『日本人が知らない 軍事学の常識』

尖閣諸島、竹島に続き、今度は北朝鮮の事実上のミサイル発射予告だ。日本の周辺情勢が緊迫している。2012年12月16日投票の総選挙でも、「外交・安保」が争点として浮かび上がってきた。どう対応すればいいのか。冷静な判断のための3冊を紹介したい。J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」http//:www.j-cast.com/mono/bookwatch/でも特集記事を公開中

中国の軍事力は「張り子の虎」か

『日本人が知らない 軍事学の常識』

「軍事学の常識」を知っているという日本人はどれぐらいいるのだろうか。大方の人は知らないというのが実情だろう。草思社からの『日本人が知らない 軍事学の常識』(著・兵頭二十八、1890円)は、軍事学の常識に照らして極東のパワーバランスを概説する。日本人に欠落している視点から普天間、尖閣、北方領土、さらには原発、TPP、靖国……日本の直面する問題の核心が見えてくる。

興味深いのは米中両国の軍事力の比較だ。圧倒的な軍事力を誇る米軍に比べ、最近脅威を増しているといわれる中国軍の実態は「張り子の虎」同然と指摘する。著者は陸上自衛隊出身だが、東京工業大学で同大教授だった評論家の江藤淳の指導を受けたことで知られる。

中国海軍の「実力」とは

『もしも日本が戦争に巻き込まれたら! 日本の「戦争力」vs.北朝鮮、中国』

日本は戦後67年、平和憲法のもと他国と武力紛争を起こしていない。だが、領土・領海をめぐる動きやミサイル問題など最近の近隣情勢から安全保障に対する関心が高まっている。他方、メディアも含め、安全保障や軍事面での基本的な知識が不足しているとの指摘もある。そこで、多くの人が抱いている素朴な疑問にわかりやすく答えようというのが、アスコムからの『もしも日本が戦争に巻き込まれたら! 日本の「戦争力」vs.北朝鮮、中国』(著・小川和久、坂本衛、1000円)だ。

 

尖閣沖での中国漁船衝突事件はどう対応すべきだったのか、中国海軍は太平洋に進出する力を本当に持っているのか、北朝鮮のミサイルは日本に飛んで来るのか、などの疑問について政策にも詳しい熟達の軍事アナリストがQ&Aでズバリ答える。

集団的自衛権の本質は「自衛」か「他衛」か

『集団的自衛権と日本国憲法』

「自衛隊と米軍が一緒に行動している時、米軍が攻撃を受けた。自衛隊がそれを助けることは集団的自衛権の行使になるから憲法上許されない」。集団的自衛権についての政府の見解を一言でいえばこうなる。これに対して、それでは同盟軍を見殺しにすることになるという議論がある一方で、認めれば戦争参加への道を開くという指摘もあり、今度の選挙でも集団的自衛権の行使をめぐって論議を呼んでいる。

集英社新書の『集団的自衛権と日本国憲法』(著・浅井基文、735円)は、集団的自衛権の本質は「他衛」であり、「自衛」ではないと断言する。国連憲章の規定する集団的自衛権を検証し、日本国憲法の平和思想や戦後の日米関係を考察、国際社会でのあるべき日本の役割を問うている。