというブランド牛でした。美味しいことで、その筋では有名な、三才の去勢牛。大体70〜80万円ぐらい。100万円出すと買えるんじゃないですかね。



――去勢牛は美味しいんですか?



僕も教えてもらったんですが、肉の柔らかさに影響するんですって。美味しい順番があるんです。肉質のいい順番に、未経産牛(出産経験のない牝牛)、去勢牛、経産牛、雄牛だそうです。



――雄牛は固いんでね(笑)。



どうもそうみたいですね。で去勢牛を買いました。値段もさっき言ったぐらいでしたよ。



――牛1頭ってどのくらいの量の肉になるもんですか?



牛の肉の歩留まりって大体決まってるんですよ。精肉になると肉牛の体重の約3割。例えば体重650kgの牛からだと約200kgぐらいの精肉が取れます。



――買った牛はどのくらいの体重だったんでしょうか?



ちょっと大きくて700kg。精肉210kgぐらいが取れました。



――意外と少ないもんですね。



と思うでしょ? でもどかんと肉の塊があると多いなあという感じです。特に初めて見るとビックリすると思います。



――ネットで売ってみて反響はどうでしたか?



そりゃスゴかったですね。一瞬で完売しましたよ。なにせ美味しい牛ですし、直販売ですしね。試食の時に僕も食べましたが、そりゃうまかった(笑)。



――いくらで売って、どのくらいもうかりましたか?



あんまり細かい売り方をしても仕方がないので、セットを2つ作ったんですよ。ステーキセットと焼き肉セット。牛の肉って、ネックとか、肩ロースとか13の部位肉に分かれるんですが、ロースとかサーロインとかはステーキセットにして、後は焼き肉セットにしました。ざっくりキロ1,000円で販売したので、×210kgで売り上げは210万円。牛の原価がさっき言った通りなので、粗利で言うと50%ぐらいですかね。もちろんそこから経費を引かないといけないけど。



――結構いい数字じゃないですか。その後は同じように牛肉を売らなかったんですか?



1回やって面白かったんで「もういいかな」と(笑)。会社の上の方はもうかることがわかったんで「もっと牛買ってこい!」なんて言ってましたけどね。でもウチの会社、IT関連なんですよ。何の商売してるんだっていう(笑)。



――大事なことは何でしょうか?



やはり宣伝、告知ですよ。良い牛肉が入手できたとしても買ってくれる人にアピールする場がないと売れません。この牛1頭買いは雑誌さんと一緒にやった企画で、その雑誌のページで告知できたので楽でした。販売したサイトも雑誌さんのサイトを使いましたんで。告知とかを考えずに、どんなにイイ牛を仕入れてきてもたぶんダメでしょうね。そこが難しいとこだと思います。







(高橋モータース@dcp)