あと3ヶ月ほどで、東日本大震災発生から2年を迎えようとしています。あの日のことをまだ昨日のことのように思い出すことはできるでしょうか? 首都圏では鉄道網は完全にストップ、多くの帰宅困難者が出て、家族や友人、恋人の生存を確かめ合ったはず。テレビでは連日のように原発事故の様子や津波で町が飲み込まれていく映像が流れました。しかし、その時にはまったく伝えられなかった「真実」があります。それが、水素爆発を起こした東京電力福島第1原発の中での出来事。今だからこそ、「日本」を守るために闘った人々の「真実」を知らなくてはなりません。

 『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』の著者である門田隆将さんは、「光市母子殺害事件」の真実を追った『なぜ君は絶望と闘えたのか』を書いたノンフィクション作家。門田さんは多くの時間をかけて東電社員や関係者らの証言をもとに、当時の様子を取材して同書を書き上げました。

 3.11から水素爆発直後の1週間を中心に、第1原発の1.2号機の中央制御室にいた社員らが、全電源が落ちた中での絶望的な状況の中で対処した様子や菅前首相とのやりとりなどが、リアルにすべて実名で掲載されています。その勇気にも敬意を払いながら読み進めていくと、最後には自然と熱いものがこみ上げてきます。

 本書の中心人物である、当時の福島第一原発所長・吉田昌郎氏の証言からも状況の凄まじさが伝わってきます。

 「こいつなら一緒に死んでくれる、こいつも死んでくれるだろう」と、それぞれ顔を吉田は思い浮かべていた。「死」という言葉が何度も吉田の口から出た。

 日常が一瞬にして変わってしまった東日本大震災。もうすぐ2年を迎え、やっと真実が明らかになってきた今だからこそ、彼らの証言に向き合うべきなのかもしれません。




『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』
 著者:門田 隆将
 出版社:PHP研究所
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